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「だからお前らには感謝してるんだ。ずっと、ずっと探し続けた白蟻の手掛かりだ……あいつは、絶対に殺す」


別件に意識を囚われていると、殺意が酒場に広がった。わたしのそばで護衛をしていたユーリさんが咄嗟に私をなにかの魔法で庇ってくれたけれど、その殺気に呼応して食器がカタカタと揺れだした。

食器などの割れ物を空間にしまいつつメルディさんを見ると…彼は、怒っていた。同時に笑っていた。


凶暴で、凶悪な、圧倒的な武力を持つものの殺意が滾った笑み。


それはアイズさんにとてもよく似て、怖いはずなのに安心できてふっと笑いが込み上げた。


そして同時に気づく。


アイアン迷宮はソロには向かない迷宮だ。

なのに何故…強いメルディさんがここに居たのか。それから『ドワーフは群れているのが好き』と言っていたのに何故彼が一人でもこっちに留まり続けていたのか。


メルディさんにとってクリハラさんは『たった一人の』仲間で

メルディさんにとって白蟻は宿敵だったのだ。




殺意を放ちながらも酒を飲み、そして最後にはいつもみたいに笑顔で部屋に戻ったメルディさんを見送って。

ユーリさんとも別れてトールさんと私の部屋に行く。


「……メルディさん嬉しそうでしたね」


ずっと探していた宿敵の手がかりを見つけられて。

そう思ってそんなことを零したのだけれどトールさんは目をまん丸にさせて驚いていた。あれ、変なこと言ったかな?


「あの殺意を見てそうのんびりと言えるなんて、マリィも俺たちに馴染んできたなあ」


「私に向けた殺意じゃないですし、みんなが守ってくれますからね」


ベッドに座った彼に寄り添う形で「信頼してます」と言えば片腕で優しく抱き寄せられた。


「だが、あいつもかなり強い方だがそれでも厳しい戦いになるだろうな。生きたまま菌床にする蟻か…」


「魔法、でしょうか?」


「蟻が菌床にするというのは聞いたことはあるが、どうやってるか分からないからな…どう対策を取ればいいやら。偵察前に一度みんなで話し合う必要があるな」


「了解です」


下層に降りる前に話し合いだなあ。そんなことを思いながらも今は、大好きなトールさんにぎゅっと抱きついた。



余談

マリィ「そういえばクリハラさんってあのお話みたいなこと言わないと思うんですけど…」

メルディ「ああ、あれな。注意喚起のために情報で回したら話を聞いた奴らがビビってなあ。過剰に怖がらせないようにマグナムは付け足した」

マリィ「え、そこだけフィクション……クリハラさんは怒らなかったんですか?」

メルディ「あいつの持ってる暗器全部投げつけられたし、おかげで俺はあいつのために冒険者の野郎どもを教育する日々だ」

マリィ「……それは怒るでしょうよ。自分の瀕死体験が下ネタ混じりで話しまわられたら……」




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