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東京さんの学級日誌!!  作者: 起石 隼
東京さんは委員長!!
2/7

東京さんのクリスマス!

ヤバい小説第2話です。1話よりも若干簡単に書かれています。この読み易さ、このくだらなさ、ご堪能ください!!


◇12月24日 土曜日◇


 クリスマス・イブの夜、

 日本中の誰もがパーティーに疲れ、寝静まっていた。それはあの少年も例外ではなく――――――― 



「おーい、サキタマぁ?」」


「zzz・・・・・・」


「むぅ、やはり寝てるか」


「zzz・・・・・・」


「じゃあプレゼントに私の貞操を」


「やめろオオォォ!!」

 東京が上着に手をかけてからコンマ0.1秒、埼玉は骨髄反射的にベッドから飛び起きた。

「姉さん、頼むから同人化はやめてくれ!!」


「最新の保健体育の教材なのだぞ?」


―――嗚呼、俺の童貞はいつまで無事なんだろう?



 と、ここで埼玉はあることに気付く。

「・・・・・・サンタ?」


 彼のベッドの上でちょっと残念そうに佇む東京。

その格好は雪のようなフェイクファーが付いた緋色のコートと二―ソックスというド定番なサンタコスだった。


「なんか毎回コスプレしてるよね」


「フッフッフ、ちなみに一枚下はプレゼントリボンのみなのだよ!」


「露出狂感ハンパねぇ!」


 しょうもない理由で完全に目が冴えてしまった埼玉は嫌な予感がしてならなかった。

東京が終始不敵な笑みを浮かべながら、若干「ハァハァ」言ってるからである。


「さぁ!行くぞ、我が弟よ!!」


 埼玉は彼女の意図がなんとなく分かったが一応聞いてみた。

「何をしに・・・・・・?」


「見れば分かるだろう?聖夜の私はサンタさんなのだよ♥」


 次の瞬間、東京の足元のシーツが急激に凹む。

ネコ科のそれの如く全身をしならせた彼女は「フッ!」と息を吐いて跳躍。

「ぎゃあああ――――――――――――――――」という埼玉の悲鳴を部屋に置き去りにし、彼を抱えた状態で窓から躍り出る。 彼の背中でガラスをガードしながら―――――――


                ◇             ◇


「――――――『第一回 東京ちゃんのプレゼント大作戦』!?」


 都心にしては珍しく雪がちらつく夜道、埼玉の声が響き渡る。


「うむ!以前の学園祭においてC組の皆は想像以上の活躍をしてくれたからな!」

 そう言う彼女は何かがギッチリと詰まった袋を担いでいる。


「ま、まさかこれから45人分を・・・・・・!?」


「いや、冬休み前にアンケートをとっただろう?

 あれに『どんなプレゼントが欲しい?』と書いておいたのさ」


「・・・・・・アレか!!俺何も書いてないよ!?」


「君みたいに本気にしない人間は除外する!!」


「ひでぇ!!」


 すると、東京は埼玉の手を引いて、

「さぁミスタートナカイ君!真冬の夜を冒険だ!!無論、公衆の面前で!!」 


「なんか卑猥!」


         ◇         ◇


~case1 青森ちゃん宅~


「最初の良い子は不思議ちゃんの青森だ」

 近隣住民に配慮して小声で話す東京。

 目の前には庭付きの洋館がそびえている。


「こ、ここに!?」

 小声になるのも当たり前である。壁とかがツタで覆われていて怖いのだから。

「にしてもどうやって渡すの?起こすわけには・・・・・・」


「私を誰と心得る?サンタさんだぞ!?

 良い子の安眠は侵さない―――――――


 故に侵入する!!」


「別の権利モノ侵してんじゃん!!」


                 ◇             ◇


 東京に促され鋭利な柵を乗り越えた埼玉。鈍色の玄関はライオンのレリーフなんかが彫られていて遠目で見るより別格に怖い。埼玉は体の震えは寒さの所為だと信じたかった。


「まさか合鍵でも持ってんの?」


「ないッ!!」


「良い返事!?」


「だが安心したまえ共犯者。秘策がある」


「最悪の信頼だね・・・・・・」


 東京は甲高い声で、

「どーこーでーもードロ-!」と袋から何かを出した。どう見てもバールである。

「これで鍵を壊して後で私の能力でバレないようにする!!」


「何その暴挙ソレ!?何その後付け的な能力!?」


「私の23の能力+その他の1つ『復興』だが?」


「そんなのあったっけ!?」


「我々1年C組が各都道府県と連動してるのは知っているだろう?要はソレの応用さ。

 例えば、東京はかつて大空襲によって焦土と化した。しかし、そこから再び発展した・・・・・・。

 その概念の昇華こそが能力『復興』なのだよ」


「なるほどね」


「話が長引いたな。続きは後。さぁ、お邪魔しよう!」


               ◇           ◇


 日本人形が姉弟を出迎えた。

赤い壁に黒い家具、革張りの椅子にゴスロリ衣装が置かれていて、神棚に林檎とワラ人形が同居する。

それが青森の部屋だった。


「イタコの家系とは聞いていたが・・・・・・」


「個性が核分裂してるね・・・・・・」


 禍々しい配色のベッドで青森が眠っていることを確認、東京はメモを取り出した。

「さて、彼女のリクエストは―――――――」


 〈魔法の林檎・・・・・・妖精さんとお茶会するんだ!〉


「うん、脳内ワンダーランドだね」


「よし、彼女にはこの〈やたらとペンがブッ刺さった林檎〉をあげよう」


「ほぼ嫌がらせだ!」


「ついでにこの〈やたらとペンがブッ刺さったパイナッ」


「やめろオオォォ!」


 結果、お盆の精霊馬しょうりょううまみたいな林檎が放置された。


 その帰り際、東京が壊れた鍵に触れると鍵は光に包まれ全く別の新品となった。

「『再生』ではなく『復興』だからな。完全に元には戻らないし地方では使えない能力チカラさ」

「ハーイ、ため息ついてもチートはチートですからねー?」


                   ◇         ◇


~case2 千葉くん宅~


 日付が変わる頃、東京と埼玉は町外れの公園を通過していた。家々の屋根にはほんのりと雪が敷かれ、人の往来が少ない道は銀世界そのものだ。


「さっきの続きだが、C組のほぼ全員が私の様に能力を行使出来るぞ?」


「俺知らないけど!?え!?まさかあのモブキャラ勢ダークサイドも!?」


 東京は無言で埼玉の肩にポンと手を置き、

「・・・・・・ドンマイ」


「そんなあああああああ!!!」

 ショックのあまり埼玉は絶叫してしまう。

 彼は自らのことを知らな過ぎたのだ。


「シッ!静かに。

 ほら見えたぞ。次は私をリスペクトし過ぎてナンバー2の大阪をつけ狙っているという千葉だ」


「アレ?なんか今サラッと重大なこと言わなかった?」


 埼玉を全面無視し、東京は目前のデザイナーマンションに侵入していく。

「まずは防犯カメラを無力化してっと」


バキッ!!ガシャン!!


「もはやプロの手口だよ!」

―――この人を尊敬する奴もヤバいな・・・・・・。


                 ◇           ◇

 

 千葉の部屋に生活感はあまりなかった。

一言で表すなら「モデルルーム」が相応しい。


唯一、垣間見えた千葉らしさは――――


「・・・・・・某夢が叶う場所のグッズ群!?

 何故、何故なんだ!?この辺からすごい姉さんっぽさが感じられる!!」


「これが千葉の能力の1つ、『物体を東京名義に固定できる能力』!!」


「何その限定的な技!?」


「その能力チカラによって某鼠の国は更に栄え、彼の魂の糧となる・・・・・・!!」


「訳わかんねぇ!!どんな方向性だよ!?」


「そんな彼のリクエストは――――――」


 〈自分のキャラクター性〉


「早速方向性を見失ってる!?」


「よし、なら私はコレを授けよう」


 〈クラスみんなのメッセージ入りサッカーボール〉


「転校させる気!?」


「『サッカー部にでも入ったらどう?』という意味だが?」


「紛らわしい!」


「さて、急いで退室するぞ。ほら早く!」


「どうかしたの?」


「千葉はたまに体からヨウ素化合物が発生していてな」


「その個性を活かせよ!!」


                 ◇          ◇


 その後も東京と埼玉は首尾よく侵入。

埼玉はその勢いでマンションの警備員を眠らせる技術を体得―――――レベルが1アップした!

「まだ続けるの!?」

「当然だッ!!」



~case3 沖縄ちゃん宅~


 〈なんだっけ?ま、いっかぁ〉


「微笑ましいね」


「そんな天然ちゃん、沖縄にはこの―――――」


「〈やたらとペンがブッ刺さったシリーズ〉はナシだからね?」


「よし次ッ!!」



~case4 香川ちゃん?くん?宅~


 〈うどん〉


「だろうね」


「うどんは無いが〈小麦粉〉と〈畳〉ならあるぞ」


「手作りしろと!?」



~case5 大阪ちゃん宅~


「お次は・・・・・・大阪か」


「嫌な予感しかしない・・・・・・」


                 ◇            ◇


「大丈夫だよ姉さん、寝てる」


「さて、彼女のリクエストは―――――」


 〈誰かさんの貞操シーン♥〉


「なッ!!」


「姉さん、さすがにパスしよう!!」


「・・・・・・私のたこ焼きがトロトロにな」


「やめろオオォォ!!」


「なんや・・・・・・うるさいわぁ」


「起きてた!?」


「あ、プレゼント?来てくれたん?

 ソレ間違いや。オリンピックの体操まだ見てな―――」


「私で・・・・・・いいんだな♥」


「ちょ待ッ!!姉さん本気にしないで!!

 っていうか大阪も顔赤いよ!?」


 こうして聖夜は更けていった・・・・・・。


                   ◇         ◇


 東の空に赤色が走る頃、姉弟は帰宅した。

 無言で二階へ上がり、窓辺のベッドへドサッと倒れ込む。

二人は毛布に沈み込む互いの顔を愛おしく見つめ、そして笑った。


「なんとか・・・・・・配り終えたね」


「・・・・・・」


「・・・・・・寝ちゃったか」

 埼玉は胸いっぱいの思い出をため息と共に吐き出した。

「お疲れ様、サンタさん」


「・・・・・・」


「夜○いはやめてよね?」


「バレたか」



 学級日誌はひと休み。いつの日か、また1ページが記されるその日まで・・・・・・。


◇あとがき劇場◇

埼玉「それにしても投稿ズレ込んだなぁ」


東京「作者がマイペースなのは小説家あるあるだな」


青森「林檎・・・・・・ペンいっぱい・・・・・・」


千葉「必殺シュートとか作ろうかなぁ」


埼玉「姉さん、影響ヤバいけど」


東京「さらばだ諸君ッ!!」

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