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2度目の結婚は貴方と  作者: 朧霧
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父親

 勝手に拉致されて本当に待たされるしお茶の一つも出てこない。話の予想はつくから早く終わらせて帰りたい。扉が開き父親であろうと想像できる人が入ってきた。一応、マナー上立ち上がったが挨拶もなしに横柄な態度でソファーに座ったのを見て私も挨拶せずに座った。


「お前がレオナードと一緒に住んでいる女か」

 

「はい? 女という名前ではなくリオナと申しますが」


「全く卑しいくせに態度が悪いな。教育を受けていない者はこれだから困る」


「卑しい? 貴方に言われる筋合いはありません。それに態度が悪いのはどちらでしょう。執事の方も貴方も初対面の人に対する態度でしょうか? 理解しかねます。

それで、私をここに連れてきたご用件は何でしょうか?」


「レオナードから今すぐに身を引け。お前のような女がいると家名に傷が付く。お前の目的は分かっているからな。金はやる、すぐに別れろ」


うわぁ…、どこかの国でよくあるドラマみたいな流れだわ。


「私の目的をご存知で? お金ですか? 不正解ですけど。答えは目的なんてありませんしレオナードさんと共に生きたいから一緒にいるだけです。何か誤解があるようですが私はお金に困ったりしておりませんし借金もなく生活するだけの稼ぎもありますよ? それに、先程からお前のような女とおっしゃられていますが貴方と会ったこともありませんが私の何をご存知なのでしょう」


「お前のような孤児はみな同じで卑しいに決まっている。無駄話はいいから早く別れろ。トマス、書類を持ってこい」


「本人が知らないところで話をすることではないのでは? 貴方が直接レオナードさんと話し合いをなさってください。私を脅しても解決しませんよ?」


トマスという執事が戻ってきた。お金が入っている袋と書類らしき物を投げつけるように私の前に置いた。


「お前にはこの書類にサインをしてもらう。金は十分足りるだろ? 一生お前が働いても得られるような金額ではないからな」


どうやら書類は別れて今後近づかないという内容の書類だ。ブルーベル家の質が低いのか? レオナードさんと本当に親子?


「サインはしませんしお金も受け取りません。レオナードさんからレオナードさんの言葉で直接別れると言われない限り別れることはありません」


「黙って聞いていれば調子に乗りすぎだ。お前一人を消すことなど容易いからな」


またか、これ。どうして人を脅したり消したりすれば問題が解決すると考えるんだろう?


「どうぞ、お好きになさってください。私が消えても悲しむ肉親もおりませんし心残りもありませんよ? 高貴な貴族の方でもそのような方法でしか解決できないのですね」


なんだかレオナードさんのお父さんは真っ赤な顔をして怒っているようだ。トマスという執事は蔑んだ目で私を見ている。何を言っても無駄だから勝手にすればいい。レオナードさんには申し訳ないけど私を消したければ消せばいいのだ。

身の危険が迫るとまたあのことが頭に蘇る。


前世に帰りたい…、あの子に会いたい…。


突然、扉が勢いよく開かれて驚いた。


「父上、リオナに手は出さないでくれと言ったはずですがこれはどういうことですか? リオナ大丈夫か?」


「ええ、大丈夫ですよ。その書類にサインをしてお金を受け取れと言われただけですから」


「何?」


レオナードさんは書類の内容を確認すると顔付きが豹変した。今にも怒りが爆発しそうで怖い。


「レオナードさん、私帰りたいです」


「あぁ、早く帰ろう」


私とレオナードさんは挨拶もせずにその場を立ち去り自宅へ帰った。レオナードさんは帰るなり私を後ろから抱きしめて離さない。


「リオナ、本当にごめんな。あんなことまでするなんて信じられない。父とはまた会って問題のけりを付ける」


「レオナードさん、早く来てくれてありがとうございました。たくさん暴言を浴びましたが、お父さんにとっては大事な息子さんなのでしょう。やり方は間違えているとは思いますが、お父さんとレオナードさんの問題ですから二人で話し合って解決してください。

私は大丈夫、レオナードさんが嫌になって直接別れようと言われたら考えますから。だからずっと傍にいさせてくださいね」


「もちろんずっと傍にいてくれ。別れるなんて言うことはない」


そっかぁ…私はレオナードさんと一緒にいたい反面で何かある度にどうしてもあのことが蘇る。もう解放されたい気持ちもあり忘れたくない気持ちもある。

いつかは解決できる日が来るんだろうか…。



拉致された日からは平和な日が続いていたがある日、仕事が終わり商会を出ると声をかけられる。


「すみません。失礼ですがリオナさんでしょうか?」


嫌な予感がする…。まだ人通りも多いし商会の前だから大丈夫かな。


「はい、そうですけど」


「私はレオナードの弟でテオドールと申します。突然声をかけてしまい申し訳ありません。リオナさんとお話がしたくて参りましたがお時間いただけませんか?」


お父さんとは違くて態度も威圧的には感じないし顔がなんとなくレオナードさんに似ている。


「はい、大丈夫です。よろしければ近くに自宅がありますのでそちらでよろしいでしょうか?」


「はい、お邪魔させてください」


まぁ、もうすぐしたらレオナードさんも帰ってくるし弟さんなら平気だろう。テオドールさんは私達の家を知っているかのように一緒に歩いていた。


「どうぞ。今お茶を入れてくるのでお座りになってください」


「お邪魔します。兄もここで暮らしてるのですね」


「はい、もう少ししたら帰ってくると思います」


お茶を入れて席に着く。やっぱりお父さんと同じ話しだろうなと察知していた。今度は一体どんな暴言やら…。




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