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第14話 傷口

 血がしたたっていたはずの那珂湊教授の左手は一時間もすると、完全に傷口は閉じていた。


宇都宮秀男が出て行った後、監視人が那珂湊教授の左手を止血だけはしようとすると、那珂湊教授は必要ないと断った。


血が乾いて出ていないという表現ではない。

もう傷口は完全に閉じ、新しい爪が生えようとしていた。

あり得ない速さの治癒のスピードだった。


それを見た拘束を担当していた黒服面の男達は、


「・・・・・・間違いない、化物め」


と、那珂湊教授を罵るが、


「怪我の修復能力を上げたくらいで、あなた方は化物と認識するのですね?私にはその考えその物が古い物だと感じますよ。ネアンデルタール人はあなた方では?」


「人間としての誇りは亡いのか?」


「誇りで人は救えますか?病気は治りますか?怪我は治りますか?答えはNOだ」


と、言われるとそれ以上の反論を止めた。


那珂湊教授の再生能力を聞かされた宇都宮秀男は驚愕していた。


「どこまで改造したんだ?どこまで・・・・・・人間が人間を捨てる選択をする?そんなこと間違っている。・・・・・・・いや?なぜに間違っているんだ?誰かに教えられたから?嫌悪感から?神を信じていたから?異質な物を受け入れたくないという本能から?俺自身なぜにやっていイケないことだと認識している?なぜに?なぜに?」


宇都宮秀男は極度のストレスを感じ始めていた。


『倫理』『道徳』と、言いながら自白剤や拷問をしていた自分。


それに気が付くと、頭の中で葛藤生じ始めていた。


仕切り直し、そして自分の心を保つために三日ほど休んだ。


その間に那珂湊教授の爪は生えそろっていた。


剥がされたことがなかったかのように綺麗に。

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