20
「……二つ加えて欲しい条件がある」
「おう、なんだ」
「先程ガドル氏が自分で言った通り迷宮宿屋が稼働中は宿屋内で修理屋をやってくれ。それに加えて、そちらの女性も一緒に迷宮宿屋で働いて欲しい」
「グリーンは人じゃない。大したことはできねえぞ」
「大地の精霊だろ?宿屋内には畑もある。精霊が居る場所は作物がよく実ると言うから作物の世話と、薬草を育てる手助けをして欲しい」
その追加案件にガドルさんは目を丸くして、グリーンさんは嬉しそうに笑って何度も頷いて、レオは目を見開いてじっとトールさんを見上げた。
「トール兄ちゃんそれって…!!」
「大地の精霊は植物にも精通してると言うからな。薬草畑、苦戦してるんだろ」
「兄ちゃん!!!!」
そんなレオの頭をトールさんが微笑みながらぐしゃっと掻き回すと、レオは思いっきりトールさんに抱きついた。そんなレオを片手でポンポンと背中を叩きながらトールさんは表情を引き締めてガドルさんに向き直った。
「それから二つ目。今の俺たちの本職は迷宮宿屋の護衛団だ。護衛業務最優先の傍らのクエストになるから場合により任務達成が困難な事もあるかもしれない。クエスト失敗時の違約金はアイズの剣の代金で勘弁してくれ」
「ああ…ああ!それでいい!それでいいから頼む!」
「ちょ、親方!俺も連れてって欲しいっす!冒険者の兄さん!俺は皿とか焼き物が得意っすから、皿でもコップでも作るっすから連れてってくれっす!」
「だ、そうだ。こいつも頼めるかトールさんよ」
「こちらとしては構わない。もちろん条件として出したがきちんと給金は支払わせてもらおう」
こうしてアイアン迷宮宿屋の営業期間は、期間限定で三人の追加従業員を雇うこととなった。
ドワーフ鍛治職人 ガドル
確かな腕の鍛冶師で大物の制作から修理までを万能にこなす凄腕職人。
ドワーフ鍛治職人見習い クレイ
鍛治の腕前は未熟だが、焼き物の腕はそれなりに高い。けれど結果的に今回はリッツの補助として牧場の補佐をしてもらうことに。
大地の精霊 グリーン
基本的に喋れないけれど豊かな表情と身振り手振りで意志を伝える精霊。
存在だけでも緑を豊かにするけれど、今回は畑活動にものすごいやる気を見せてくれてるのでレオの補佐兼教師として畑担当を任せることになる。
宿屋の準備を整えて
食材も道具もお酒もいっぱい買い出しに行って
商店街の方に指示されたマジックバッグを貸し出して
フェルンさんのお店を提示されたややこしいけれど、なんかよくわかんないけどすごいデザイン通り作って
宿屋の制服を貰って
ラクーンのみんなからの手紙を読んで、返事をそれぞれみんなで書いて。
他にもいっぱいいっぱいで、あっという間に出発日が来た。




