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蛇と蛙

「今回の仕事は、護衛だ」


「何だよ、また護衛か。誰を守るんだ? 前みたいに脂ぎったオッサンは、正直護衛したくないぞ」

 俺はあからさまに嫌な顔をした。


「その点は安心しろ。今回は守り甲斐のある、お姫さまだ」


「お姫さま? どういう意味だよ」

 俺も流石に姫を護衛した経験はない。


「言葉通りだ。依頼主はとある小国の王の娘、つまりお姫さまなんだ」


「へぇ、護衛の人数は?」


「お前一人だ」

 兄貴は眉一つ動かさず、あたかも当然かの様に言い放った。


「ち、ちょっと待て! いくらなんでも一人は危険過ぎるだろう!」

 俺も流石に一人でVIPを護衛した経験はない。


「安心しろ。一人と言ってもたかたが30分くらいの間だけだ」


「30分でも危険には変わりないだろ!」

 俺は椅子から跳ね上がり、精一杯の抗議をする。


「大丈夫だよ。多分襲われないはずだ」

 兄貴は俺をなだめるように言った。


「多分じゃダメだろ! だいたい――」

「おっと、それ以上文句言うと、お仕置きされることになるよ?」

 俺の言葉を遮ると同時に、兄貴の眼光が俺を縛り付けてくる。これでは俺は蛇に睨まれた蛙も同じだ。


「ぐ、わ、分かったよ、やればいいんだろ! 護衛でもなんでもやってやるよ!」

 俺は半ば自棄になって叫んだ。


 それを聞くと兄貴はニコッと笑い、

「よし、それでいい」

 笑みを浮かべつつ、そう言った。


今一度、言おう。俺は、兄貴が大っっ嫌いだ。


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