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「一緒に空間商店街に来たもんのことを言うとるんじゃろか?」
「いや、一緒に宿屋の方に入った人たちです。二人いますよね?」
中に入ってるものは、出すことは出来る。
でもトールさんが許可したんだし無理に追い出さなくても良いので出てきてくれないかなとキョロキョロと辺りを見回す。
「…そうやなあ。すまんなあ、過保護なうちの家族みたいなもんや。恥ずかしがり屋で出てこれんが許してくれへん?」
「そうですか…」
残念だけど正直に言われてしまったら仕方がない。
「多分、護衛だ」
そうトールさんに耳打ちされたので見えない人の捜索は諦めることにしよう。そう思った時だった、宿屋の方からロディがすごい速さでこちらに走ってきた。
『呼んだか主人!!』
さすが足速いなあと思った時だった。モモ婆を守るように二人の青年が突然現れたのは。
「あ、うちの仲間のロディです」
おお、出てきたと思いつつ明らかに敵意を示されてるので慌ててとりなす。
目の前で急ブレーキをかけたロディはいい笑顔を固めて、ギギギと急に鈍い動きを見せてモモ婆をじっと見て慌ててそっぽを向いて頭を下げた。
「イラッシャイマセオキャクサマ」
「ぶふっ!」
唐突なロディの公用語に。そして凄まじいカタコトに思いっきり吹き出す。
「…これは御丁寧にありがとさん。うちはマキエの祖母のモモ婆や。あんさん、そないな格好で暑ないん?」
「ィ、イラッシャイマセ」
全身モコモコな服に包まれた真っ黒な巨体で「イラッシャイマセ」とぎこちなく言うのはとても面白いけれど、恐らくまだそれしか覚えてないのだろう。モモ婆に興味津々に見られて、こちらに助けを求めるように見てオロオロしだすロディがさすがに可哀想になってきたので助け舟を出すことにする。
「モモ婆、紹介します。彼が恐らく私たちの中でもっとも強いロディと申します。ですが彼はまだ公用語を覚えていないので人の会話思考を読み伝えするポーションを飲ませています。思考会話が表層のみ読まれますが良いですか?」
無断で相手の思考を読まないよう配慮してくれているロディは未だに私をじっと見ている。
「…そんな便利なポーション聞いた事あらへんけど、会話表層のみが読まれるんか?」
「はい。ひとつお試しで差し上げましょうか?」
「もろとくわ」
モモ婆にポーションの予備を渡すと、モモ婆はまじまじとポーションを見つめて…目の色が一瞬だけ変わった気がする。
あれ、と疑問に思うまもなくモモ婆はにっこりと微笑んだ。
「ん、問題無さそうやな。うちのことも読んでええよロディ」
『そうか、まだ言葉覚えられてなくてすまない』
「ええよええよ。で、マリィちゃん……これ、ホンマに人間なんやな?」
「人間です(たぶん)」
キッパリ言いきったけれど、その問いかけに若干自信を持てなかった。




