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「レオー!予定通り村につくってー!欲しいものは変更無し?」
「ああ、姉ちゃん…それじゃ実際に畑として使用されてる土壌に野生で生えてる薬草を土壌ごと。それから畑じゃない部分の土壌と、育てている作物の種と、あと肥料として使われているものと、それから…」
「うん、出てきて自分で買って」
事前予定では薬草と種って言ってたのになんかややこしい土が増えているし。
そんなレオは元気の無い薬草畑の土を触りながらブツブツと呟いている。
畑の方は問題なく発芽しているのだが、どうも薬草の方は上手くいかないらしい。
私の中の認識も、薬草はいやでも勝手に生えて来るものだったからなあ…。生やそうと思ったことがないからわからない。
「問題は土壌か?空気か?いやみんなのスキルや魔法で空気中の魔力量は多いから薬草の生育環境としては優秀な筈だ。となると肥料か…いや家畜の糞や焼いた骨などそちらも…」
レオが怖い。元々眉唾物な錬金術にも手を出していたけれど最近のレオは私の頭ではちょっと何を言っているのか分からない。
よく分からないので微笑んで適当に相槌を打っているとそんな私とレオを見てトールさんがぷっと笑いだした。
「トールさん?」
「いや、すまない。二人とも可愛くてな。レオも考えるのは良いけどあまり根を詰めすぎるな。そうだな、村で農作業に従事してる人に話を聞いてみたらどうだ?リッツは動物に関しては強いがそちらはからっしきなようだし」
「はっ!そうだね!そうするよトール兄さん!実際に植物を育ててる人に聞くのも大事だよね!」
「もしかしたら薬草を育ててる人も居るかもしれないしな」
「それもあったね!僕ちょっと質問することまとめて書いてくる!」
トールさんの言葉でハッとしたレオはすぐに走って本館の方に飛んで行った。
どうやらこの分なら欲しいものは自力で集めて来そうだ。
トールさんと笑い合ってから今度は農場の方へと足を向ける。
「リッツさん、そろそろ着きますけど追加で欲しいものはありますか?」
「とにかく飼料だね。ユーリと一緒に雑草や牧草を生やしているけどまだ全然足りないから」
「ふむふむ。ひよこのご飯も一緒ですか?」
「ひよこは穀物を潰したものを食べるから大丈夫だよ」
そう言ってのほほんと笑うリッツさんの後ろには先日産まれた小さくてまん丸い黄色い毛玉がぴよぴよ!と自己主張をしながら歩いている。めちゃくちゃ可愛い。
ひよこは産まれて初めてリッツさんを見たせいかリッツさんにとてもよく懐いている。どこに行くにもついて行ってるが……リッツさんは護衛団の中核を担っている。
元々パーティだったドラ殺のメンバーは大丈夫だけど、それ以外のメンバーは強化魔法に慣れなくてはいけない。
基本は3パーティに分けて行動をするようだけど、緊急時はどう組むか分からない。
咄嗟の時に連携が取れるようにと、現在護衛団のみんなは実戦訓練で互いの実力を確認し合っているのだ。
「そうだ、マリィ。卵と牛乳を厨房に持ってって貰ってもいいかい?まだしばらくあっちには行けそうに無くって…」
「良いですよ」
「苦労をかけるなリッツ。でも付与魔法は頼り切るのは嫌だが慣れておかないと感覚がおかしくなるな」
「ラクーンでトールに掛けてたのは速度上昇と範囲のアイスバリアくらいだからねえ。攻撃強化とかは過剰攻撃になると魔物の素材をダメにするから難しいよね」
「本当にな。もうしばらく付き合ってくれ」
「しばらくなんて言わないでよ。俺たちはもう同じ護衛団なんだからさ、団長」
「…そうだな」




