都道府県のお正月!
なんだかんだで第三弾!この辺から物語は本番!!得体の知れない活劇が今始まるッ!!!
◇ 1月1日 日曜日 ◇
~餅つき編~
「我が弟よ!!準備はいいか!?」
透き通った声が静寂を突き破り、住宅街に新しい朝を告げた。
「餅米オッケーィ!!」
埼玉は物置から木の臼をドカッと下ろし、その中に餅米を注ぎ込む。
「家にこんなのがあるなんてねぇ」
ちょっと背伸び、仰いだ空は雲一つ無い冬晴れである。
「フッフッフ、私に不可能はないのだよ?」
得意げに微笑む東京。
「せっかくだ、君が餅をついてみてくれ。私が水をつけたりしよう」
「じゃあいくよー」
埼玉はきねを振り上げ、
「よいしょー」
ボキッ!
「あっ♥」
「よいしょ・・・・・・」
ボキッ!
「あぁ♥」
「・・・・・・あの」
ボキッ!
「ああぁ♥」
「もうヤダ!何この新手のプレイ!?」
「うむ!なかなかの突きだったぞ!」
「未だに餅米が固形物だよ!どちらかといえば姉さんの手の方が餅に程近いよ!」
「さてと、そろそろ『全自動餅つきマシーン』を――――」
「嘘だろオイ!?」
~初日の出編~
「直、日が昇る・・・・・・」
「―――――決着の刻ね」
日本一の霊峰にして世界最大の単体山―――――――富士山
雪に覆われた頂、巨大な火口を前に少年と少女が対峙していた。
「ああ、似たヤツは二人もいらないよ」
「恨みっこなし、良い新年にしましょ」
針のような、氷のような緊張感がその場を支配している。
「この因縁を―――」
少年の背後の雪が融解し始め、オーラのようなものが可視化する。
「断ち切る!」
少女も同様のオーラを発現し、互いの力が共鳴する。
水平線の先、宵闇の黒を一筋の閃光が貫いた。
「いくぞ静岡アアァ!!」
「くらえ山梨!!」
今ここに、富士山を賭けた戦いが始まる―――――――!!
~こたつ編~
「もしもし?・・・・・・あぁ、そうか。報告ご苦労」
ガチャリ、東京は受話器を置きミカンを手に取った。
「どうしたの姉さん?」
「富士山ちょっと噴火したらしい」
「はい?」
「ふひはんちょほふんはしたらひい」
ミカンを一口、東京は目を白黒させている。
「いや・・・・・・えええええ!?」
「ミカンいるか?」
「もらっとくね、って日本の終わりなんですけど!?
俺ヤダよ!?最後の晩餐が温州ミカンなんて!」
「まぁ落ち着け。きっと山梨と静岡がなんとかするだろうよ。富士山なんてあの二人が抑えている位が丁度良いのさ」
「さすが姉さん、ヤバいことの温床」
ピンポーン!
インターホンが鳴り、
『とうきょー!来たでぇ!』
鼓膜を突き抜ける勢いの声。その後にワイワイと賑やかな雑音も。
「前言撤回。ヤバいことの涅槃」
埼玉の眼が死んだ。
~木枯らし編~
枯れ葉舞う町、肌に染み入るような寒さの中を行く一団があった。
「『第一回 東京ちゃんのチキチキ新年会』!?」
東京の招待状を手に宮城は目を丸くしていた。
「せや!東京もなかなかにサービス精神おますわ。や~くやし」
長めのマフラーをスカーフ風になびかせる大阪。
「さながら秋葉原さんだね」
ニコニコしている北海道。
「確かに、そうですね」
つぶやく香川。
「アレ?私たち以外にも誰か来るのかなぁ?」
「アイツ等ん家フツーの一軒家やしな~」
「何するのかなぁ?」
「手紙の文面によると、
『諸君ッ!明けましておめでとう!
この度は我々の親睦を深めるべく新年会を開くことにした!!何をするかは、お、た、の、し、め♥
これにて以上ッ!!
追伸:都電もなかが口の中に張り付く件』だって」
「さりげない脅迫だよね」
「追伸が意味不明……」
「東京ちゃんなりのギャグだよ、きっと!」
「追伸が……」
「おっ、着いた。ここかぁ」
「ついし……」
ピンポーン!!
「とうきょー!来たでぇ!」
~こたつ編2~
「というワケで―――」
10畳ほどのリビング、大きめのこたつに6人の都道府県が揃っている。
「『第一回 東京ちゃんのアへア・・・・・・チキチキ新年会』ッ!!」
―――イヤな予感しかしない!!
埼玉は変な汗をぬぐう。
「ねえ東京ちゃん、なんでこのメンバーなの?」
「謎なのです」
「フッ、気になるかい?」
そう言うと東京はこたつの中から何かをゴソゴソ、赤いキラキラした箱を取り出した。どう見てもバラエティー的なやつである。
カッと目を見開き、
「この箱の中には年末のアンケート(第2話参照)に書かれた質問が入っている!
諸君らにはそれに答えてもらうぞ!!」
「「「「「なにいいいいい!!!」」」」」
「何やってんだ姉さん!!」
「詐欺やんけ!!」
「えっ、ふぇぇ・・・・・・」
「気持ちは分かる。
だが!君らは47人の中で特に質問が多いッ!!
それにまだ得体の知れないキャラも多いッ!!紹介しないと話が進まないのだよ!!」
「言っちゃったよこの人!!」
「イく?イっちゃう?」
「すでにヤダ!!」
こたつに突っ伏す埼玉。
「アホらし・・・・・・帰らしてもらうで!?」
大阪は布団を跳ね除けるも、
「フッフッフ、それはどうかな?」
「なッ!寒ッ!!」
室温が彼女の体を掴んで離さない。
「図ったなあああああああ!!!」
「姉さん、忘れてるようだね。北海道なら・・・・・・!」
「そうです、北海道さ」
「私は・・・・・・答えるよ」
何かに憑かれた様にうつむく北海道。リビングが静まりかえる。
東京はニヤリと笑い、
「こたつが珍しいのだろう?北海道?」
「うん!!初めて見た!!」
北海道は猫みたいに天板に頬ずりしている。
「北海道のこたつ普及率は全国最下位なのだよ!!!」
「なあああああああ!!?」
絶句する弟。ドヤる姉。
こうして新年会の幕が上がった。
~こたつ編3 そして伝説へ・・・・・・~
「最初の質問は――――――――――コレだッ!!」
『香川って~男なん?女なん? OSより』
「大阪さん!?大阪さんですよね!?」
身を乗り出す香川。
「そやかてホンマに分からんし。みんな『知らな~い』って言うし!!」
「確かにあたしも知らないな・・・・・・」
「うん!気になる!!」
「私も友人のことは把握しておきたいんだ。男なのか女なのかぐらい!!」
「うぅ、わ、わかりましたよ・・・・・・!」
恥じらいで真っ赤になりモジモジする香川。
埼玉は改めて香川の上半身を眺めた。中性的な顔だち、ショートカットに眼鏡、学校指定のジャージと判断材料が少なすぎる。
「ボクは――――――――――女性ですよ!」
「成程。よし次ッ!!」
「ちょ!扱いがヒドすぎます―――!!」
香川の乙女っぽい一面に東京と埼玉はちょっと萌えた。
◇ ◇
「どんどんいこうか!!」
『北海道ちゃんの胸はいくつなのだろうか?ハァハァ TKさんより」
「姉さん・・・・・・!?」
「私も友人の友人のことは把握しておきたいんだ。AなのかBなのかぐらい!!!」
「私?DかEかなぁ」
「ちなみに私はD手前ほどだぞ!」
「わかったから脱がないで・・・・・・」
◇ ◇
『埼玉の○○は何セン――――』
「次行けえええええ!!! 頼むからあああああ!!!」
◇ ◇
「お次はコレッ!!」
『宮城姉ってMなの? OKちゃんより』
「あたしかい!?」
「説明しよう!!宮城はC組において京都と並ぶ姉御肌なのだ!!」
「姉さん、誰に説明してんの?」
「そもそも、どこ情報なのですか?」
「OKちゃん曰く、『この前宮城姉の席に行ったらねー、なんだかカバンの隙間から○――――」
「いや違う、違うからね? あたしはただ頼まれたからしょぉおおがなぁああくソッチ系の店から仕入れただけであってね?」
「ちなみに依頼人は?」
「某TKさん」
「姉さぁん・・・・・・?(威圧)」
「・・・・・・見るか?」
「「「「「やめろォ!!」」」」」
埼玉は思い出した。俺は変態と共に在る、と。
新年会という名の公開処刑はまだまだ続く―――――――
~初日の出編2 一応噴火は治まった~
灰色の煙を靡かせる火口。
霊峰の怒りはなんだかんだで鎮められ、人知れず日本は救われたのであった。
「はぁ、何とか・・・・・・止まったね・・・・・・」
「決着はまたいつか、かぁ」
二人は顔を上げた。
「・・・・・・なんで、なんで私がいるの!?」
「えっ!?・・・・・・僕がいる!?」
「新しい能力!?」
「いや、知らない・・・・・・」
向き合った二人、見つめる自分と体の違和感。
「これって・・・・・・」
「もしかして・・・・・・」
それ以上の言葉は出なかったという―――――――
◇あとがき劇場◇
作者「これからも新キャラを増やす!!」
北海道「あ~こたつぅ~」スリスリ
香川「うどん食べません?」
宮城「どうなってんだい、あたしの印象・・・・・・?」
東京「コレはマズい」
埼玉「起石が一番ヤバい」
作者「やっちゃえ東京!」
埼玉「姉さん!?ぐああああ―――!!!」