27
今更になりますが大量の虫表現注意です。
今回の最終ボスの都合上、虫が本気でダメな方はこれより先も辛いと思われます。
また同時に食物連鎖も注意となります。
その後も、蟻との遭遇は異常なほど多く感じた。幸い通路は狭いのでほぼ一対一の戦闘ゆえ、いつもアイズか俺が難なく蟻を仕留められた。
が、先頭の俺たちだけでなく後方のトレビィ達も度々蟻の襲撃を受けたらしく探索のスピードはどんどん遅くなって行った。
「どうする、羽の効果時間を考えるとそろそろ戻らないといけないが…」
「……だが、件の大穴はもうすぐだろう」
「ガドル、あんたが前に来た時はこんなに蟻が居たのか?」
「いんや、一匹当たったくらいだったな」
ポーションで回復できないぶん、全員の消耗も侮れない。特に何度も宿屋と往復をしているスカウト達と、普段は杖などの魔道具で効果を増した魔法を打っている魔法使いの消耗は著しい。
撤退すべきと頭では理解をしているが……嫌な予感がした。この先を確認しておかないと、非常に危険な事が起きると。
後方部隊と合流して、ガドルと残りの距離を確認して決断を下す。
「アイズ、走れるか?」
「ああ、余裕だ」
「じゃあここからは俺とアイズだけで走って行ってくる。俺たちが戻り次第撤退だ、各々体力を温存しといてくれ」
残った距離は推測では1キロ弱。
邪道だが蟻は切り捨てながら走って進んで、帰りに回収をしよう。本来なら他の蟻などに回収されないよう『後で』なんて許されないがなるべく仲間から離れる時間は短くしたい。
マジックバッグが使えれば、楽なんだがな。
そんな事を思いながら脳裏に口をとがらせて拗ねてから…嬉しそうに笑うマリィの笑顔が浮かんだ。
「どうしたトール」
「…いや、ちょっと緊張が解れてな」
大丈夫、大丈夫だ。
アイズと狭い道を駆け抜けて、蟻を切り捨てて。
最後の方は数メートル感覚で蟻に襲われながらも、俺たちは目的地である大穴にたどり着いた。
(おいおい、まじかよ…)
そこで目にした光景に、愕然とする。
たくさんのキノコ。キノコが発する胞子で空気は白い煙だらけだった。
壁を埋め尽くすほどの色とりどりのキノコの真ん中に横たわる……巨大なモグラを食う、体長10mはあるであろう真っ白な体に巨大な羽を持つ蟻。
(女王蟻だ)
そして女王蟻の周りをうろつく蟻、下層に本来はいるはずの無い羽蟻も下層サイズで大量にいて。
………そんな蟻たちの数とは比べ物にならない数の白い、人間の子供ほどのサイズの卵がびっちりと床を埋めつくしていた。
よく見ると一部の卵は灰色や黒色をしていて……孵化した卵の殻はどれも黒かった。
むしゃり!!
モグラの肉を食いちぎる女王蟻。女王蟻は食いながらも同時に卵を産み続けていた。
(餌場と産卵場だな)
(……襲われないうちに戻るぞ)
アイズとアイコンタクトを取り合って急いでその場を立ち去る。
が、俺たちの存在は一部の蟻に気づかれた。
即座に蟻の死体を投げて渡すと、俺たちに威嚇行動を取っていた蟻達は仲間の死体を受け取って…そのまま女王蟻の元へと立ち去って行った。
やばい、これはやばい。
残った素材を回収しながら全速力で仲間の元へ戻る。
あの数の卵が孵化したら……スタンピード(魔物大量発生)が発生する。
精霊石どころではない事態だ。大至急仲間と合流してギルドに報告すべく、俺とアイズは全速力で帰還した。




