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第3話 第一印象は全裸だと思う


「魔族の軍勢の大半が魔物だった。その魔物達を押し返す為に多くの騎士や兵士、義勇兵達が散ったけどね。そう言う連中の殆どが男だった」


バーさんの説明は続く。それより紅茶のお代わりが欲しい。


「この時点で男と女の数がずれちまったのに、敗戦後に働き盛りの年の男をかなり取られた。残ったのは少しの男と子供と老人。後は大勢の女達って訳さね」


成る程ね。男女比の問題ね。でもそれなら・・・。



「なら、1人の男が複数の嫁を娶れば良いじゃないですか?」


「それにも問題があるんだよ。何より成人した男の半分以上を税金として取られ取られちまう。・・・今ね、あたし等人間は数が増えない様に魔族に調整されて、家畜の様な状態なのさ」


うーん。何か大変そうなのはわかる。だからと言って何で俺が、このタイミングでって気持ちもある。さっきは勢いで帰るって言って見たけど、安全の保証は無いらしいし。


俺TUEEEEだって興味はある。奴隷ハーレムだって妄想したことがある。


でも、親、友人、恋人が向こうで待ってるんだし、何より急に消えれば心配もかけるだろうし・・・。


あれ?でも、この世界って女性が余ってるんだからリアルハーレムも夢じゃ無いのでは!?


うん、帰れるかわかんない訳だしね。


「色々考えたのですが・・・」


口を開いた俺をバーさんはしっかりと見据える。


「俺にも向こうで世話になった人や、親、友人、恋人が居ます。だから向こうに帰りたいと思います。ですが、こうしてこっちに来たのも縁あっての事でしょう」


自分を誤魔化し、キリリと引き締まっていると思う顔で言葉を紡ぐと、バーさんは前のめりになって震える声で短く問い掛ける。


「じゃあ・・・」


バーさんに向かって頷き言葉を返す俺。


「俺で良ければ手伝いましょう!」




★☆★☆★




条件として、異世界から来た事を秘密にしておいて貰った。いちいち質問されるのが面倒くさかったからだ。


凄く喜んでいるバーさんは問題無く了承してくれた。しかし何度もお礼を言われて、ちょっといい気分である。


人助けって良いものだね。


待っててくれと言われてバーさんが部屋の外に出た。今の内に紅茶を継ぎ足そう。


3杯目の紅茶を飲んでいると、扉がノックされた。返事を返すとバーさんが人を連れて戻って来て元の位地に座り、3人がその後ろに立つ。1人はさっき給仕に来てくれた子だ。


「この3人は家の里でも見込みのある子達だ。あんたのサポートとして連れて行って欲しい」


その説明を皮切りに3人が順に自己紹介を始める。最初は給仕の子だ。三つ編みにした金髪が特徴のタレ目で高校生くらいの女の子。


「セレスです。キャサリン高司祭の下で修行を積み、簡単な応急処置と回復呪文が使えます。宜しくお願いします」


冒険に怪我は付き物。回復要員は外せない。これはありがたい。


次は隣の子。真っ直ぐなロングの赤い髪。3人の中では一番背が高い子で、セレスと余り変わらない年に見えた。


「メイベル。もう冒険者登録してあって、担当は前衛」


簡潔だ。必要以上に喋らないタイプなんだろうか?それはそうと気になるワードが出たな。


俺が質問するより早く最後の子が口を開く。


この子が一番若い。18才の俺から見ても幼さの残る顔立ち。中学生くらいだろう。3人の中で最も背が低いのと、ショートの髪型が余計に幼く見せている気がする。


「ボクはマリアベル。マリーって呼んでね。冒険者登録はこれからだけど、たぶんボクも前衛だよ。宜しくね、使徒様」


ボクっ子だと!?いや、そこじゃない。やはりあるのか冒険者組合。


簡単な自己紹介をされたが、この子達って戦えるのか?まあ、この世界の知識面だけでもありがたいけど。それと冒険者登録が凄く気になるけど、それとは別の事も気になってしまう。


実は自己紹介中もだが、さっきからマリー以外の2人と目線が合わない。そう、微妙にずれているのだ。


ああ、なるほど。少なくてもセレスと言う子と、メイベルと言う子はあの場にいたのね。確かめると俺の心が折れてしまうから気付かなかった事にしよう。


「キョウスケ・ナカタニです。こちらこそ宜しくお願いするね。出来れば使徒様じゃなくてキョウスケって呼んで欲しいかな」


いくら何でも使徒様呼びはキツイ。当然ちやほやして欲しいが、そこまで俺様にはなれないしね。

それに、昔ネットで拾った知識では第一印象は出会って1秒で決まると書いて有ったけど、付き合いが長くなればイメージは変わる。その時の為に自己紹介の挨拶なんかも重要だと思う。


そうして出来るだけ早く第一印象を塗り潰して行こう!。


「簡単だけど顔合わせは済んだね。3人とも他の連中に伝えて宴の準備しな」


バーさんが声をかけると3人は室内から出て行ってしまった。晩飯はすでに食ってしまっているけど、流石に要らないとは言い辛い。


なら、今の内にこのバーさんに聞くべき事を聞いておこうか。



★☆★☆★



宴会に集まった村の人達のほとんどが女性だった。特に青年、壮年と言える様な年の男がいない。これを見れば確かに滅びに向かっていると言われても納得してしまう。


宴会中も俺は情報収集を行った。『敵を知り己を知れば』ってやつだ。


バーさんとの話し合いで、遠くの島国から来た事にして、ここらの常識がわからないと言う事にして貰った。嘘はついてない。異世界と言う言葉を口にしないだけで。


食事はそんなに食べられなかったが、料理の味は良かった。それでも隠れて暮らしてる為に町での食事の方が良いらしい。料理は出来ないので助かる。


それと、冒険者組合はあるけどゲーム見たいに職業という物は存在しない。やはり、物語とは弱冠違うようだ。


代わりに有るのがスキルとアビリティと言う物。


冒険者登録する事によりカードとペンダントが渡される。ペンダントは魔道具らしい。


カードは魔道具では無くて組合に登録している事の証明なんだそうだ。そのまんま会員証だね。


後、スキルは解りやすい。技術や魔法の事だ。修練や慣れ次第で習得可能らしい。難しく言わなければ別に普通の事だ。

鉄棒が苦手でも訓練すれば逆上がりが出来る様になる・・・見たいなものだろう。簡単に言い過ぎかな?。


アビリティは潜在的に持つ能力でこれが千差万別なのだそうだ。で、こちらの能力を知る事で自分が向いている戦い型を選ぶのだとか。ペンダントを身に付ける事で自然とわかるって話だ。


レベルアップ的な物は無いようだけど、経験を積み、実力が上がるとペンダントのもう1つ効果で色が変わるらしい。装着した人間の総合的な能力を感知するとか。実質、これが冒険者ランクに当たる様だ。


凄いな魔道具。


あ、ヤバい。柄にも無くワクワクしてる。俺はどんな冒険者になれるんだろうか?。


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