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情報収集

《登場人物》


徳永 真実 (35)  警視庁刑事部捜査第一課警部

高山 朋美 (30)     同 巡査部長

東海林 鏡花(32)  パティシエ

東海林 弘樹(故人)  会社員 鏡花の夫

渡辺 マリエ(24)  パティシエ

黒沢 一樹 (46)  久留嶋ホテル支配人

加藤 啓太 (35)  警視庁刑事部鑑識課係長

 


 同日 住宅街駐車場付近




 高山は素直に今の状況を訊いてみた。

「どう思います? 警部」

 徳永は頭をかいて、考えを隣で歩いている高山に言う。

「う~ん。彼女、怪しいんだよなぁ~」

「えっ? どうしてです?」

 徳永は1つの考えを示した。

「いや~。鏡花さんは『弘樹さんの葬式の準備しなくてはならないので』って言っていたけど、の衣服の匂いからお菓子のような甘い香りがしたんだ」

「それは、仕事がパティシエだからですよ~」

「そうかな~? まぁ、いずれにせよ数日間は待ちだね」

「そうですね~」

 駐車場に停めた車に乗り、徳永は運転席のシートベルトを締めた。

 助手席に座った高山は、車を起動させようとしている警部を見て訊く。

「で、どうするんです?」

「一度、向かいたい所があってね。久留嶋ホテルってわかるかい? 調べたんだけどお菓子コンテストってそのホテルで行われたらしいね? 知らないんだけどさ、本当?」

 高山は勝ち誇った顔で答える

「ええ、そうですよ。大抵あの大会は久留嶋ホテルが半分は出資していますから、場所になる確率は、アメリカから国賓がこない限り大丈夫でしょう」

「じゃあ、行きますか。そのホテルに……」

 高山は徳永の言葉にびっくりした。

「えっ!? なんで!?」

 彼は淡々と答えた。

「決まっているよ。話を聞かないとね。それに被害者の浮気相手が、久留嶋ホテルにテナントを置いているお菓子屋さんで勤めているからね……ついでにかな」

 高山は隣の丸眼鏡の男の言葉を聞いて、理解した。

「なるほど今から行って話を聞くわけですね。だとすれば管理官に連絡しないといけないですね」

 カバンから携帯を取り出して、電話帳で管理官の電話番号を探して、電話をかける。徳永は、その隣で車のアクセルを踏んだ。




 同日 久留嶋ホテル お菓子コンテスト展示ブース




 徳永と高山の両名は、開催されたお菓子コンテストの展示ブースへと来ていた。

 どうやら今日がお菓子コンテストの展示最終日であり、仕事の一環と言いながら、ほとんどが遊び目的状態で、ブースを見て回っている。ブースにはパティシエが作り上げた作品が写真で飾られている。流石にお菓子だったので実物を展示するわけにはいかなかった様だ。

 徳永は一つ一つずつ作品を見ていき、目で作品の凄さを感じ取っていく。

「これはすごいなぁ……素晴らしいね」

 高山も首で頷いて同感を示す。

 徳永はパティシエが作り上げた作品の写真を見ながら魅了されていく。

「お待たせしました」と声のする方へ徳永は視線と体を向けるとそこにはいかにも紳士的な容姿の中年男性が立っていた。

「支配人の黒沢です。お菓子コンテストの件についてお話があるとお聞きしましたので……」

 黒沢は急いで向かってきたのか、少々息が荒い。

 微笑を黒沢にしながら、徳永は黒沢に言った。

「ええ、そうです。ちょっと伺いたいことがありましたのでこちらに……ああ、申し遅れました。警視庁の徳永です」

「同じく高山です」

 2人は、だいたい同じタイミングで桜の代紋を黒沢に見せる。

 黒沢は神妙な面持ちで、告げた。

「ここでお話するのは、少々、アレですので、うちの会議室の方でお話を、ご案内します」

 アレという言葉を支配人自らの口で聞いた瞬間、徳永は『なるほど一般客に配慮するというわけか』と感じていた。

 徳永は軽く礼を言って、黒沢に会議室まで案内される。

「どうも」




 同日 久留嶋ホテル会議室 午後4時




「どうぞ。こちらです」

 黒沢の案内できたのは2人の刑事と1人のホテル支配人の合計3人で使うには広すぎる会議室だった。

 高山は思わず心境を呟いた。

「広いですねぇ~」

 黒沢は2人の対面側の椅子に座っている。

「ええ。なんせ、当ホテルは、企業様の法人様のサポートもできたらと考えておりますので……」

 確かにそれを言える価値はあるぐらいの広さだった。

 徳永はとっくの昔に座って、高級感ある椅子の座り心地を確認している。

 黒沢は、本題に入った。

「で、お菓子コンテストの件について話でしたよね」

 徳永は、仕事のスイッチをオンに切り替える。

「ええ、訊きたい事は、展示ブースの写真とかで、展示した作品は全部写真でした」

 支配人は、首を縦に振って頷いている。

「そうですね。流石にお菓子の作品でも食べ物は食べ物ですから……」

「実質、お菓子は展示の写真を撮った後はどう処分しているんですか?」

「ああ~それは簡単です。コンテストに来てもらった方々に振る舞います。ただ、例外がありまして……」

「というと?」

「参加した人の中には個人参加された方もいまして、その方々はお持ち帰りになりました」

「なるほど。その中で、持って帰った方はいらっしゃいますかね」

 支配人は、淡々と答えた。

「ええ、いましたよ。写真撮影した後に持って帰った方。印象に残っているって言ったら、最優秀賞を取られた東海林鏡花さんの作品は、ご本人がすぐに持って帰られましたね……」

 徳永は鏡花の作品について詳しく尋ねる。

「鏡花さんの作品について何かご存知ではないですかね?」

 高山も徳永の言葉に対して付け足すように言った。

「なんでもいいんです。何か気がかりがあれば教えてください」

「う~ん、彼女の作品は全部チョコでできていたぐらいですかね~。ただ、すごく硬くて、チョコとは思えなかったような出来でしたよ」

 眉毛を掻きながら徳永は黒沢の話を聞き、警部の隣で高山は黒沢の証言を手帳に記している。

 徳永は話を聞き、ある程度理解している。

「そうですか~。ちなみに東海林さんの作品の大きさはどのぐらいか分かりますかね? 写真ではちょっとよく分からないので……」

「えっと。丁度、よくあるトロフィーの高さぐらいかな。結構小さかったですし、片手で持てましたから……」

「なるほど、ありがとうございます」

 腕時計を確認して予定の時間が来ていることが分かり、黒沢は話を切り上げる。

「あ、すいません。私そろそろ、別の打ち合わせがありますので、これで失礼致します」

「ありがとうございました」

 黒沢は先に礼をしてから会議室をあとにした。

「どう思います?」

 高山の一言に対して徳永は軽く返す。

「分からない」

 隣の席で、高山がため息をついた事を徳永は感じ、事件の証言についての有力な証拠とは感じなかった為か、空振りした感覚が会議室で充満していた。

「でも、警部、もう1つ、被害者と会っている人に……」

「渡辺マリエか? 確かこのホテルのテナントの菓子店で働いてるんだっけ?」

「ええ」

 徳永は少し考えたあとで、椅子から立ち上がり、高山に告げた。

「行こう。聞く必要はあるかもね」

 徳永は何を思ったのか早歩きで、会議室を出ていく。

「えっ!? ちょっと待ってくださいよ!」

 不意をつかれた高山も席から立って、会議室を出る徳永の後ろ姿を急いで追いかけた。

第5話です。今回は情報集めに奔走しましたね。次回はどんな展開になっていくのか? 次回をお楽しみに!!


話は続きます!!

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