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「あの女性がリオの結界を超えてきたんだ」
「でも、お茶を届けてくれただけだと思うよ」
「……すまない、早合点をしたようだ」
ユーリさんの言い分とダーツの言い分を聞いてトールさんが謝り、ガドルさんもお姉さんの無事を確認したのか険しい表情を緩めた。
「いや、俺も悪かった。そいつは、人間……だよな?」
「ああ、俺たちの仲間だ」
「ねえねえロディ『大地の神の使い』って何?」
大人たちが状況確認を終えて謝罪し合う中、好奇心旺盛なレオが空気を読まずにロディに問いかけた。するとロディはニコッと笑って……少し距離を取ってから右の掌を開いた。瞬間、ボッとそこに火が点った……ように見えたけれど、それはただの火じゃなかった。
掌に乗る小さな燃える人が、ロディの掌の上には乗っていた。
か…可愛い…!
炎の髪。手足も炎を纏った小人は私と目が合うと嬉しそうに笑ってくるくるとその場で一回転をしてくれた。
『俺は炎の一族として炎の神ゴゴウスの使いの力を借りることも出来る。これが炎の神の使いでそこの女人は大地の神の使いだ』
つまりこの可愛い火の小人とお姉さんが同じってことか…二人をキョロキョロと見返すとお姉さんはニコッと笑ってひらひらと手を振った。
「こいつが『精霊石』に宿ってるはずの精霊、か…」
「ああ。グリーンはモグラに襲われた俺を助けるために本体の精霊石から離れちまったんだ。日に日に弱ってくから本体に帰れっつってんのに、帰りゃしねえ。だから精霊石を発掘してやるしかねえんだが俺にはモグラを倒せねえし、下手な冒険者に言やぁ精霊石持ってドロンだ。マジで俺に出来ることは何でもするから頼むぜ…」
ふむ、ガドルさんの依頼というのはお姉さんの本体を持ち帰ることなのか。
アイズさん達が危ないことをしないならば、受けても良さそうな気がするけれども私が口をだす問題じゃないしじっとロディさんの小人を見る。小人は少年のようで楽しそうに私に向かって大きく手を振っていた。弟妹とはまた違った意味でかわゆい。
「『精霊石』のそばには大規模な菌床と、4m規模の超大型のモグラが番で巣食ってる。モグラの片方は孕んでたから当分動きゃしねえはずだ。キノコと、モグラだけでも十分稼げるはずだ」
決定権がないからか、アイズさんは黙って目を閉じた。そのせいで、ガドルさんとトールさんが見つめ合う羽目となっている。
私より小さなガドルさんが背の高いトールさんと見つめ合うには首が痛そうだな、と感じた。身長差倍くらいあるんじゃないだろうか。




