表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SKY WORLD  作者: 青瓢箪
ゼルダ 西オルガン編
89/232

パブ3

 パブに入ってきた、えんじ色のセーターを着た明るい栗色の髪の男は、カウンターに座ると店主のキースに聞いた。


「キース、リックの奴来てない?」


 グラスを磨いていたキースは、むっつりとした表情で答えた。


「ああ。奴は、今日来てない」


「そうか」


 彼はうなずくと、キースにビールとソーセージを注文した。


「リックの野郎、今度は何を追っかけてるんだ。延長までしやがって」


 彼の前に、瓶ビールを置きながらキースは聞く。


「さあ、それはな。お互いの企業秘密だからな」


 栗色の髪の彼は答え、瓶の先を口に入れる。


「たぶん、新入りの誰かの愛人だ。けた外れの美人のな。この前ここにいた時、リックの野郎と間違ってネガが入れ替わったらしい。俺もだけど、だいぶ、あいつも飲んでたからな。……ネガを現像して、びっくりしたぜ。すんごい美女だ。あれは、新進気鋭の女優かなんかだな。……まあ、あの写真じゃどこのだれか分らなかったんで、リックに返そうと思ってな。俺のネガにはたいしたもんは入ってねえんだけど」


 彼は、一口飲んで瓶をカウンターに置くと、自分の着ているセーターの袖口がほつれているのに気づく。


「あいつ、安物よこしやがって」


 顔をしかめる。


 これ、それなりにブランドだから。買ったばかりだから。

 というリックの口車に乗って、紺の自分のセーターとあの時交換した。

 割に合わない物々交換だったと、彼は後悔する。


 しかしそれにしても、リックは最近いやに身なりに気を使うようになった。

 以前に比べればの話だが。

 まあ他の国の者が見れば、今のリックでも、どうでもいい恰好だと一笑されるのはちがいないが。


 あの写真の彼女に好かれようとしてるのかね。


 栗色の髪の彼は、ほくそ笑んだ。


 まだ若いそんな彼の努力を、いじらしいと彼は思う。


 この国では見かけに気を使ったからとて、あまり意味がない。

 特に、本土では。


「すみません」


 ソーセージを待っていた彼は、彼の隣に座ろうとした男に声をかけられた。


 声の主を見やると、ゆるやかにカールした黒髪の、眼鏡をかけた童顔の青年が自分を見ていた。


 どこかでみたような顔だけどな、と、彼は思い出そうとするが思い出せない。


 無難なスーツを着た青年は、栗色の髪の男に言った。


「あなたと、少しお話させていただきたいのですが」

























評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ