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だが、続いたユーリさんの言葉でまたレオの目が輝いた。
「そういえばエルフ神樹王国に生産成功率をあげる装備が売ってたような…」
「本当!?」
「ああ。魔職の装備を整えるのにエルフ神樹王国も行くことになるだろうから、それまでレベル上げをしながら中級ポーションで堅実にお金を稼いだらどうだい?安い装備では無かったはずだから」
「そうします!!ダーツ兄ちゃん!薬草いっぱい買って!」
「ギルドに採取依頼はもう出してるよ」
さすがダーツ。仕事が抜かりないと思いつつ、レオのやる気もリオの懸念も無事解決することになりユーリさんに頭を下げるとユーリさんは気にするなと言うようにニコニコ笑って手を振った。
それでも、世界樹の葉は買ってあげようと思ったのだけど。
「え…品切れ?」
「ああ。最近取り寄せようにも入荷しなくってね。おかげでほら、ポーションが軒並み高騰中だ」
そう言って錬金道具屋の主人が指さした先に置いてあるポーションは
低級ポーション1500→2000
中級ポーション5000→7500
高級ポーション15000→45000
どれも軒並み値上がりしていた。と言うか高級ポーションの値段が本気でえげつない。
「あんたらが錬金術師ならポーションを卸してくれないかい?最近高値で採取依頼を出してる輩がいるらしくてうちのお抱えがポーション作れないって言ってきて困るんだよ」
「すみませんがうちも自分たちの分で精一杯なので」
そう困った顔でお断りするダーツだったが、さっき言ったよね。
『ギルドに採取依頼をもう出してるよ』って。
あ、犯人こいつだ。姉弟全員がそう思ったらしく、全員があちこち商品をわざとらしく見だした。
瓶とか世界樹の葉以外の色々な素材を買って店を出て、先に色々と調べててくれたエストラさんの案内で次の目的の店に移動する中レオがぽつりと呟いた。
「なあ、兄ちゃん。宿屋に納品するポーション、少し数減らしてもいいかな」
「ん、構わないよ。アイアンに卸すの?」
「んーと…ポーションの値段が上がると、冒険者のみんな困るだろ。アイアン迷宮は中でポーション使えないから需要が少ないかもだけど…ちょっとでも冒険者のみんなの助けになれたらって。今までの値段で売りたいなって」
良い子だ…!!
確かに私達は冒険者の人達の恩恵を受けて育ってきたようなものだ。
私がギルドや鉱夫組合と良い関係を築きたいのと同じでレオも助けになりたいのだろう。昔と違って生活に余裕もあるし、余計恩返しをしたいのだろう。
「じゃあ宿屋で売るポーションの価格も今までの市場価格で売る?」
「それだと転売する人が出ちゃうかもだから、数量限定にした方がいいかな」
「下級、中級ポーションならそれで問題ないかもね」
「あ、でもダーツ。他の錬金術師さんに迷惑がかかるから高値で買い取るのは止めようね」
「うん。今週いっぱいのみの高価設定にしてあるよ」
ダーツはどこまでも抜け目ないなあと笑いながら、買い食いもして調味料も買って。
古着屋で服も買って、でもロディの体格に合う服は古着では無くって。
孤児院では服の修繕やサイズ直しなど皆やっていたから、皆ある程度裁縫も出来るからじゃあロディに暖かな服を作ってあげようって盛り上がり。
入る予定の無い店の前を通り過ぎると、不意にトールさんが足を止めた。
「そういえば、アイズの剣の調整が終わったらしい」
そう言ってトールさんは自宅と一体型の工房を指さす。
弟妹とロディと顔を見合わせあい、にやりと笑って私達はノリノリで工房の扉を叩いた。




