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「全くもう、何してはるの」
「ごめんなさい」
「悪かった」
「ごめんやで」
事態が収まると、当然の如くマキエ姐さんには怒られた。トールさんはわかるが何故かモモ婆も一緒に怒られてることに首を傾げつつも、大人しく怒られておく。
ちなみに動物は農場に戻して、ロディはマグマ化した身体を鎮静化中、ダーツはアサシンズと一緒に仕切りをとっぱらった宿屋内の被害の確認に行っている。
「…でもここがアイアンで良かったどすなあ。あんだけの火柱を上げたんに『あれは炎の神の仕業に違いない!』言うてドワーフ達が喜んで騒いで、おかげで現地出店者達が怒涛の勢いどす。宣伝には最高のパフォーマンスや」
出店者が集まるのはいい事なんじゃ無いだろうか。と思うも、マキエ姐さんの笑顔には明らかな怒りが張り付いていたので黙って大人しくする。
「と、言うわけでモモ婆。謝るんならモモ婆の奴隷を貸してや。事務仕事の手が圧倒的に足らへんわ」
「あいよ。ええ人材今夜までに揃えとくわ」
「マリィははよマジックバッグを作って、それからダーツと相談してからギルドと協会と協議して宿屋の料金設定を決めてきて」
「了解!」
「ああ、行く時はうちも連れてってなマリィちゃん」
マキエ姐さんは本気で忙しいのだろう。お説教は怒り具合の割に早く終わって、宿屋の方にトールさんと戻る。
宿屋の方は、真っ暗だった。
そうか、天井に着けていた陽光ランタンが壊れたんだなあと思いつつ壁自体を発光させて昔のように明かりをつける。
が、天井は真っ暗だった。
「おかえり姉さん。牧場も畑も、一応無事だったよ」
「…ありがとう空間壁よ…!でもあの天井、なんで明るくならないんだろう」
天井と言うか、よく見ると上と下を区切った壁があった場所から上が真っ黒だった。
不思議に思って上まで浮いて天井を触ってみると手がベッタリと黒くなった。
これは…煤?焦げた?
詳細は分からないがどうやら煤だらけのようなので、物さえ判れば認識は簡単なのでざっと煤を集めて適当な空間に放り込む。
煤を取った天井はまた綺麗な天井に戻った。
「なんだった?」
「煤汚れ?だったよ」
「あー、なるほどなあ」
宿屋空間の問題は陽光ランタンと煤くらいだったようだ。
ならば、マグマ人間になったロディの様子を見に行こうと思ったけれどそれはトールさんに止められた。
「万が一でもマグマが飛んできたら火傷では済まされない。俺たちは不意打ちでもある程度躱せるけどマリィは無理だろう?」
「無理です」
うん、それは止めた方が良い。
というわけで申し訳ないけどロディは二日間ほど訓練所奥で待機。そして私はマジックバッグを作りつつダーツと情報交換をして、モモ婆と共に冒険者ギルドと鉱夫組合に乗り込み値下げした宿屋と運び屋の案は無事に通った。




