彼女との出会い
上空には龍が飛び水中にはエラのついた住人、陸上にはモンスターを狩るハンターがいる。
ここは商業が栄える都市、アルティネス。
このアルティネスでハンターとして名をあげている相馬委伸はハンターレベルが最高のレベル999、装備している武器は魔剣クラスで充実した生活をしている。
彼の入っているギルドは毎日笑顔が絶えず皆がそれを憧れた。
「ジャンク、援護を頼む」
「おうよ!」
「ルーシアは回復を、グリーシアは遠距離から攻撃してくれ」
「はい!」
「相馬あとよろしく!」
「任せろ」
太陽の姿が確認できない洞窟の中、ルーシアの作る光で辺りを照らして目の前にいるモンスターを倒していく。
「グラン――ソード!」
モンスターは血を流すと同時に倒れ、相馬は息を休める事なく剣を鞘に納めた。
戦いのあとルーシアは、皆を回復させ、グリーシアはマジックポイントを回復する薬を飲んだ。
「みんなー、そろそろ戻るか?」
「ノルマはクリアしたしな!」
「そうね、帰りましょうか」
太陽が見え始め皆が洞窟を抜け出したのを体で感じていた。
「やっぱり地上はいいよな!」「な! 相馬もそう思うだろ?」
「あぁ 空気がうまい」
「そう?そんな変わんないと思うけどなー」
「グリーシアはわかってねーなー、俺らだってな光合成しなきゃなんねんだよ!」
「ルーシアはわかるよな?」
「え……えぇ?」
「わかってくれるか!ウンウン、やっぱり俺らは似てるな!」
「似てないわよ……」
「それ言うならお前らだって双子のくせに全然似てねーな」
「私はパパに似て、ルーシアはママに似たのよ!」
「その年でママとか言ってるのかよ」
「いいでしょ!」
話をしているうちにアルティネスに着き、皆は集会場へ向かった。
集会場では人が大勢集まり何か騒がしいことになっている。
そこには美人で相馬と年の変わらそうな女性がお酒を飲んでいるところだった
「何騒いでるのかしら?」
ルーシアとグリーシアは何を騒いでいるのかわかってはいなかった。
相馬はその美人のお酒の飲む姿をみて顔を赤らめている。
ショートカットの黒と紫の髪、ウエストは細く。胸が大きく口からこぼれるお酒の泡がそこにたまっていた。
「オレ……オレ、あの人と結婚したい」
「いきなりどうしたんだよ」
「いや、何でもない……」
「何でもなくないだろー?」
ルーシアとグリーシアは相馬に何があったか気づき二人とも怒ったような顔をして相馬を睨み付けていた。
「な、なんだよ」
「――なんでも!」
「ならいいけど……」
「フン!」
「なんだよー」
「何でもないって! ヒツコイ!」
「お前らからきたんだろ、まぁいいや」
相馬は一目惚れと気付き考える間もなく行動していた。
酒場でお酒を飲んでいる人たちは彼女のことを見ていて、誰一人としてその光景を逸らすことはなかった。
相馬の足音が彼女の方へ近づくにつれ強くなり彼の気持ちも強くなっていった。
ドンドンドン
目の前に彼女がいるところまで行くと足を止め片足を地面につけて言った。
「オ、オレと…… つ、つ、つきあってくださいっ!」
相馬の顔が彼女を初めて見た時よりも顔を赤らめて、自分の言ったことをもう一度考えていた。
彼女に言ったこと改めて思いだし、逃げ出そうとした相馬に彼女が何一つ変わらない顔で言った。
「友達からなら……お願いします」
「――とも、だち?」
「はい!」
「……」
相馬の心は彼女の一言でボロボロになっていた。
彼女の心は彼の告白を思いだした。
(勢いで振っちゃったよー、どうしよう……振っちゃったけど正直タイプだし、でも今から言ってもそれはそれでだよだよね……)
「あのー、お名前は?」
「――相馬です」
「私はエキナ、エキナ・ステンエルよ!」
「――あ、いい名前ですね」
「ありがと」
エキナは相馬ともっと話したいと思う。
「あの……できれば、あなたのギルドに入れさせてもらえないかしら?」
周りの目が気になる中、恥をすてて言葉に出した。
思わぬ言葉に相馬だけでなく酒場にいる皆が止まった。
「は、はい!」