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初クエスト決定

今回、初めてクエストを受けることになりました。

次の日、ティオは急いで朝食を詰め込んで宿を出た。

一番に向かうのはアルバージの武具屋。注文書を見ると朝の7時から開いているらしい。

さっそく店に入れば、昨日の店主がタバコを吸いながらコーヒーを飲んで寛いでいた。

「ああ、来たか」

店主はティオの姿を見ると立ち上がって、店の奥から預けた剣を持ってきた。

「ほれ、次からもっと大事に使うんだな」

試しにさやから半身だけ引き抜いてみれば、刀身が光を受けて反射する。

刀身はアイアンドールの鎧にこすれて傷ついていたのに、今ではその跡が一つも見当たらない。

薄く油が塗布されて光を反射する刃は美しく、切れ味が増しているように思えた。

愛剣の北直された姿に感動して声を上げてしまう。

「ありがとうございます!」

「ま、せいぜい頑張りな」

「はい!」

代金を払ったティオは頭を下げて、意気揚々と店を出て行った。


冒険者ギルドに入ると、昨日より大勢の冒険者がクエストを受けに集まっている。

張られた紙を前にクエストを話し合っているチームや一人どれにしようか決めかねてる冒険者。

昨日は人間しかいなかったけれど、長身で長い耳が特徴のエルフやずんぐりして背の低いドワーフもいた。

ティオは勧められたクエストの紙を探そうと、昨日張ってあった場所を探す。

が、そこには新しい「オオクマハチの巣駆除」や「トッカニア10頭の討伐」と、上級者向けらしいクエストしかない。

他のところにないかと探してみたけれど、取られてしまったらしく見つからない。

試しに似たようなクエストはないか探してみたけれど、討伐系のモンスターは今のティオでは手も足も出ないものばかり。

「討伐は無理か……」

どれだけ探しても初心者が討伐できるクエストが見つからない。

出来るものといえば採取系か運送系と、冒険者じゃなくてもできそうなクエストしか見つからなかった。

冒険者ギルドに入ったときはやる気満々だったのに、今では見つけたクエストを前に萎えてしまった。

「あ、ティオ君」

その時、昨日相手をしてくれた受け付けスタッフがティオを呼ぶ。

なんだろうとカウンターに行ってみれば、チェーンのついた金属板が渡された。

「はい、認識票よ。身元を確認するために必要なものだから首につけておいてね」

「へー、こんなのつけるんですか」

金属板には名前と村の出身、冒険者ギルドの銀の剣を加えた鷲が彫りこまれている。

「そう、それがあなたの身分証明書だから無くさないようにしてね」

「わかりました」

ティオは受け取るとさっそく首に認識票をつける。

首になにかをつけることなんてなかったために、ひんやりした鎖が肌に触れて気になるけど、きっと慣れれば大丈夫だろう。


「ところで、なにかクエストは見つけられた?」

「あー、それが……」

ティオは肩を落として自分ができる討伐系クエストがないことを話した。

「はー、そういうこともあるものねー」

スタッフは手元にあるクエスト表を見て、ティオが受けられるものがないことを確かめた。

「今日は討伐系は諦めて採取系にするしかないわね。採取系でやれそうなのって……うん?」

なにがないのか探していると、うしろから同僚に声をかけられた。

「ん、なに?」

「そこにいる子は初心者なんだって?」

「ええ、そうよ。初めてクエストをやろうってところなんだけど、討伐系が無くてがっかりしてるのよ」

それを聞いた同僚は手元にある書類をスタッフに見せる。

「なら、採取系の依頼をしていいかな。いくつかの薬草が欲しいそうなんだ」

「どんなのって……なんでこんなにキノコが欲しいの?」

「ギルド長の息子さんだよ」

「ああ……」

見せられたクエストの依頼内容に首をかしげていたが、依頼者が誰なのかわかると納得して頷いた。

「でも、これだけの量を一人で取りに行かせるのは酷じゃない?」

「それなら大丈夫だ、もう一人の子にもお願いしている」

「あら、そう。ぞれじゃあ……」

スタッフは任せてもいいかと納得すると、今まで蚊帳の外だったティオに振り返る。

「ねぇ、ギルドからクエスト受けてくれないかしら」

「ギルドからですか?」

「そう、別に難しいものじゃないわ。簡単な採取系であの子と一緒に受けてほしいの」


同僚が冒険者を連れて戻ってきた。

冒険者はティオと同じ年端の少年で、ティオの持っているものより大きな剣を背負っている。

「アゾルっす。まだ新米だけどよろしく!」

アゾルと名乗った少年はそう言って勢いよく頭を下げるのでティオも釣られるように頭を下げた。

「えっとティオです。僕はこれが初めてのクエストなんでよろしくお願いします」

「まじっすか! 俺もまだ1週間ぐらいなんすよ!」

ティオが自分と同じ新米ということに安心したのか、アゾルはほっと胸を撫で下ろす。

が、いろいろと話そうとしたところでスタッフが咳払いをして止める。

どうやらアゾルという少年は活発な人間らしい。

「クエストの話をするわよ」

そう言って二人の前にクエストの紙を置いた。


クエストは採取系。

アカドキノコ×5 アオヤキノコ×5 キイロデキノコ×5

報酬 1500エルク


「キノコは街から南にある森で採れるわ。危ないモンスターはゴブリンとポポロね。

でも、奥に行けば行くほど強いモンスターが出てくるから気を付けてね」

「了解っす」

「わかりました」

二人はクエストの紙に名前を書いた。

「それじゃあ、しっかり準備していくのよ」


こうしてティオの初めてのクエストはキノコ採取に決まった。

初めてのクエストは採取系になりました。

面倒臭そうだけど頑張れ、主人公!

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