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VRMMOでスライム転生  作者: Futonize
内容
3/19

第2話 町でポーションを卸してみる

 今日は朝から夕方にかけて、ポーション作りを楽しんでいた。


 しかし、もう夜が近づいてきた。

 ちょうど僕も疲れてきたころなので、そろそろログアウトしようかなあという時だ。


 ああ、そこでたしか町に行こうかなって考えていたんだっけ。

 では早速行ってみるか。




 今向かっている先は、ルマーズの町である。

 僕がスライムになる前にいた、あの町である。


 しかし、スライムの姿では敵対モンスターと間違われる可能性が高い。

 モンスターということは間違いないのだが、自分はれっきとした友好的モンスターだ(と思う)。


 あの町に門番はいないが、誤解されて倒されても困る。

 というわけで、しっかり対策案も練っている。


 ––テイムモンスターのふりをする。




 Wikiに載っていた、β版のテイマーの情報である。


 このゲームでは、テイムモンスターも物の売買が可能である。

 つまり、道具屋などに入ったり、露店に行き、物を買うことができるのだ。


 それを利用し、テイムモンスターにおつかいをさせるテイマーが相次いで見られた。

 ゴブリンやオークなどの人型モンスターはもちろん

 スケルトンを派遣したツワモノもいたらしい。


 おつかいのお陰で有名になった人もいるようだ。

 幼女ゴブリンの紳士(ろりこん)(Apple2032 id:497)とか。

 おつかいの内容は二つ名の通り。



 しかし、この世界ではテイムモンスターとモンスターの分かりやすい見分け方がない。

 頭上に黄色いタグがついているのがテイムモンスター……などといったシステムはない。

 みんな同じである。


 ではどうやって区別するのか。それは簡単だ。

 敵対的か。友好的か。それで判断する。


 周りのプレイヤーに攻撃してくるモンスター。

 つまり敵対的なモンスターには、容赦なく攻撃される。


 反対に、友好的なモンスターは守られるのだ。

 ここまで説明していなかったが、このゲームでは様々な生物がしゃべれる。

 人間もNPCもモンスターも。知性さえあればしゃべれるのだ。

 僕もスライムになったが普通にしゃべれるだろう。


「ぼくは すらいむ です」

生麦(なまみゅぎ) 生米(にゃまごめ) 生卵(なまな゜まご)

「π=3.14159265358979323…(以下500桁)」


 ほら。しゃべれた。

 この声を利用して、いざ町へ。





 僕はルマーズの町への道を進んでいく。

 スライムはそこまではやく進めないようだ。

 最高速でも時速5kmくらい。人間の歩行と同じくらい。

 人間の走り(時速20km)には到底届かない。



 そんな感じでスローに進んでいった。

 スローといっても、草原から町まではほんの僅かだが。

 歩いて8分、走って2~3分といったところかな。


 そうして、町の門が見えてきたとき。

 ちょっとした事件が発生した。



 後ろから声が聞こえた。


「あら? こんな所にスライムが」

「じゃあ俺が狩っちゃうか」

「お、おい! 待て待て!」


 僕が後ろを振り向いた時。

 高校生くらいの男子がこっちに剣を振りかざしてくるのが見えた。

 それを別の男子が腕で止めた。傷口はできていない。




 このゲームでは傷口が一切描画されない。年齢制限を下げるためだ。

 その他にもさまざまなやさしい基本設定がある。


 生物への物理攻撃は、対象物に当たらない(描画上)とか。

 分かりにくいので例を挙げる。


 自分に矢が飛んで来たとき。

 矢が自分に当たると自分のHPが減る。

 しかし、矢が当たるのは自分から50cmのあたり離れたところである。

 自分や、撃った人や第三者から見ても、当たっていないように見える。

 これはトラウマ軽減のためらしい。


 Wikiから拾い上げた、そんな雑学を頭から掘り返している間にも。

 自分の前では会話が進んでいた。



「サト、こいつは友好モンスターだ。狩っちゃダメだぜ」

「すまんヒロト。でもモンスターなら狩っていいんじゃ?」


 おっと。

 さっきは何があったんだっけ……そうだ。


 僕は高校生くらいの男子に襲いかかられたんだった。

 たぶんそれはサトって子だね。

 剣で切られそうになっていたんだった。


 また、それを止めてくれたのはヒロトって子だ。

 あと後ろに女子がいて、おろおろしている。



 そして、僕はとりあえず助かったようだ。

 ヒロトって子に、助けてくれたことのお礼を言いたい。


 そんなことを思っている間にも、ヒロトって子が近づいてきた。

 戦闘目的ではなさそうである。

 サトという子の質問に答えず、僕に近づいた。


「身内が失礼した。すまない」

「こちらこそ助けていただきありがとうございます」

「お礼はいいぞ。もともと俺らの不始末だしな」


 うむ。まあ丸く収まったようだ。

 そうしてヒロトは僕から離れ、彼らのパーティに戻った。


「ねえ、友好モンスターってなに? サトと同じく、私も気になる。」

「サト、ユリア。友好モンスターってのは、テイムモンスターのことだ。

 テイムモンスターは簡単にいうと『ペット』だな」

「えっ……」

「まじかよ俺他人のペット倒そうとしてたのか」

「うむ。今後ははずみで倒そうとしないように気をつけないとな。とくにサト」

「気をつけるぜ」

「私も。にしてもさすがβテスター、よく知ってるね」

「俺も一回やらかして叱られたことあったからなあ……」


 そうして彼らは去っていった。



 その後、大きな問題が起こることもなく。

 僕は無事、町へとたどり着いたわけであった。



 さあ、町についたし、ログアウトするかあ。

 さよならー。


 ログアウト。


 ……







 ……


 ログイン。

 外を見ると、すっかり日が昇って朝になっている。


 僕はルマーズの町でログアウトしたんだっけ。

 さて、今日はどうしようか?



 そういえば、僕は自分自身の体からポーションが作れるんだった。

 そこからポーションを作って、売って資金を得ようかな。


 僕は建物のはざまの奥に入りこんだ。

 人に見られると面倒そうだからだ。


 そして、

 スライムジェルを量産しだした。


<スライムジェル×99を獲得しました>

<スライムジェル×99を獲得しました>

<スライムジェル×99を獲得しました>

 ……

<インベントリがいっぱいです>


 なるべく床にスライムジェルを残さないように量産。

 あまり落ちているのを見られても困るし。


 スライムジェルが計、18スタック溜まったらしい。

 つまり18×99、1782個だ。これくらいあればいいかな。

 では錬金を開始しようじゃないか。



 ―――錬金ウィンドウ―――

 錬金する素材の数:2(変更不可)

 錬金台:初心者用錬金台 耐久∞


 素材:スライムジェル×2

 [決定]

 ―――――――――――――



 決定ボタンを連打。

 連打。

 連打。


 ・HPポーションLv1×503(補正略)を獲得。


 そこからもポーションを作っていくぞ。

 HPポーションLv1からポーションを作成。


 ・HPポーションLv2×124(補正略)を獲得。


 もっとポーションのレベルを上げようか。


 ・HPポーションLv3×35(補正略)を獲得。


 もう一段階。


 ・HPポーションLv4を合計9つ獲得。


 ・HPポーションLv4(+2)×1:HPを210回復する。

 ・HPポーションLv4(+1) ×3:HPを180回復する。

 ・HPポーションLv4×4:HPを150回復する。

 ・HPポーションLv4(-1) ×1:HPを120回復する。

 ・HPポーションLv4(-2) ×2:HPを90回復する。


 こんなもんか。

 これぐらいポーションがあれば、これを売ればちょっとは儲かるだろう。



 そうして僕は露店の一つに向かった。

 道具屋に行く手もあったが、純粋に露店が近かった。


 高そうな布の上に、商品としてポーション類や一部の素材等が置かれている。

 その横には木のプレートがあり、『露店:ポーションを作ろう!』と書いてある。

 また、店主の人は女性だ。


 もうすでに2,3人の人がたむろしている。

 それなりに繁盛しているのかな?



「いらっしゃいませー。ここは露店『ポーションを作ろう!』です」

「こんにちは」


 店主と会話を交わす。


「おお、スライムか」

「スライムのおつかいって珍しいな」


 客たちは僕を見てそう言っていた。

 まあおつかいをするスライムって、確かに聞いたことはないな。

 まあそれは置いておいて、ポーションの取引。


「ポーションを売りたいんですが」

「はい。どのようなポーションですか?」

「HPポーションのLv4が9つです」

「Lv4!? 結構高レベルですね」


 なぜか驚かれた。なんでだろう?

 しっかりと実物も見せる。


「Lv4のHPポーションが9つあります」

「確かに本物ですね」

「いくらくらいで買い取ってもらえますかね」

「うーん……補正は平均で±0といったところですね。現在のレートでしたら、1つ1,500C(コイン)といったところでしょう。」


 1つ1,500C。これって高いのかな?

 よく分からないが、そんなもんだろう。


「つまり13,500Cくらいですか?」

「はい。ですがサービスで15,000Cとしておきますか」

「いいんですか?」

「Lv4などの高レベルポーションは品薄なので、多少高くても問題ないんですよ」

「じゃあそれでお願いします」


<HPポーションLv4×9(補正略)を15,000Cと交換しますか?>


 はい。

 すると、僕のポーションが消え、お金が溜まった。

 合計15,500Cのようだ。


「ありがとうございましたー」

「一応商品も見てみますね」


 商品の方はどんなものがあるかな?

 僕がそう思って、商品を見渡していると後ろがざわざわしていた。


「スライムなのに、妙に知性があるぞ……」

「トップユーザーのテイマーか?」

「でもポーションのレベルも高かったよな」

「まさかテイマーと錬金術師の掛け持ち?」

「馬鹿言え、んなわけあるか。錬金術師がテイマーにポーションを譲ったとかだろ」

「はは、冗談だ」

「……」


 うーん。

 なんか僕、注目の的?

 他人のふり、他人のふり。


 商品にはさまざまなものがあった。


 ・薬草

 ・湖の水(瓶詰)

 ・キノコ

 ・何かの甲羅

 ・赤いオーブ

 ・金属のインゴット

 etc…



 僕がとくに気になったのは赤いオーブであった。

 何かに使えそう。ぜひ買っておきたいところ。


「この赤いオーブはいくらですか」

「1つ300Cです」

「じゃあ10個下さい」

「まいど」


 赤いオーブを10個購入。残金12,500C。



 余談。この世界での道具屋などは、お金を払う動作が必要ない。

 店主からアイテムや物を受け取ると、自動的に代金が所持金から引き落としされ、物が買える。

 C(コイン)を硬貨で支払うことはできない。


 この世界をより快適にするためらしい。

 このシステムにより代金を払い忘れることもないし、商品が盗まれることもなくなった。

 以上、Wikiからの情報。ほんとWikiって万能。



 そういえばこれらの素材があるところってどこにあるんだろう?

 自分で採ったほうが楽な気がする。

 素材のありかを知るためには……地図が必要だな。


「地図を売っていませんか」

「悪いけど、ここにはないですね。町のちょっと奥に道具屋があるから、そこで買うのがいいと思います」

「道具屋の目印はありますかね」

「なんでしたっけ……そうだ、薬草とポーションのマークが目印です」

「ありがとうございました」


 ポーションの取引には無事、成功。

 面白そうな赤いオーブを手に入れることをできた。



 そうして僕が露店を去ろうとすると、客のひとりが誰かを呼び止めていた。


「ちょっと待ってください!」


 僕にあてられたものではないだろう。

 そう思って気にしなかったが、直後の声で気がついた。


「ちょ、ちょっと待って! スライムさーん!」


 はい? スライムさん?

 僕のことのようだ。


「どうしたんですか?」


 僕がわけを尋ねると、彼女の要求は。

「あなたのテイム主とフレンドになりたい」

 ということらしい。


 まあ特にフレンドが欲しいわけじゃないし。

 というかテイムされてないし。

 まあ誤解を招くために動いてるのはあるんだけどね。

 という訳で丁寧に断っておいた。


「また会った時はよろしくお願いしますね!」


 そういって彼女は去っていった。

 一方、僕は道具屋に向かっていった。

 あっ。彼女の名前を聞いていないけどまあいいや。



 ◇主人公のステータス(現在)


 ―――ステータスウィンドウ―――

 スカイ:Lv12 ジョブ:錬金Lv19 年齢:0 所持金:500C→12,500C

 種族:ブルースライム


 ステータス:

 HP:22/22

 MP:5/5

 攻撃:7

 防御:6

 俊敏:6

 器用:82



 魔法:

 酸弾(MP1):酸性のスライムジェルを飛ばす。種族固有スキル。


 スキル:水魔法Lv1


 ジョブスキル:なし


 インベントリ(3/20):初心者用錬金台 耐久∞、青銅の剣、赤いオーブ×10


 装備:なし


 ブルースライム:モンスターランクF

 ドロップアイテム……「スライムジェル」「魔石・青」


 ルマーズ草原などにいるモンスター。水色。

 この世界の最弱モンスター。剣で核を切るか火魔法を浴びせれば倒せる。

 体のジェルは酸性であり、触れたものを溶かす。

 水魔法を使い、たまに敵に酸弾を浴びせることも。

 戦闘などで経験値が入り、Lv20でグリーンスライムに進化できる。

 ―――――――――――――


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