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「おい、ちょっと待て。すげえいい匂いなんだけど何の肉だそれ」


「ダブルヘッドボアとオークキングの肉ですよ。片方は私からのお祝いです」


「女将さん…!」


「…俺の分もくれ」


「はいな」


お値段はまあそこそこするけれど美味さは保証する。本当は野菜もつけたいけれど野菜スープがあるのでお肉はそのまま出す。

すると冒険者さんは一口食べた瞬間ボロボロと泣き出した…。


「うめえ…うめえよ…」


「俺、生きててよかった…」


本当に苦労してたんだなあと、お茶とタオルを差し出すと冒険者さんたちは泣きながら完食をして酒場から出て行った。彼らにはこれからも冒険を頑張ってほしい。

そんな気持ちを覚えながら食べ終わったお皿を洗う。


「ありがとうな。クリハラのやつも何とかしてやろうと頑張ってたんだが如何せんなあ、ここは環境が悪い迷宮だからな」


「たしかに、やっかいだな」


まだ飲むつもりらしいメルディさんの相手を今度はトールさんがつとめて、私は邪魔にならないように静かに肉やキノコを串に刺したりパンの種をこねたりと細々とした作業を続ける。


「ギルドマスターとは長い付き合いなのか?」


「おう、あいつは元俺の相棒だ」


え。マジか。クリハラさんは見た感じ戦闘職じゃなかったけれども。

比較的マイクさんに似た感じだったが、それでもマイクさんの方が断然強そうに見える。

魔法職だったのだろうか。それだとしても、魔道具が使えないアイアンでは筋力がものを言う。 

とてもじゃないけれど、クリハラさんは下層から地上まで上がれる体型には見えないが…。


「…意外だな。魔法職だったのか?」


「いや、スカウトだ。でもまあ、今じゃ見る影もないけどな…」


全然スカウトに見えない。そう思っていると、メルディさんの表情が陰ってきていることに気がついた。

苦い苦い、苦しい辛い表情で……メルディさんは一気に酒を煽った。


「マグナムキノコ人間の話、知ってるか?」


真剣な顔で突如メルディさんの口から出たマグナムキノコ。アイズさんが語ったあの話を思い出して真顔になるのを慌てて取り繕う。


「…キノコを取ってたら菌床が生きた人間だったって話か?」


「ああ。あれ実は実際に有った話でな……クリハラは昔白い羽蟻に生きたまま菌床にされたんだ。かろうじて一命は取り留めたものの二度と冒険者として活動出来ない体になっちまった」


クリハラさん=菌床人間=マグナムさん

笑えない真面目な話なのに、頭の中で負のリンクが張られて必死に脳内で『俺のマグナムううううう』と叫ぶアイズさんをボコボコにして耐える。


気を抜けば変な声が出そうだ。


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