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目の前にはででーんとそびえ立つアイアン迷宮の入口。
と、トロッコ待ちの長蛇の列。
どうやらギルドと組合での宣伝効果が出たらしく、たくさんの鉱夫と冒険者、それから外部の冒険者が押しかけたらしい。
「申し訳ありません、トロッコの在庫がこの辺りまで持つかわかりませんが待たれますか?」
「それは……困るな。歩いて行くか」
その列、最前列が見えないくらいの長さで。トロッコが無くなったらいつ戻ってくるか分からない返還待ちになると聞いてトールさんは即座に徒歩で降りることに決めた。
前回同様数人組で、トロッコが無いから私をおぶって降りるか話しながら長蛇の列の横を歩き、本来は帰りで使う用の長い坂道の入口を目指していると突然大きなハンマーを担いだ見知らぬドワーフに声をかけられた。
「おーい、そこのあんたら。噂の宿屋だろ?」
私より小さいのに私がまるまったくらいのハンマーを担ぐドワーフは、様々な人が混ざった列の中でも非常に目立った。ほら、荷物は最小限が普通だから。こんな大きな武器を持った人は非常に目立つ。
「おう、今日から五日間中層、その後五日間下層で宿を作るからよろしくな」
アイズさんが元気よく宣伝をすると、ドワーフさんは腹を抱えて豪快に笑いだした。
「おう、めっちゃ泊まる予定だからよろしくな。あんたら、歩きで降りる気かい?」
「ああ。トロッコが足りないらしくてな」
「それじゃあ俺と相乗りしてかねえか?トロッコは小さいサイズでも人族なら二人乗りだ。だが俺はソロだ。一人分しか空いてねえが宿屋の姉ちゃんが居ればそれでもあんたら全員乗れるんだろう?先日世話になった礼だと思って相乗りしてってくれよ」
思わぬお誘いに、目をぱちくりとさせる。覚えはないけれど、どうやら彼は先日拾って帰った人の一人だったらしい。
「なあ、トロッコの台数変わらないからあの嬢ちゃん達を俺のに乗せても良いよなあ?」
「おう、構わないぜ」
「俺たちの順番に変動ないなら良いぜ」
返事をするまえに列の後ろの人達に許可まで貰ってくれたので、トールさんは困ったように笑ったけれど彼の提案に乗ることにしたようだ。
「じゃあお言葉に甘えよう。マリィ、俺以外の皆を中に入れてくれ」
「はい」
言われた通り一緒に歩いていた護衛団のメンバーをトールさん一人残して全員宿屋の中に仕舞うと、並んでいた人達がおおー!とざわめく。
少々気恥ずかしく思いつつ、笑顔で手招きをするドワーフさんの元へトールさんと共に歩み寄った。




