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第7話 世界は優しい訳じゃ無い

朝、目覚めると3人はまだ寝ていた。どうやら初めて1番に目覚めた見たいだ。


締めた窓の隙間から漏れた出た光と鳥の鳴き声が今日も晴れで有ることを教えてくれる。日本はまだ寒い時期だったけど、こっちの世界は暖かいくらいの気温だった。これが日本における春夏秋冬のいずれに当たるのかは判断が付かないんだけど。


とは言うものの流石に朝は涼しい。

暖かなる前に軽くで良いから体を拭いておきたい。


宿の外にある井戸で水を貰おうと荷物の中からタオルを取り出して部屋を出ようとした時に、ふと気が付く。


俺が思うのだから、この子達も同じ様に思うのだろうと。


仕方無い、水汲んできてあげるか。


タオルをベットに置いて、代わりに備品として置いてある木製のタライを持って下に降りる。女将さんが居たので声をかけて外の井戸で水を貰う。あまり大きく無いタライは滑車に取り付けてあるバケツ1杯で満タンになった。


これって、そう言う風に調整して有るのだろうか?。


水を溢さないようにゆっくりと階段を上がって部屋に戻る。朝の静寂のせいか、慎重に歩いていても木造の床の軋みがやたらと煩く感じた。


部屋に戻りタライを床の目立つ場所にそっと置くと、再度タオルを手に取って部屋から出ようとした。


「キョウスケ、お早う」


挨拶の声に振り向くとメイベルが布団から半身を起こしながら伸びをしていた。起こしちゃったかな?。


「お早う、メイベル。水を汲んであるからそれで身嗜み整えな。でも、3人で使うなら少し少ないかも」


そう声をかけると『ありがとう』と小さく答えるメイベル。目が合って改めて感じるが、やっぱりこの子は綺麗である。


マリーが天真爛漫の可愛い系、セレスがおっとりした癒し系とすれば、メイベルは無口と言うか、淡白な口調で喋るモデル系美少女だ。


そんなメイベルだが、睡眠でうっすらと汗を掻いたのか、シャツが体に纏わり付いて何時もよりその輪郭を浮かび上がらせる。ちょっとエロい。


ずっと見ていたい気もするけど、視線で考えがバレるのも恥ずかしい。ヘタレな自分が残念だけど体を拭きに行こうか。


「俺は外で体を拭いてから食堂に居るから準備が終わったら皆で来てね」


「わかった」


メイベルの返事を背に俺は外の井戸に向かった。

これが後で問題になるのとは思って無かったけどんだけどね。



★☆★☆★



「【必中】は組合でも確認されてますね。主に弓を使う方などが主流ですが。これと同等の効果を得る為にはスキルで【狙撃】と【集中】が必要と言われています。有用なアビリティですよ」


ニコニコと昨日と同じ受付嬢、エリーゼさんが教えてくれる。


「でも他のアビリティは聞いた事が無いですね。有料となりますが【ことわりの宝珠】を使いますか?」


【理の宝珠】とは、触れた人物の内側・・・心と体に眠る理を読み解き、その人物の才能を教えてくれる魔道具らしい。つまり、ペンダントの強力版らしいが、正確にはペンダントの方がこの魔道具の簡易版だそうだ。


なら、こっちだけで良さそうな気もするけど、後付けであるスキルの組み合わせや相性等で新たな才能、つまりアビリティに目覚める事があるらしいのと、【理の宝珠】の方が貴重なのだそうだ。


これを使う事は予め話し合っていたのでエリーゼさんにお願いすると、事務所の後ろの方から水晶の珠を大事そうに運んで来た。


俺のイメージでは占い師が持ってるヤツっぽい。

緊張気味にその珠に触れるとペンダントの時の様に何が俺の頭に思い描かれる。


そんな俺を尻目に後では3人娘が俺のポジションについて話し合っていた。


「やっぱり、弓が良さそうですね。矢も用意しいと」とセレス。


「ボク達、遠距離の手段が少ないから丁度良いね」とマリー。


「私とマリーで近接、キョウスケが遠距離。セレスが支援でバランスは良い」これはメイベル。


一方、俺の顔はどんどんと曇って行った。


【熱血】と【必中】、【幸運】に付いては理解出来たけど、【友情】、【覚醒】が理解出来なかった。


仕方無いじゃん。『条件が満たされて無い』とだけしかわからないんだから。


それに【必中】も話が違う。なのに3人娘が盛り上がっちゃって違うとも言えない空気になっている。


「あの、幾つか条件が満たされて無いって事なんですが・・・」


先ず、わからない事は聞いてしまおう。


「あっ、たまにあるんですよね。例えば【鑑定】のアビリティ何かが有名ですけど、才能が合っても知識が無いと発動条件が満たされないとか。知らない物を鑑定出来ないじゃ無いですか。ですからそれに合った何かが必要な事はありますね」


・・・そうなんですね。後、【必中】が話と違う事も聞きたいけど、質問を重ねられた時にどう答えたら良いのかわからない。どうしよう。


考えてるとセレスが声を掛けて来た。


「キョウスケさん。取り敢えず弓を買いに行きましょう!正直、そろそろ何か依頼を受けないと・・・」


金銭面の事だろうと思う。だいぶ負担掛けちゃってるしね。


「・・・ソウデスネ」


3人の美少女に見つめられ『違うんだ』と言えなかった俺はカタコトの返事で頷いてしまった。



★☆★☆★



【熱血】何時もより頑張れる。


【必中】必ず子供が出来る。


【幸運】ラッキースケベが起こり易くなる。


【友情】【覚醒】

条件が満たされて無い。


こんなアビリティでどうすんだよ、俺!?。


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