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2度目の結婚は貴方と  作者: 朧霧
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リオナの怪我

 翌日から私は仕事に戻った。包帯を巻いていたので同僚達が心配をしてくれる。事実は話せないので掃除中に怪我したことにして見た目が良くないので包帯をしているだけと話した。


いつもと変わりなく普通に過ごして一日しか休んでいないのでお大事にと言われただけで済んだ。


騎士団への報告はモーリスさんが午前中に行ってくれることになり戻り次第報告を受けると予算を更に出すのは難しいようなので数量を減らすことになる。


早速、チルさんへ連絡をするために発注書を作る。ミシェルさんへの報告後、モーリスさんに再度お願いした。本当は直接チルさんへ持参したかったけど仕方ない。これで商品が無事に仕入れできればとりあえず安心だよね。

あとは…色々あって考えていなかった団長さんとのこと。私にとってこれが一番の難題だ。




騎士団の受付に来たモーリスは団長さんへの取次をお願いして応接室に案内された。


「モーリスさん、久しぶりだね。団長もすぐ来るから」


「副団長さん、ご無沙汰しております。

今日はサハリー商会との商談結果と相談に参りました」


「あれ? リオナちゃんは来てないの?」


「はい。昨日怪我をしまして今日は私が代理で来ました。サハリー商会との打ち合わせにはリオナさんと私が同席しましたのでご安心ください」


「リオナちゃんが怪我? 大丈夫なの?」


「はい、本人は今日から仕事もしておりますが掃除中に首を怪我して見た目も良くないので外出の仕事は控えております」


「首…、随分と変わったところだね?」


「どうやら慌てていたそうで注意力不足だと申しておりました」


「まぁ、今日から仕事しているんだから大丈夫か」


レオナードが遅れて入室した。


「団長、今日は商談結果を報告しに来てくれたみたい。まずは話しを聞こうか」


「リオナさんは来ていないのか?」


「リオナちゃんは怪我をしたから今日は来られないんだって。仕事はしているみたいだよ」


「何だって! 怪我をした?」


「後で教えてあげるからとりあえず報告を聞こうか。モーリスさんお願いします」


今、リオナちゃんの話しをしたらレオナードが動揺するなとジルベルトは察知した。団長と商談の話しを聞くと輸入出来ることになったと報告を受ける。

リオナちゃんとサハリー商会の会長との話し合いが上手くいったことに安堵したが予算は増やせないので数量変更とした。モーリスさんに正式な発注を依頼し、彼は帰った。


「おい、レオ。ちゃんと聞いてたか?」


「あぁ、内容は把握したから大丈夫だ…」


「ジル、リオナのことを教えてくれ」


「聞いたらちゃんと仕事しろよ。特に今日の訓練は団長指導なんだからな。団員達に迷惑かけるなよ」


「分かったから早く教えてくれ」


「はいはい。リオナちゃんは掃除中に怪我をしたらしくて仕事はしているけど見た目が良くないから今日は来なかったみたい」


「掃除中にどこを怪我したんだ?」


「どうやら首らしいよ」


「掃除中に首…、なんだか変だな」


「やっぱりそう思う? だから聞いてみたんだけど慌ててたらしく注意力不足と言ってたらしいよ」


「慌てて注意力不足…」


「そんなに気になるなら本人に会いに行きなよ。自宅知ってるだろ? 仕事してるって言ってたから今行っても無駄だ。とりあえず夕方まで待てよ」


「あぁ、分かった」


仕方ない、レオが夕方リオナちゃんに会いに行けるようにさっさと仕事を終わらせないとな…。



夕方になり、俺はリオナの家に行った。玄関の前で待っているとリオナらしい人が遠くから歩いてきたが、首に包帯が巻かれているのを見て抱きしめたい気持ちが湧き上がり抑えられそうにもないくらいだった。


「リオナ…」


「えっ? 団長さん? あ、レオナードさんこんばんは。今日は騎士団にお伺いできずにすみませんでした。何か問題ありましたか?」


「リオナが怪我したと聞いて早く会いたかった」


「あ、ありがとうございます。よろしければお茶でも飲んでいきませんか?」


「いいのか? 話も聞きたいからお邪魔したいが」


「はい、どうぞ。おもてなしはできませんけどね」


リオナに誘われてレオナードは心配だが嬉しかった。自宅に入ると椅子に座って待っていてくださいと案内される。

座りながら部屋の様子を見渡すとかなり殺風景な部屋に思う。女の子らしい感じはせずに家具なども必要最低限なものしか置いてない。そう思うのは俺が貴族の生活に慣れているからか?


リオナはお茶を用意し戻ってきてテーブル越しの対面の椅子に座る。


「レオナードさん、もしかして部屋にあまり物が無くて驚きました?」


「あぁ、そうだな。なんだか女性の部屋にしては物が少ない感じがして」


「そうですね。平民の暮らしなんてこういう感じだと思うのですが、私は更に余計な物が無いかもしれません」


「それでどこをどうしたらこの部屋で掃除中に怪我なんてするんだ? しかも首だろ? 慌ててたからといっても怪我をするような物があるように見えないが」


「あ、慌てて転倒しちゃったんです」


「転倒? 手足に怪我をするならわかるがなぜ首なんだ?」


「手もついたのですが間に合わなくて家具に首がぶつかったんです」


「リオナ、正直に言え。説明に無理がある。騎士団の俺に誤魔化しは通用しないぞ」


「大怪我ではないし、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。ほら、首も問題なく動かせますし痛みもあまり感じないので」


突然レオナードが椅子から立ち上がりリオナに近づく。リオナは言い訳ができそうにもない状況に焦った。



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