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第11話 取り調べ4

202x年12月24日


「久慈川は全てを吐きましたよ」


と、宇都宮秀男は那珂湊教授の取り調べをしていた。

自白剤が効かない以上、根比べの取り調べだった。


拘留期限は有る事無い事で起訴され伸びていた。


「ふふふっ、そうですか?吐きました?どうやって?」


と、那珂湊教授は聞くと宇都宮秀男は臆せず


「自白剤を投与してね」


「そうですか?私だけが自白剤に耐性を持っていると思いますか?」


「やはりか・・・・・・」


那珂湊教授の助手、久慈川拓馬を取り調べしている、宇都宮秀男の部下も宇都宮秀男同様、久慈川拓馬に自白剤を投与し全ての研究結果を聞き出そうとしていた。


しかし、久慈川拓馬もまた、自白剤は効かなく、一切を話そうとしていなかった。


「彼のことは知っていますか?どうせ調べているのでしょ?」


と、那珂湊教授は宇都宮秀男に聞くと、宇都宮秀男はコクリと頷くしかなかった。


それは敗北を意味していた。


「彼が遺伝性の先天性の病気を持っていたことがわかっているなら、話は早いはず」


久慈川拓馬は先天性の病気を持っており、薬でなんとかごまかし延命していた。


だが、それは対処療法で40才まで生きられる確率は数パーセントでしかなかった。

それを那珂湊教授は正常遺伝子書換法を使って治した。


その後、久慈川拓馬が那珂湊教授を崇拝して、実験台となったのは想定される。


「彼は私と一緒ですから。一切効きませんよ。彼の罹っていた病気の患者数は知っていますか?全世界でおよそ1万人。その1万人が薬の完成を待っている。だが、製薬会社は全世界の1万人と言う数には目を向けない。しかも伝染病でなければ尚のこと。なぜなら儲からないから。その様な病気の治療には本腰をいれない。たまたま何かの薬が有効な治療法として見つかる事を祈るだけ、しかし、私なら、すぐに治すことが可能」


製薬会社が本腰を入れて、多額の費用を投資して作る薬には優先順位がある。

儲かるか儲からないか。

製薬会社と言えども極々普通の会社。

投資した費用を回収し儲からない薬は、開発の優先順位は低い。

医療を知っている者にとっては周知の事実だ。


「だが、遺伝子改造治療など人間がしてはいけないもの、人間の所業ではない」


と、改めて宇都宮秀男は那珂湊教授をにらめて言った。


「またそれですか?誰がそう決めたのですか?そのルールを作ったのも、また人間。勝手な『神の領域』や『倫理』や『道徳』などという言葉を使ってね。苦しんでいる人を助けないことが『道徳』なんですか?治療法を手に入れたのに『倫理』に反するからと使わないのですか?医師は患者を救う義務がある。それが医師の『使命』のはず。今までの既得権益が万能薬となる『遺伝子改造』を恐れている。技術が進めば『薬』は必要ではなくなるからな。だから、様々な広告を使って、お金を使って『遺伝子改造治療』は『悪』だとマインドコントロールをしている。違うかね」


「那珂湊教授、私にはあなたが悪魔に魂を売った科学者に見えますよ」


「心外な言葉ですね。私は科学に正直に進んだだけのこと。人間が手に入れた技術は神によって与えられた力だと、私は思っています。悪魔なのは既得権益を守ろうとしている者」


と、言うと宇都宮秀男は怪訝な表情で睨め着けた。


そして、一度、部屋を出て喫煙室へと向かった。

アルファポリス第3回ライト文芸大賞コンテスト参加中

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