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第6話 男同士の方が楽な時もある



「ボク、【身体強化】と【軽業】それに【俊足】だって。良かった!これでボクも旅に付いていけるね!」


「マリー、他の人の前で喋っちゃダメ」


マリーがメイベルに注意されている。そうだよね。詳しく喋っちゃ不味いよね。


「キョウスケさんは問題無さそうですか?」


「それがさ、聞いてた感じと違うんだよね。でも、問題ないと思うよ?」


俺のアビリティは【熱血】、【必中】、【幸運】、【友情】、【覚醒】、の5つだった。


まるで某ゲームの様なラインナップだ。平均2個くらいって聞いてるから、レベルやステータスじゃ無くて、能力チートぽい。


しかし、アビリティが潜在的に持つ物であるなら【幸運】とか覚えが無い。この辺は転移特典だろうか?後、魔法を使える才能が無さそうなのが残念で仕方がない。物理系みたいだ。


それでも5つも有るし、何より【必中】ってありがたい。間違い無く命中に補正があるアビリティだろう。ここ一番で攻撃を外さないで済むとか頼りになるよね。


「問題無いなら詳しい事は帰ってから聞く。マリーが焦れてるから街をみて回ろう」


マリーをダシにしてるけど、あれは絶対にメイベルも行きたいんだろうな。何時も通りに振る舞っているけど少しだけ口調が早い。勿論他の2人もソワソワしている。


3人共、完全に御上りさんみたいだが俺も興味がある。だって異世界最初の街ですよ!?。


いずれ帰るにしても異世界文化を知っておいて損は無いでしょ!。


「実は俺も楽しみなんだ。詳しい事は帰ってからで、今は市場調査と行こうか」


「市場調査って何?」


「何が幾らで売ってるかを調べる事だよ。つまり御店を見て回ろうって事」


市場調査と言う言葉を知らなかった様だが、俺の簡単な説明で理解出来たのか皆が満面の笑顔になる。


組合を出て元気いっぱいの3人娘が屋台や御店を発見しては突撃して行く。


特に子供っぽいマリーが『市場調査』と言う言葉が気に入った様で何度も口に出していた。ま、マリーだけじゃ無いけどね。


でも、その元気さに当てられて俺まで楽しくなっていたんだ。途中まではね。


長いの!マジで長いの!。

例えばコップ。何でそんな物で延々と喋ってられるの!?。

更にはタオル。縫い目とかそんなに真剣に見る必要ある!?。


ほんとね。途中から商品じゃ無くて3人を見てましたよ。だって、3人並んで中腰で商品覗き込みながら延々と話をしてれば、後ろにいる俺の目線はどうしてもお尻に行っちゃうでしょ。


んで、一度意識したらダメだった。市場調査所じゃ無いですよ。


しかしである。そんな状況ですら『帰ろうよ』と何度言い掛けた事か。宿に戻った時には精も根も尽き果ててグッタリしていた。流石に表には出さないけどね。



★☆★☆★



日も暮れて、ようやく宿に戻って来れた。


【湖面の月亭】と号を掲げるこの宿は2階建ての古い作りで大通りから離れてはいるが、食事が中々美味しいらしい。老夫婦が経営しているのも好評価だ。


俺くらいの年で女の子が嫌いなヤツはほとんど居ないだろう。だけど、反対に回りが女の子だけと言うのも案外キツいのだ。


その点、年は離れていてもマスターが居るここはある意味オアシスでもある。癒しが爺さんとか、どうなんだろうと思わなくもないが。


部屋は4人部屋を取っていた。これは金銭的な問題で、3人部屋と個室を別々に取る余裕が無いからだ。


旅の道具に食事代。宿泊費に身の回りの小物。更には今日の冒険者組合に払った登録料まで彼女達・・・つまり、あの村のお金でやりくりしている。


特に登録料が高かった。ペンダントは魔道具だから高額になるよね、そりゃあ。


その上、明日は俺にサイズに合う服や靴。武器等の装備まで買って貰うことになっていた。


稼げる様になったら返しに行こう。



★☆★☆★



一階の食堂で取った食事はとても旨かった。


酒場を兼ねていたのは昔の事らしく、今は宿泊客のみに対応しているそうで、落ち着いて食事を取れたのも疲れた体にはありがたかった。


疲れと満腹感のなせる技か眠くてしょうがない。これは3人も同じ様だ。正直、もう寝たい。

けど、最低限でも確認しなきゃいけない事があるんだ。


マリーは直ぐ様ベットに寝転がって、俺達は自分のベットに腰掛けると本題を切り出す。


アビリティが5つ有る事。名称では漠然とし過ぎて効果がわからない事。


話を聞いたセレスとメイベルの二人は顔を見合わせて驚いていた。この反応、やっぱり能力チートだ!。


「5つは凄い。分かりやすいのは【必中】。これは訓練次第で100発100中になるらしい。でも、他は聞いた事が無い」


やっぱり命中補正だ。これだけでも十分助かる。訓練が必要な事が弱冠予定外だけど。

努力無しで無双出来れば、サクッと稼いで金を村に返せるし、舐めプしないでさっさと魔王倒せば直ぐに帰れたのに。


参ったね。時間が掛かりそうだな。帰れる時の時間軸ってどうなってるんだろう?すっかり忘れてた。

ハーレムを作れると誤解させたこの世界の状況が悪いんだ。俺は悪くない。


それでも後4つも有るんだから、そっちも合わせれば直ぐにチート野郎も行けるんじゃ無いだろうか?。


「詳しい事は冒険者組合で聞いて見ませんか?私達より詳しいでしょうし」


わからなければ聞けば良い、これはセレスの意見が正しいね。マリーはすでに寝てるし、2人も眠そうだ。今日はもう、休んだ方が良いだろう。


明かりを消すと室内は真っ暗になった。視覚が効かなくなったからか甘い匂いがやたらと鼻孔をくすぐる。

普段なら興奮しそうな状況だけど、どんどん思考が鈍くなっていく。


相当疲れてたんだな俺。ああ、そう言えば御約束のダンジョンとかってあるのかな・・・聞いてないや。



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