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2度目の結婚は貴方と  作者: 朧霧
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レーナの婚約事情

 壁際にはレーナとライモンド、向かいに私で着席した。私の後ろには男性ばかりの団体客がいるが気にしないでおこう。

とりあえずいつものメニューを注文し乾杯はしない代わりに私がレーナに話を振ることにした。


「レーナ、何があったの? あんなに仲良くしてたのに。ニコさんと喧嘩でもした?」


「喧嘩なんてしてない。突然、ニコが好きな人ができたから結婚はできないと言ってきて…」


レーナは大粒の涙を流す。私はというとよくある話だわと思ってしまった。

ニコさんとは2、3回ほど会ったことがある。爽やかな青年でレーナを見る優しい眼差しが印象的だった。

少しだけ気になることは話す内容があまりにも綺麗すぎる感じ。だからといって悪印象ではなかった。


「でもさぁ、こんだけ長く恋人だったんだから時間が経てば戻ってくるんじゃないかな。浮気だと思って少しの間距離を置けば?」


お気楽なライモンドは安易に考えているようだ。まぁ、男性側からの意見だな…。


「レーナ、浮気だとして戻ってきたら許せる?」


「ひっく、わかんない。でも好きだから許しちゃうかもしれない」


「そっかぁ。ニコさんが戻ってきて結婚できたとするよね。また同じことがあっても何回も許せる? ニコさんのことはあまりよく知らないけどさ、浮気する人は繰り返しするって。

男の浮気ぐらいって言うけど女性がしたら不貞だと言われて男性はお咎めなしなんておかしいわよ。

それに結婚までして繰り返し浮気されたら我慢できる? レーナがそれでも愛してるからと言うなら止めないわ。

結婚って紙切れにサインだけなのに離婚はサインだけで終わらないの。神様に誓ったところで全ての人が守るわけではない。

それにね、たくさん女性と知り合って見極めたいのなら別れた後にすればいいじゃない。婚約者なんて作らなければ自由に恋愛できるし中途半端な考えで婚約するなんて私からしてみれば良くない男性だわ。婚約や結婚に対して責任なさすぎよ。

人の本質は育った環境や性格もあるでしょうけど本人が未熟で甘い考えなのよ。

レーナはむしろニコさんのことがわかったからいいことじゃないかな」


久しぶりに熱弁をしてしまった。レーナを慰めてあげなくちゃいけないのに。


「でも、でも、もう浮気しないかもしれないわ」


まぁ、レーナの気持ちもわかるけど後は自分次第なんだよなぁ。


「そ、そうだよな。1回くらい浮気したからって遊びだよ、遊び」


ライモンドよ、適当な軽い発言をするな。


「まぁ、レーナは冷静に考える必要があると思うよ。今はまだ無理でも自分の幸せは自分で選ばなきゃ。

ライモンドみたいに親が決めた結婚でも上手くいく人もいるし駆け落ちしたって幸せじゃない人もいる。

自分が決めた選択なら幸せにならなかったとしても、相手が原因を作ったとしても仕方ないと諦められるんじゃないかなぁ?」


「俺は浮気しないぞ! 絶対に」


これから20代になり性に対して本格的になるのに自信あるわ。でもそういう人も中にはいるね。


「ライモンド、すごく自信満々だわ。もしとっても美人で豊満な女性が迫ってきても大丈夫?」


クスクスと問いかける。


「だ、大丈夫だ。自信…あるぞ」


「今の言葉をしっかり覚えておくわ。そういえば以前、ある他国の人にたまたま聞いた話なんだけど、恋人の女性が浮気を心配した挙句に男性を亡き人にしてしまったんだって。そのときに男性の大切な体の一部分を切り取って本の間に挟んで持ち歩いていた事件の話だったわ。

虫の世界でも雌が雄と交尾を終わらせた直後に雄を食べる種類もいるって。

女性は男性には力で敵わないと思うけど、軽い気持ちで浮気みたいなことを繰り返すと痛い目に合うわよ」


「「えっ、それ本当の話し?」」


2人は聞いたことのない話に驚いている。まぁ、前世の事件だしカマ○リもこの世界では見たことがないからね。


「さぁ? いずれにしても他国の話よ。女性も浮気する人はもちろんいるけど圧倒的に男性の方が多いと思う。

人が子孫を残す為には男性も女性も本能というものがあってね、生まれ持った行動だとするでしょ。でも動物や虫とかと違って人には理性といって考える力がたくさんある。

例えばなんだけど『この女性と子孫を残したい』と体が反応しても『相手は夫がいるからそんなの駄目だ』と考えて行動しないのが本能と理性だと思うわ。もちろんこれは私の考えだけどね。

だから浮気はいいわけにしか聞こえない。他の人を好きになるなら恋人関係を清算してからにすればいいのよ」


「なんだかリオナって歳より随分と上な感じだよな。まるで母さんと話してるみたいだ。」


「そうよね、リオナって本当に19歳? もっと歳上なんじゃない?」


「歳なんて誤魔化さないわよ。レーナとライモンドとは同じ歳、誤魔化すなんて何も得にならないでしょ」


3人で話をしているうちにレーナは少しだけいつもの冷静さを取り戻してきた。お酒を飲みながらレーナの鬱憤話を聞いたりしていたら酔いが回ってきたようだ。

ライモンドともうそろそろ帰ろうと視線を合わせる。


店を出ようとレーナを支えたがかなり酔ってしまったため後ろにいる団体客に少しぶつかってしまった。丁寧にお詫びをし、ライモンドに送ってもらえるようにお願いして長い一日を終わらせた。

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