表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

プロローグ

(ここは……一体どこだ? 暗くて何も見えない……)


「……は……だ」


「何だ? 声が、聞こえてくる。でも……聞き取りづらいな」


「みは……うだ」


「何なんだ?」



「君は……希望だ!」



「うわあっ! ゆ……夢か」

 辺りを見回してみたが、そこは何も見えない暗闇でも、おかしな声が聞こえてくるでも無い、見慣れた自分の部屋だった。


「しかし、変な夢だったな。俺が希望だとか言ってたけど、俺に希望なんて託したらこの日本は沈没しちまうよ」


 ベッドから起き、着替えながら一人で冗談を言っている。なんとも寂しい姿だ。


 Tシャツにジーンズというシンプルな姿に着替え、いつも通り、顔を洗いに一階へ続く階段を降りる。



「あれ? もう起きたのか」

 一見すると爽やかなやさ男が、寝起きの俺に調子良く話し掛けてきた。


「よう、兄貴」

 俺はこれ以上ないぐらいの低い声で朝の挨拶を済ませた。


「なぁんだよ、元気無いなあ」

 そう言って、俺の肩を軽く二回叩く。


「俺は兄貴が目の前にいなけりゃ、元気一杯だよ」


「はは、そりゃ悪いねえ」

 悪いと思うなら、少しは自重してくれないだろうか。


「それより、俺は早く顔を洗いたいんだ。どけてくれよ」

 正直、俺は兄貴が大っ嫌いだ。理由は、……まあ今はどうでもいいか。


「分かったよ。じゃあ終わったら直ぐリビングに来てね。ちょっと話もあるからさ」



「で、話って何だよ」

 リビングに二人向かい合い、俺は用意されていた朝食を頬張りつつ、話しかけた。


「ああ、仕事だ」

 その言葉に兄貴の顔を覗くと、さっきまでとは打って変わって、目が本気だ。


「またかよ……。前の仕事から二日と経ってないぜ?」


「仕方ないだろう。最近は情勢も悪い。それに、これはお前の為でもあるんだ」

 兄貴は俺に諭すように言う。この目のときの兄貴は、ある意味普段よりもタチが悪い。


「またそれかよ。ちぇっ、分かったよ。それで今回の仕事内容は?」


 すると兄貴は口元だけでニヤリと笑った、

「よし、話そうか」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ