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勇者なんてクソ喰らえ  作者: てろめあ
2/2

1 異世界転移


「・・・・・・」


舗装された歩道を歩く

コンクリートの道はしっかりとローファーを受け止め、足に地面の感触を伝える

顎にじんわりと浮かんだ汗を手で拭いながら顔を上げる。


晴嵐高校

少し都心から外れているものの、田舎から比べれば都会の方であり、そこそこの人口がある

この街の高校だ。そして僕はそこの二年生。

もう少しで夏休みが近い事もあり、周囲を歩く同じ高校生達はどこか浮かれた雰囲気を醸し出して

いる。


「・・・・はぁ」


いつのまにか口から出た溜息を無視しつつ、教室へ向かう。

自分の席に辿りつき、いつもどおりに机に伏せると、誰かが近寄る空気を感じた。


「今日も・・・・か」


小さく誰にも聞こえない様な呟きも漏らすと、伏せている机が何かの衝撃で揺れる


「おおい!誰だよこんな所にゴミ置いたのはよぉ!」

「そだよ!早く捨てようぜ!な!みんな!」

「へへへっ!りょーちん今日も絶好調だね!

「柊木よぉ・・・おめぇ今日も!うぜぇなあ!」」


クラスメイトであり、今日も無駄な事をしに来た奴ら

檜山、北山、安倍

俺への嫌がらせ、もとい虐めをする代表格三人である。

きっかけは一年の時にパンを買ってこいと今どき居るはず無いだろうと思っていた

テンプレ不良の檜山を無視した事から始まった虐め。

この三人の狡猾な所は先生や親の前では優等生で有ると言う所だろうか。

そして虐めの対象になりたくない周囲は自然と俺から離れて行った。

一度誰かを助けた気もするが、あの時の事はあまり覚えて居ない。確か頭を強打だれて気絶

したんだっけか・・・・


俺は無駄な事が嫌いだ。

唯でさえ三人兄弟の末っ子で家では邪魔者扱いされているのに、学校ですら労力を使うのは

無駄の何者でもない。

早く家を出て、気ままに暮らしたい為にと続けているバイトに俺は労力をさきたいのだ。

後、アニメとマンガとラノベとゲームに。

そんな事を考えつつ、今日も檜山達を無視をする。


ひどい時は腹等を殴ってくるが、今日は机を蹴るだけで満足の様だ。

「くっそきも!早く死ねよ!」

三下言葉を口にしながら去って行く三人

俺は心の中でこいつらマンガならすぐ死ぬタイプだなと考えながら、昨日ラノベで削った

睡眠時間を取り戻す為に目を休める事にした。



「お!おい!なんだよこれっ!!」

「きゃっ!」

「な、なにっ!?」


何かいつもと違う騒がしさに疑問を抱き、顔を上げる


「!?」



俺の視界は眩い光に包まれるのであった。



◇ ◇



「ッッ!」


視界が開け、段々とぼやけていた物体や壁が輪郭をはっきりとさせて行く。

広いホール・・・まるで宮殿の中

壁には幾何学的な紋様が多数描かれており、所々騎士や女神の様な像が象られて居る。

周囲を見回すと、クラスメイト全員が同じ場所におり、全員ざわざわと騒いで居た。


「これは・・・・」


俺はすぐにこれが異世界転移なのでは?とラノベ知識から思い浮かべる。

まさか本当に自身が体験するとは思いもよらず、言葉を失っていると、檜山が声を上げる


「どうなってんだよ!おい!!」


全員の視線が檜山に集まる中、後ろから声が響いた。


「静粛に!これよりラグエル姫より説明がある!!」


武装した鎧姿の集団がおり、その中央から守られる様に一人の女性が現れる。

質の良いドレスに金色の髪と蒼い瞳

まるでアニメの世界から飛び出したかの様な美女が口を開く。



「突然の召喚、失礼いたしました。救世の勇者様方。

 私はラグエル・ラ・フィアラート この神聖国アズラエルの女王です。」


しっかりとした眼差しでクラスメイトを見つめ告げる女王

クラスメイト達はパニックになり、事態を把握しようとすも者や檜山の様に騒ぐ者

そして帰らせてと泣き出すものと阿鼻叫喚である。


「静まれぇい!!」


武装した・・・恐らく騎士の一人が槍を強く床に叩きつけながら叫ぶ

言いようの無い威圧感に全員が押し黙ったのを確認し、女王が話し始める。


「貴方方は、我らアズラエルに召喚された勇者様。すぐの帰還は出来ませんが、世界の敵である

 魔王討伐の暁には、帰還が叶います。勇者召喚はこれが始めてではありません。

 我らには勇者様方を受け入れる用意がございます。どうか、我らをお救い下さい。」


すっと頭をさげながら懇願する女王に、クラスメイトは息を飲む。


「つきましては、まずはステータスと唱えてみて下さい。」


言われるがまま、俺はステータスと呟くのであった。









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