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第二幕 静かな湖の畔

前の投稿から随分と長い時間がたってしまいました・・・・。申し訳ありません・・・・。

『おはよう。』


 本日(?)二度目のオディールのおはようでございます。

 正直言ってすんごく眠い。だが、ここで眠ったままでいると、オディールはこれ以降絶対に起こさないので、もれなく授業に遅刻します。最悪です。なので、ここで私は必ず起きる。私ってば偉ーい☆・・・おい、誰だよキモイって言った奴。ぶん殴るぞ。


『なに心の中でわけわからない独り言言ってるの?』


 オディールにわけわからないって言われた・・・・。ショック!!そして何気に時間がヤバい!!


『ほら、朝ごはん用意したよ。』


 私が心の中で色々独り言を言ったり、顔洗ったり、着替えたりしているうちに、オディールがマジックショーばりの素早さで朝食を用意してくれた。いや、マジックっていうか、本当に超能力な感じなんだけど・・・。


「ありがとう!」

 

 パンを一つ口に挟むと、部屋をでようと扉を開け


『だめだよ。』


 られない!!オディールが とびらの まえに たち はだかって いる! 


「いや、遅刻するんだけど。」

『ほら、なんか忘れてない?』


 そういってオディールは自らの頬を指さしながらウィンクしてくる。

 ぶりっ子かよ!!っていいたいところだけど、なにやっても似合うのがイケメンなんだよなぁ・・・。ちきしょう!私もイケメンに生まれたかった!


『ほらほら。』


 ほらほらと言われても・・・・。何のことなんや・・・・。


『忘れちゃったの?』

「うん。」

『約束したのに?』

「うん。そろそろ遅刻するからどいてな。」

『やだ。だって約束したもん。』

「やだと言われても・・・・。」

『やだったらやだ。』

 

 駄々っ子か。


『僕、君が思い出すまでこの部屋から出す気ないから。僕は別に、君が学校に行かなくてもなーんにも困らないしね。』


 オディールのその言葉と同時に、一陣の風がふき、窓や扉が閉まり鍵がガチャリとかかった。

 ひえええ・・・。今、一瞬ひやっとしたよ。物理的にも精神的にも。


「・・・・・なにを約束したんだっけ?」

『はぁー・・・。言わせるの?情緒がないなぁ・・・。』


 私は情緒よりも学校に遅刻しないことの方が大事です!!


『ほら、接吻だよ。僕の頬にしてくれるんじゃなかったの?』


 あああああああ!!!!忘れてた!!忘れてた!!!なんであんな約束したんだろ!!最悪!!!


「ゴメン・・・オボエテナイナァー・・・。」

『・・・・僕、心を読めるんだよ?』

「ごめん・・・・。」


 あの約束、勢いでしちゃったけどすんごくなかったことにしたい・・・・。


『なかったことになんかさせないんだからね。』


 オディールはぷくぅーと頬っぺたをふくらませる。


「・・・・やればいいんだろ!やれば!!」


 ええい!ままよ!!

 オディールの陶器のような肌にそっと口をつけてパッと離れた。


『・・・ふふふ。』

「・・・・・・・・・。」

『いいよ。もう出してあげる。早く学園に行けば?』


 ガチャンという音とともに鍵が開くような音がした。

 オディールの肌は・・・・すべすべだった・・・。あと、なんかいい匂いした・・・。


『変態。』


 にこっと微笑み私を罵倒するオディールは麗しい・・・・。

 

「って、可笑しくなってるよ私。」


 ガチもんの変態っぽく・・・・。


『そうだねぇ。あ、時間結構不味いんじゃない?僕は構わないけど。』


 え、ぎゃああああああ!!!時間じゃん!!ヤバい!!


「いってきます!」

『いってきま~す。』


 私が部屋を出ると、そのままオディールもついてくる。


「鍵閉めといて!」

『もう、雑用じゃないんだからね。』


 と、言いながらもガチャンと音がしたので閉めてくれたのだろう。


「オディール、能力でどうにかしてくれない!?なんか、風の能力で足を速くするとか!ありそうじゃん!!」

『構わないけど、下手すると、勢いがつきすぎてそのまま壁に突っ込んでいったりするかもだけどいい?』

「それが良い人っているの!?」

『いや、あんまり聞いたことないけど、そういう趣味の可能性もあるなーって。』

「オディール、何年間私と一緒にいたっけ!?」

『えっと・・・・三年くらい?あれ、一年だっけ?』


 酷くない!?


『ごめんごめん。ちゃんと覚えてるよ。十五年だよね?』


 あ、覚えてんだ。オディールだったら普通に忘れてると思ってたわ。


『君こそ酷いじゃん。』

「それはごめん。」


 めんごめんg


「「ぐあっは!!!」」


 だ、誰かにぶつかった・・・・。


「「ごめんなさい!!」」

 

 誰か知らないけど!・・・・・って、ん・・・?


「エーデル、さん・・・・。」

「ワイス・・・・さん・・・・。」


 私の目の前にあるのは、私の顔。驚いた間抜けな顔も私と全く同じ。


『ありゃ、双子ちゃん。・・・・と、厄介な白いのが一羽。』


 オディールがなにか言っていたような気がするが、そのときの私にはなにも聞こえていなかった。


「お、お元気でしたか・・・・?」

「え、あ、はい・・・・・。あなたは・・・・?」

「えっと・・・・はい・・・。元気でした・・・。」


 二人で馬鹿みたいな会話を繰り広げる。これでも私たちは一卵性の双子だ。だが、仲は冷え切っている・・・と言っても過言ではないレベルで話したことがない。別に・・・ワイス、さん・・・のことが嫌いなわけじゃないけど・・・昔から、お互いに避けている。


「それ、じゃ・・・。」

「あ、はい・・・・。」


 そういってお互い慌てて走り去る。それにしても今日は本当に運が悪い。


『よかったの?』

「うん。」

『相変わらず似ているねぇ。』

「そりゃ双子なんだし。どっちかの顔が急に変わったら整形を疑うわ。」

『ははっ、たしかに。・・・・まぁ、双子でも似てないことはよくあるけどね。』


 まぁ、一卵性の双子と二卵性の双子がいるしね。


『そういえば、授業はいいの?なんか、きーんこーんかーんこーんって

「ぎゃああああああああ!!!!!!」


 ヤバいじゃん!!朝礼始まっちゃうよ!!つーか、完全に遅刻じゃん!!!



 * * * * 



『怒られちゃったね。』


 無視だ無視。オディールのことなんて無視だ。そもそも怒られる原因はオディールが駄々こねて私を遅刻させたからだし、今は授業中だから先生以外の声は聞こえない・・・・つまり、ここでオディールに返事したら私はただの変人だ。これから私に話しかける人間はいなくなる。・・・・もともと私に話しかける人類なんて絶滅危惧種だけど。


『さっびしー。』


 うるっせ馬鹿!わかっとるわ!!


『ま、僕がいるしいいんじゃない?』


 ・・・・そうだね。この世界にはオディールがいる。そして、私がもともと暮らしていた世界には・・・あの子がいる。ここで、あと少しの間、楽しく過ごしたら・・・。ここでの話、あの子に一杯話してあげるんだ。そしたらきっと、あの子も・・・・


「んーと、ここは・・・・。よし、エーデル。解け。」


 えっ?はっ!?ええー!!!?



 * * * *



『お疲れ様。』


 はぁ・・・・。散々な一日だった・・・・・。さっさとお風呂にでも入って寝よ。




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