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序奏

これまでの『花園』シリーズ・・・特に今回は『お巡りさーん!!隣に私を殺そうとしている奴がいるので今すぐ助けて欲しい件について!!』を読まないとわかりにくいところがあるかもしれません。

「肩こったー・・・・。」


 私・・・エーデル・ウスユキソウ・キクは今、舞踏会を抜け出し、夜の庭をぶーらぶらと歩いている。花園ぶらり旅・・・・なんちゃって!


「はぁ・・・・・。」


 おっと!?誰かが溜息をついている。なにか悩み事か?


「・・・・・溜息をつくと、幸せが逃げるんじゃなかったか?」

「もう逃げてるから。」


 なんか・・・女子会臭のする会話だな・・・。「結婚したいな~・・・ハァ・・。」「溜息つくと幸せにげちゃうよ~!」・・・的な。・・・・というか、この声、どっかで聞いたことあるような・・・・?


「・・・・・そうか。」


 あるあるだァー!!!喋ってる相手に凄い卑屈なこと言われるけど、それがあんまり外れてないときにどう反応していいか困るヤツ!!!


「「・・・・・・・・・・・。」」


 そして二人ともなに話していいかわからなくなるヤツ!!!


 ガサッ


 ゲッ!!!腕が思いっきり草にあたったあげく、女子会()の沈黙に大きく響いたー!!! 


「「・・・・・・・・・・・・・。」」


 ・・・いや、私の存在がバレても特に問題はないんだけどさー・・・。でも、さ、なんか盗み聞きしてたみたいで・・・・ちょっとアレじゃない・・・?というかさ、さっきの気づかれてなかったとかってオチないかな?実は二人とも次の話題のこと考えてて上の空でしたー!みたいなのダメ?なしかな?私はすっごくいいと思うんだけど。

 ・・・・つーか、今更だけど、あの二人の声に聞き覚えがあるのはなぜ?


 ちらり、と茂みからこっそり声のする方向を覗いてみる。


 ・・・・・あれは・・・!!!

 リコリス&フラン!!私が!一番!好きな!!組み合わせ!!!!なんか、リコリスさまの見た目が若干・・・?いや、結構違うけど、私にはわかる!!!なぜなら!!前世の私はリコリス&フランの登場する乙女ゲーム『花園』の大ファンであり、リコリスさまのグッズや、フランのグッズを根こそぎ買っていたから!!!リコリスさまマジどS!!フラン、マジ天使!!マジキュート!!!大好き!!!

 というかやっぱり、この世界は乙女ゲーム『花園』の世界なんだなぁ・・・。ロゼとかミスルトゥ、フィアーノ、クロユリ、シラユリの時点でわかっちゃあいたけど、こうやって二人を生で見ると・・・なんとも言えない気分になるなぁ・・・。

 そしてなにより!!二人とも超・すてk


「・・・・・貴さm

「ギャッファー!!!」


 ぐぎゃあしふはいはぱっ!!!フラン!顔が近い!!素敵!!マジイケメン!!マジ美人!!!鼻血でそう!!


「ちょっ!?フラン!?人の悲鳴聞こえたけど!?ついでになんか割れる音したけど!?なにしたの!?」


 って、げっ!!!鼻からじゃなくて、足とか腕から血がァ!!!!そして鏡が割れてる!!!


「うっ・・・・痛い・・・・。」


 なにげに痛い!!いや、何気にじゃなくてマジで痛い!!!


「ちょっ!?大丈夫ですか!?」


 リコリスさま、スキ!!! 


「だ・・・・大丈夫です・・・・・。多分・・・・。」


 実は全然大丈夫じゃないです!!リコリスさま!!そして、理想の王子の仮面を被るリコリスさまマジ素敵です!!顔はイケメンじゃなくとも、私は貴女の腹黒くて残酷でドSな性格に惚れたんです!!!


「鏡、鏡はどうしましょう!?」

「だ、大丈夫です!!そんな大事な鏡じゃないし!!」


 貴女に比べたらただのゴミです!!粗大ごみです!!色んな意味で!!本当に色んな意味でこれは必要ありません!!


「貴様・・・・・その鏡、どこで手に入れた?」


 ・・・・・・え?まさか、オディールのことを・・・?


「あ、えっと・・・・失礼します!!!」


 こ、ここはとりあえず撤退だ!!!フランとリコリスさまのことは覗き見すればいいし!!!


「いや、ちょっ、鏡!!!」


 いいんです!!それは!!後で回収しますんで!!・・・・オディール、ごめんよ!!普段の行いの報いだと思っておくれ!!!あ、オディールってのは、


「・・・・・・・どうする?この鏡・・・・。」


 いいんです!!リコリスさま!!そんなもの気にしなくて!!


「この臭い・・・・・・。」


 どうしたのフラン!!麗しい顔に皺が!!!


「おい、この鏡に触れろ。」


 いやいやいや!!触んなくていいですよ!!そんなものに!!!


「嫌だよ。」


 当然です!!


「いいから。」


 なにがいいんだ!?そんなもの触ったらリコリスさまが怪我するだろ!?


「そんなに触って欲しいんだったら自分で触ってよ。」

「断る。」


 ・・・・・というか、リコリスとフラン、ゲーム内と違って随分仲良しだな。女子会()してたし。しかも、上下関係逆転してね?


「とにかく触れろ。」

「・・・・・なんでよ?」

「私には恐らく・・・・・いや、なんでもない。早く触れろ。」

「・・・・・・へいへい。」


 えええええ!!!!?触っちゃうんですかァああああ!!!!


「はい触れた。これでいっ!?なんだこれーーーーー!???」

 

 なぜじゃあああああああ!!!!!?リコリスさまとフランがああああああああ!!!!風にィイイイイ!!!!攫われていくぅうううううう!!!!!!二人を連れて行かないでェええええええ!!!



 * * * *



「マジ、ごめんなさいでした!!!!」


 日本のお家芸、DO・GE・ZAだ。いや、でも、これぐらいしなきゃこれの機嫌は恐らく直らない。


『べつにいいよ。面白いモノも見つけたし。それに、鏡・・・・依り代が割れて木っ端みじんになったとしても、しばらくの間天上に戻るだけだし。いや、やっぱり僕としてはそれもはた迷惑だけど。あ、ちゃんと新しい依り代はもってきたし、さっき、僕の依り代はその新しく依り代になってた鏡から、そこにあるでっかい鏡に変更したよ。』


 よかった・・・・。そこまで機嫌そこねてない・・・・。つーか、依り代、あの鏡にしたの?

 あ、依り代っていうのはオディールが現世にいるために必要なものね。それがないと、現世にはいられないらしい。オディールの場合は鏡を依り代として使っている。依り代を変えたい場合は現在依り代にしている鏡と新たに依り代にしたい鏡を合わせ鏡にすれば、新たに依り代にしたい鏡が依り代になるらしい。これまでずっと、オディールは私の手鏡を依り代にしてたけど、割れちゃったからね・・・・。というか、これを機会に同居を解消しちゃダメだったんすか?オディールパイセン。あ、私は花園学園の寮暮らしだけど、ぼっち部屋だから、同室の人がオディールを見つけて「この人・・・誰・・・?」な感じにはならないよ。まぁ、オディールは普段から私以外の普通の人には見えないようにしてるらしいし、みんなと同じように二人部屋だったとしてもそんなことにはならないはずなんだけど。もし、二人部屋だったら・・・・私は空中に話しかけたり鏡に話しかけたりするヤバい人だと思われるんだね。絶対嫌だわ。


「って、許してるっぽいこと言いながらも夜ご飯いつまでもつくってくれないじゃないですかー!!」


 作るというか、出現させるというか。


『うんうん。鏡を割ったことはそこまで僕、怒ってないんだよねぇ・・・。』


 え、そうなの?


『僕のこと、そんなに大事じゃないの?』

 

 オディールの頬がぷくーと膨らんだ。

 ああー!!!それのことだったかー!!! 


「い、いやー!それは言葉の綾といいますか・・・。」

『言葉の綾でも僕は嫌。』


 あはは・・・・。


『だから言ってよ。ね?僕が好きだって。』


 そういって背後から抱き着いてくるオディールのことを私がセクハラで訴えてもなんにも問題ないと思う。まぁ、色んな意味で無理だけど。


「好きだよ。オディール。」

『やだ。足りない。』


 足りないっていわれてもなぁ・・・・。

 あ、さっきからオディールオディール言ってるけど”オディール”は人ではない。神というやつらしい。それにしては随分俗っぽいし、慈愛とか少しも感じたことないけど。きっとこの世界の神さまは人間に近いんだと思う!!!うん!!オディール以外の神さまにあったことないけど!!!まぁ、とにかく、オディールは本当に人間っぽいけど、違う点をあげるとしたら・・・・麗しすぎる見た目とかかな。身体も華奢だし、顔も綺麗すぎる。見た目関係で唯一気になるとすれば、眼球が・・・ないってことぐらいかな。今は義眼が入ってるけどね。ほかは、人間離れした能力、とか?持ってる能力の属性は風と光の二つ持ちである。その時点でスーパーハイパーチートであるが、能力名を聞いて驚くことなかれ!『風』と『光』である。そのまんまやーん!!そう、そのまんまである。だって風と光の神さまだもん(byオディール)どうやら、風と光の能力だったらほとんど使えるらしい。まぁ、少し特殊めの能力だと使えないものもあるらしいけど。って、オディールに好きっていわなきゃ。


「今宵は月が美しいですね。」

『月見えない。』


 そりゃあ、部屋の中だし。


「アイラブユー!!!」

『あいらぶゆー?なにそれ?』


 あ、英語はダメか。


「ドキドキで壊れそう1000パーセ

『つまんない。』


 う、ウケ狙いじゃないし!!!!


「私、死んでもいいわ。」

『いいの?』


 え。いや、それは・・・・。


「私の炎を消してくれる?」

『狂った?』


 ごめん。


「愛してるよ、オディール。」

『・・・・僕も。』


 そのまま口にキッス☆しようとしてきたオディールをぶん殴った私は少しも悪くないと思う。


「で、夜ごはん。」

『ああ、ごめん。はい。』


 机の上にカレーとサラダ、牛乳が出現した。


「よっしゃあああ!!!ありがとう!!オディール!!マジ愛してる!!!」


 カレーを。


『・・・・僕、心の声聞こえるからね。』


 ・・・・・本当にすみませんでした。


「おいしー!!!」


 本当に!!!


「そういえばさ、オディールってなんで絶対に地面に足をつけないの?」


 オディールは、神さまのためにつくられた場所、依り代(鏡)の中、神域以外で地面に足を絶対につかない。常に浮いてる。


『むかーし、色々あってね。むかしはずっと空中に浮いてなくても生活できたんだけどねぇ・・・。むかしは楽しかったなぁ・・・。』


 なんか、おじいちゃんの昔話聞いてるみたいな感じに・・・。


『もう食べ終わったんだね。お風呂に入っておいでよ。』

「ああ、うん。ごちそうさま。・・・・・・覗かないでよ。」

『嫌だなぁ。僕がいつ、ぐえっ!!』


 毎晩毎晩やってるじゃん!!このセクハラ神が!!!風と光の神じゃなくて、本当はセクハラの神なんじゃないの!?そんなのいるか知らないけど!!!・・・・いや、いたら嫌だな。


『わかったわかった。今日は覗かない。』

「・・・・これからも覗かないでよ。」

『・・・・・でもさぁ、君、今日僕のこと・・・・

「あー!!!!!!お風呂がさめちゃうー!!!早くいかなきゃー!」


 オディールが言ってることなんて聞こえない!!聞こえない!!



* * * *



「くはァー!!!いい湯だった!!オディール、コーヒー牛乳!!」


 風呂あがりは喉が渇くからね!!


『僕はコーヒー牛乳じゃないよ。』

「屁理屈はいらん!!コーヒー牛乳!!」

『本当に僕の名前がコーヒー牛乳みたいになっちゃってるじゃん。』

「コーヒー牛乳。」

『はいはい。』


 コーヒー牛乳が手の中にポッと出現した。

 キンキンだぁッ!!!早くのもっ!!!


 ゴクゴクゴク


「・・・・プハァーッ!!!美味しいっ!!!」


 本当においしい!!!


『それはよかったね。・・・・そろそろ寝たら?』

「あ、そうだね。」


 もう十二時だ。


『じゃあ、おやすみ。』

「うん、おやすみ。」


 オディールは少し微笑むと、一陣の風にのまれて消えた。やがて、風が完全に静まると、オディールのいた場所には黒い羽根がふわりふわりと何枚か落ちてきた。


「さぁーて、寝るか。」


 おやすみなさーい。




『乙女ゲームの世界でハッピーライフプランを立ててるけど結構上手く行きそうな件!!!』と繋がっているような繋がっていないような・・・?


『キャー!!ヤバい奴がいるのでどうにかして欲しい件』の登場人物紹介、投稿しております。

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