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『その長物くらいのサイズで、軽くて頑丈な得物が欲しいのか?』
「おう、つっても魔鉄より硬くて軽い鉱石なんて無いけどな」
『主人に聞いてみればどうだ?主人はアイズを大事にしてるから相談に乗ってくれるんじゃないか?』
「え、私!?」
何故そこで私に振るんだロディ。
真っ直ぐ見つめてくる目は純粋そのもので『主人なら出来るだろう』という信頼が詰まってる気がする。
「ぷ、マリィ頼むぜー、マジックバッグと剣をくれよぉー」
「いやマジックバッグはこの前ひとり一個あげたでしょ」
「迷宮に入る前にゴミでいっぱいにするからってエレーヌに没収された」
「食べ終わった骨や脱ぎ捨てた服まで入れっぱなしにしてたら没収もするわよ」
それは…うん。没収されても仕方がない気がする。というかゴミはゴミ箱、洗濯物は言ってくれれば綺麗にするのに恐らくそれすらも面倒だったのだろう。
「あーわかる。レオも研究し出すと何でもかんでもマジックバッグに入れてるんだよ」
「片付けもしないで、新しい服を買い足すから本当に無駄なのよね」
「わかるわかるよエレーヌ姉ちゃん」
「良いじゃねえかよ全く」
完全に不貞腐れたアイズさんの様子に相談がご破談になったのを察したのだろう。
ロディさんが爆弾発言を落とした。
『なんだ主人、あれはもう処分したのか?』
「…はい?」
『硬くて軽い得物、持ってるだろう主人』
持ってる…持ってる!?
え、持ってるの!?
ロディさんが知ってると言うことは彼と絡んだ時に手に入れたもの…初めて出逢った際に去り際に…貰った牙!
『俺が振り回しても折れないから相当な強度はある筈だぞ。地底でも短剣としてよく活用されている』
え、そんなの持ってたの?と言う視線を集めながら2m程の細長い牙を取り出す。
もらった当時は大慌てで気づかず、やばそうなものだったから空間にしまって忘れていたが…確かに、これならば。
私でも持てるくらい軽いんだ。
「…どうぞ」
「……ああ」
先程まで不貞腐れていたのに今はすごく真剣なアイズさんに牙を渡す。
牙だからか少し反っている。それに持ち手が無いから先端の尖った方を持っているが…太い根元の部分も今までアイズさんが使っていた大剣より少し大きいくらいだ。
アイズさんは牙をじっと真剣な目で見つめてーーー
「ちょっと壁殴るぞマリィ」
「…はい」
さっと奥の方の壁の元へ行って、壁を切りつけようと構えた。
全員が、ゴクリと唾を飲み込んでアイズさんを見守る。




