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「お、そろそろ順番だな」


「ああ、マリィ頼めるか」


「ほいさ!」


メルディさんが渡されたトロッコの中の横壁に扉を張って、屈んで滑り込むように中に入る。

そしてさらに入口を狭くして顔くらいのサイズにするとメルディさんとトールさんが乗り込んできた。

メルディさんは背中しか見えないが、トールさんの顔は斜め上の辺りに見えて目が合うと笑って軽く手を振ってくれた。


「よっしゃ行くぜ、中層だな」


「ああ」


「おう!」


そして前回より幾分か小さな爆音と共にトロッコがガタガタと揺れる音が聞こえた。


「中で支度していていいぞ」


「はーい」


これで、数時間後には中層に着く。

そうすればいよいよ、第二の宿屋の始まりだ!!





アイアン迷宮で宿屋を出してから四日が経過した。明日は中層から下層に降りる予定なのだが。


「あっはっは、嬢ちゃん芋酒のお代わり頼むぜ。ほら、嬢ちゃんの分もつまみ買ってやるから落ち込むなって」


カウンターの中からメルディさんのコップにお酒を注ぐとメルディさんは楽しそうに笑ってつまみの焼き串代を二本分出した。

すこしむくれながら二本の串焼きを出すと、一本はほれと渡されてやけくそになりながらがぶっ!とネロの作り置きの串にかじりつく。


「しかしこっちは今日も閑古鳥だなあ」


そう言って笑うメルディさんの言う通り。宿屋の客はメルディさん一人であった。


「せっかく客室の準備をしてるのに、みんなキャンプ場の方に泊まるんですよ」


「ドワーフは群れて行動するのが好きだからなあ。それにキャンプ場はガドルの工房や買取所、訓練所が近いのもあって便利だからな」


そう、メルディさん以外のお客さんは全員キャンプ場に自前のテントを張って泊まっているのだ。その数11組。人数で言えば40人近くが泊まっているのでネロ、リリエラ、レオとリオとダーツはそちらの方で食堂や雑貨屋、買取所などの業務を行っている。


一方私は唯一のお客さんであるメルディさんを一人でもてなしているのだ。


尤も、お客さんは1人でも護衛団のみんなのお世話もあるからめちゃ暇!という訳でもないけど。


「お、飲んでるのかメルディ?」


そんな事を思っていると丁度狩り当番だったアサシンズのみんなが帰ってきた。


「おかえりなさい」


「ただいまマリィちゃん」


「マリィちゃんお腹減ったー。キノコシチューちょうだいー」


アサシンズの中で一番表情豊かなティースさんが疲れた!と言いながらカウンター席に滑り込んできたけれど、クスリとわらって髪に着いた小石を取る。


「ご用意しておくのでシャワーでも浴びてきたらどうですか?顔も汚れてますよ」


「マジで?どこどこ」


そう言ったティースさんは慌てて顔を擦るが、そのせいでかえって汚れが広がった。

まるで小さな弟妹みたいですごく可愛い。


「おお、男前になったなあ?」


「顔真っ黒だぞ」


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