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「買取の方はどう?」
「好調好調。羽蟻が200体を超えたよ。ギルドと組合に卸しても十分に余裕が出るかな。あ、冒険者5組はここで残って五日後に拾ってくれだって」
「了解だよ。他の組はみんな一緒に下層に行くのね?」
「うん、冒険者が2組と鉱夫が4組は共に下層に行くって」
中層居残り組は一時的に居なくなるもののたくさんの日持ちする食料を買ってくれたので想像以上に利益が出た。
食料の在庫の方も、余ったキノコは買い取っていいからキノコを食材にしてくれとの持ち込みが多いらしくキノコの在庫が笑えるくらい増えている。どんだけキノコが食べたいんだ。
何事も問題は無さそうだが…すごく気になる光景が目の前には広がっていた。
「ねえ、ダーツ…あれ、なに?」
指さした方向には、羽を毟り取られた蟻が何体も壁に磔にされていた。緑の大地に白い壁。その白壁に黒い蟻が磔になっているのだからすごく目立つ。そして気になる。
「ああ、あれね…蟻を乾燥させると持続性の燃料になるのは知ってる?」
「そのままだと高火力で、乾燥させると木炭みたいな感じなんだよね?」
「そうそう。それで、ガドルさんが干し始めてそれを見た本職鍛冶師の人達が真似を始めた」
景観が……だいぶ最悪です…。匂いとかはしないけれどどうしても目立つし、気になる…。
「…陽光ランタンで天日干し出来るの…?」
「さあ。試してるみたいだよ…」
そうか。そうなのか…。
でも天日干しが出来るのなら干し肉や魚の干物を作ってもいいかもしれない。
いや、時間停止空間があれば日持ちを考える必要は無いけど……そうだね、今中層に残る予定の冒険者さんたちみたいに日持ち食料の需要は十分見込めそうだ。
「そういえば姉さん、問題が近い将来発生しそうなんだけど」
「え、どうしたの?」
何が起きたんだろうと壁からダーツに視線を移すと、ダーツは苦笑いを浮かべて地面を指さした。
地面。そこには緑色の草が茂り始めて居る。
キャンプエリアの土地は寝やすいように草を生やさない予定だったが買取所の周りに生えてるくらい問題ないと思うけど、何が問題なんだろう。
「……これ全部薬草だよ」
薬草。え、雑草じゃないの?
え、薬草。全部雑草……薬草!?!?
よく見るとそれは幼少時嫌ってほど食べた薬草だった。あっちも、そっちも、生えている草はほぼ全部薬草だった。
「…さ、栽培に成功したの?」
「…それがね、どうやら薬草は魔力濃度の高い空気と精霊が触れ合うと生成されるらしくって……ほら、うちの奥で冒険者さんたちがスキルや魔法をぶっぱなしてここ、魔力濃度高いから……」
「……グリーンさんと連鎖反応をして爆発発生してると」
「うん。これだけあちこちに生えると収穫が大変だなって」
「ああ、それは大丈夫だよ」
広大な大地と陽光ランタン。
ここは私の空間だ。
目を瞑って、アイテム袋の中に手を突っ込んで欲しいものを取り出す要領で……『薬草』を『取り出す』。
そう念じた瞬間。
空中を高速で舞い飛ぶ無数の薬草薬草。
そして扉の外に莫大な量の薬草が溢れ出し。
……私は薬草畑を台無しにしたとレオに、丁度外から入ってこようとして薬草の流れに巻き込まれたアイズさんに、ちゃんと事前に準備をしてからやりなさいとトールさんとダーツにめっちゃ怒られた。




