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「まだこの街に来たばかりなので右も左も分からないので答えかねます。でも、私を保護してる方やクリハラさんたちに配慮できる仕事を出来たらと思います」
そんな重い問いかけの答えなんて簡単に出来はしない。
迷宮宿屋は私だけの仕事じゃないんだ。
でも、クリハラさんの望みにも配慮したいと言えば彼は生真面目な表情を崩して困ったように笑った。
「ありがとうございます。うちの迷宮は稼ぎにくいので…ラクーンほど冒険者は金を持ってないのでお手柔らかにしていただけると幸いです」
そういうとクリハラさんは数通の手紙を差し出した。
「これは…」
「ラクーンギルドからマリーロズ殿に送られてきた手紙です。ガンツ殿からも何度も『うちのマリィを頼む』と連絡が来ていますよ」
それは故郷からの手紙だった。今すぐ封を開けて読みたい。ちゃんと別れの挨拶が出来なかったみんなからの手紙を読みたいけれど…グッと堪えてそれを私物空間に収納する。
「ありがとうございます。お返事はギルドに依頼すれば出せますか?」
「うちでも出せますがマリーロズ殿でしたら商業ギルドを通された方が早いかもしれません」
「そうですか。わざわざありがとうございました」
「いえ。クエストの報酬のお渡しと、こちらとしても迷宮宿屋と是非連携をさせて頂きたいので落ち着きましたらギルドの方にいらして頂いてもよろしいでしょうか?」
「かしこまりました。営業担当のものと共に伺わせていただきます」
クリハラさんと話してる間にみんなの支度は終わったらしく、次々にお客さん達は空間から出ていった。
ドラ殺も銀華も出て、そこにエストラさんとガドルさんとクレイさんも混ざる。
弟妹たちは朝食で使った食器の片付けや、畑の世話などがあるから中に残るそうだ。
「エストラ、マキエ達はどこだ?」
「今は商業ギルドで部屋を借りてそこに居るよ。出店交渉を…みんなでしていた筈だ。帰還連絡はしたから今から行ってもみんなはもう起きてると思うよ」
「そうか。まだ店とかもやってない時間だし帰るか」
やっとマキエ姐さん達の元に戻れる。そう思ったのだけどアイズさんは手を上げて「俺はガドルんとこ行くわー。新しい武器欲しいし」と言った。
「アイズ一人に行かせる訳には行かないからねえ」
「私達も付き合ってくるわ」
「ついでに俺たちの武器も見繕えたら良いし」
「…と、言うことだ」
するとドラ殺の面々が揃ってついて行くと言い出したのでここでガドルさんたち&ドラ殺とは一時別れることにする。
アイズさんはあの牙をどんな風な武器にするんだろうか。
そもそもあんなに硬い牙をガドルさんはどういう風に加工するんだろうか。
戻ってきたら聞いてみよう。
そんなことを思いながらエストラさんの案内で商業ギルドへとゆっくり、街並みを観察しながら向かった。




