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2度目の結婚は貴方と  作者: 朧霧
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実家へ

 レーナの話がとりあえず終わるとライモンドは待ち構えていたように発言する。


「レーナの話しが終わったから次はリオナだな」


「昼間から思ったんだけど一体何のこと?」


「お前…、ついに恋人ができただろう? 俺、たまたまリオナの家の前を通り過ぎるときに見ちゃったんだよな」


「な、何を?」


「団長さんだっけ? あの厳つい顔の体が大きい人。なぁ、俺達に隠しごとはよくないよな?」


「リオナどうなの? 本当に団長さんなの?」


「うーん、ライモンドに見られたとは…。そうよ、団長さんと交際することになりました」


「「ええっ!」」


「なによ、最初から分かっているのに聞いてきたでしょう?」


「いや、予想はしてたよ。してたけどまさかリオナの口から交際するなんて言葉を聞くとは思ってもいなかったから驚いたよな、レーナ」


「そうねぇ、知り合ってから初めて聞いたわ。それで、団長さんから告白されたの?」


「うん、そう。この前返事をしたのよ」


「やるなぁ、団長さん。即答で断り続けたリオナを口説き落とすなんて。まぁ、好きになれる人ができて良かったな」


「ありがとうライモンド、レーナ。まだ始まったばかりだからどうなるか分からないけど嬉しいわ」


「でも、上手く交際ができたとしても団長さんは貴族でしょう? 家を継ぐとか平民は駄目だ…、なんて問題が山積みよね。リオナ大丈夫?」

 

「それを言われたら何も言えないけど…。好きな人ができてもやっぱり私は結婚したくないの。団長さんは結婚は考えなくてもいいからと言ってくれてるけどそんなの無理だよね。自分の考えが変わらない限り別れはくるかもしれない。団長さん側の問題もあるしね。ただ今は気持ちを受け入れたいなって初めて思えた。私に振り回されて我慢させているなら勝手だよね」


「振り回されてるか我慢してるかは団長さんじゃないと分からないけど、リオナが結婚したくない気持ちは少し理解できたと思う。最低男にしがみついて結婚していたら後悔して最悪だったわ。簡単には離婚できないし子供なんていたらもっと大変。浮気されまくりの結婚生活なんて絶対したくないわ。ライモンド、奥さん裏切ったら承知しないからね」


「何だよ、俺の話しはいいんだよ。俺はちゃんと婚約者を大切にしているから」


「ライモンドがまともに見えてきた。私やっぱりリオナにも幸せになって欲しいわ」


「ありがとうレーナ。私もレーナと一応ライモンドにも幸せになって欲しいわ」


私はライモンドとレーナとの素敵な出会いに改めて感謝していた。



俺は久しぶり実家に帰ることにした。嫡男だが家を継がない話をするためだ。


リオナを遠い分家の養子にしてもらうことも考えたが嫌がるだろうし父も了承しないだろう。それなら弟達に家を継いでもらい自分は貴族籍を抜けた方がいい。結婚できるか分からないが共に生きれないことの方が俺には深刻な問題だ。リオナと別れるなんて考えられない。父を必ず説得してみせると意気込んだ。


「父上、只今帰りました。ご無沙汰しております」


「あぁ、久しぶりだな」


「父上、今日は話があり参りました」


「話がないとお前は実家に帰らないのか? 帰ってきたということはやっと縁談を受ける気になったか。」


「いいえ、縁談は受けませんし私は家を継ぐ気もありません。そろそろこの件について自分の意志をはっきりさせるべきだと思いました。弟達には私からも話をしますのでよろしくお願いします」


「…夕食くらい食べて行け。母親も弟もお前に会うのを楽しみに待っていたのだから義理は通せ」


「はい、承知しました。失礼します」


いやにあっさりと引き下がったから嫌な予感がする。父は理由も聞かず了承もせずに何を仕掛けてくるのだろう。まぁ、いい。リオナのことだけは何を言われようがどんなことがあっても譲れない。父の執務室を出ると弟のテオドールが俺を廊下で待っていた。


「兄上、お帰りなさい。お久しぶりですね」


「ああ、久しぶりだな。丁度よかった、お前に話がある」


それから二人で応接室へ行った。テオドールは20歳、婚約者もいるのでそろそろ結婚が近い。三男のアルフィートはまだ学生で寮に住んでいる。婚約者はいるが結婚はまだ先になるだろう。


「兄上、お話とは何でしょうか?」


「テオとアルには申し訳ないが俺は家を継がないので先ほど父上にも話してきた。お前達のどちらかが継げるようにもお願いしたからよろしく頼む」


「えっ! 父上は了承したのですか? なぜ兄上は家を継がないのですか? 騎士団だからといって継げない理由はありませんよね?」


「理由はあるが俺の勝手だ。本当にすまない」


「それは納得できません。兄上が継ぐべきです」


「俺は元々、騎士団に入るのもそうだが家を継いで貴族として生きたいわけではない。理由は後付けだ。お前達は成績も良いし継げるだけの力もある。勝手を言ってすまないがどうしても譲れないことなんだ。分かってくれ」


「……」


テオドールは無言で俯き納得していない様子である。リオナのことが無かったとしても家は継がなかっただろうし、テオドールは侯爵家の当主として立派に継げるから安心だ。


父と母、テオドールと久しぶりの夕食を共にして帰宅した。これで上手くいくと良いが…。


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