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3つの戦い

ううむ、書くスピードが上がらない…(゜д゜;)

アイアン・パペットが槍を捨てたことにより、アゾルは俄然前に出る。

相手に反撃されないように、大きく踏み込まず小さく突きを繰り出す。

アイアン・パペットは防御に専念しているが、アゾルに隙があれば間合いを詰める動きをする。

「はい、少年、下がって!」

セレハートの警告を聞いて、アゾルは素直にうしろに下がる。


そこへセレハートが援護として2発の氷の矢を撃ち込む。

彼女の警告が聞こえていたアイアン・パペットは木を盾にして魔法から身を守る。

1発は木に刺さって止まったが、2発目は木を粉砕して腕に突き刺さった。

腕が千切れて、肩の根元まで凍りつく。

「チャンス!」

腕を吹き飛ばされてよろけたところにアゾルが槍を突き出す。

穂先はアイアン・パペットの首を貫き、煙が血のように勢いよく噴き出す。

アゾルはすぐに槍を引き抜こうとしたが、アイアン・パペットはそれより早く剣を振るい、槍の柄を切ってしまった。

「あ!」

槍を切られて声を上げる。

アイアン・パペットは首に穂先を指したまま剣を振り上げる。

「アイス・キューブ」

横から飛んできた氷の塊がアイアン・パペットの脇腹に当たる。

氷が腹に半ばまで食い込み、服が破れて煙が流れる。

アゾルは体をくの字に曲げて後ずさるアイアン・パペットの頭をつかむ。

「この!」

無理やり顔を向かせて、赤く光る石を石突き(穂先の反対の先端部分)で叩き壊した。


コアを壊されたアイアン・パペットはよろけて木に手をついたところで全身から黒い煙が溢れ、塵になって消えた。


アゾルは荒く息を吐きながらアイアン・パペットが消える様を見ていたが、やがて力尽きて地面に座り込む。

「か、勝ったぁ!」

緊張が溶けて大の字に寝転ぶ。

「ふふ、お疲れさま」

そこへセレハートがアゾルの顔を覗きこむ。

「あ、魔法ありがとうございました。

た、助かったっす……」

「どういたしまして。

でも、まだ寝るのは早いわよ。

まだ戦いは続いてるんだから!」

セレハートに注意されて、アゾルは慌てて起き上がる。


シュノとドラクは確実にアイアン・ドールを追い詰めていた。

2人は常にアイアン・ドールを左右に挟み、少しずつダメージを与えていく。

今ではアイアン・ドールは身体中から煙を流している。

「ドラク、そろそろ決めるわよ!」

「わかった」

シュノが左に、ドラクが右に移動する。

アイアン・ドールはどっちを狙うべきか迷い、動きに戸惑いが生まれる。

そこをドラクが見逃さない。

わずかにシュノに顔を向いた瞬間に踏み込み、膝の裏にメイスを打ち込む。

アイアン・ドールはシュノに体を向けたまま、なんとか剣で受け止めた。

シュノが続くように踏み込むが、動きを予想していたアイアン・ドールが剣を振り回して牽制する。

攻撃できないと判断したシュノはすぐにアイアン・ドールの背後に回ろうと動く。

アイアン・ドールもシュノを回らせまいとしたいが、そこへ再びドラクがメイスを打ち下ろす。

今度は肩に命中し、肩部分の装甲を破壊した。

壊れた肩から煙が噴き出すのを目にしながら、ドラクは残酷な笑みを浮かべる。

「悔しいか? 人間なんかに遊ばれて悔しいか?」

足の動きを早めたシュノが背後に回り込み、背中の鎧の隙間に剣を滑らせる。

「私たちを舐めるな、魔物。私たちだって戦えるんだ!」

さらに膝の裏を斬り、アイアン・ドールを跪かせる。

止めに兜を貫こうとしたが、振り向き様に薙ぎ払った剣に腹を浅くだが斬られた。

「もう、終われぇ!」

ドラグがメイスを両手に持ちかえて大きく振りかぶる。

シュノを向いていたアイアン・ドールは咄嗟に盾を持ち上げようとしたが、メイスは盾の上を通り過ぎる。

メイスはアイアン・ドールの兜を凹まし、中のコアも粉々に壊した。

胴体から千切れて吹き飛んだ頭部は地面に落ちる前に煙となって消えた。


ドラグは体の力を抜いて、ちらりとシュノの顔を見る。

「治療をしないとな……」

「ええ、そうね」

シュノは斬られた腹を押さえながら、未だに子供を抱えて固まっているスコットに近づく。

「けど、その前にスコット博士を安全な所へ。セレハート博士!」

「んー?」

セレハートは3つ目の戦いを見たままこの場の雰囲気に似合わない呑気な声で返事をする。

「他の魔物も来るかもしれません! 急いで非難しましょう!」

「あー、大丈夫。大丈夫。所長からいいもの借りてるからさ、心配なんてしなくていいよ」

「いいもの?」

「そ、いいもの」

そう言って子供っぽい笑顔で2人に笑いかけた。


トールの目の上を指が霞める。

手は蛇のように曲がって、今度は耳の穴に指をたてようとする。

トールは首を限界にまで曲げて指をかわし、伸びた腕にパンチを打とうとしたが、それより早く相手の膝が腹を狙う。

それを掌で受け止め、仕返しに肘を胸に打ちこんだ。

肘のプロテクターと鎧がぶつかって鈍いを音をたてる。

胸の鎧が凹み、出来た隙間から煙が漏れる。

右手に持ったナイフが閃き、トールの首を掠める。

浅く皮膚が裂けて、鮮やかな血が一気に大量に流れる。

反射的に手で首を押さえながら側頭部に刺そうとする手を掴み、相手の腹に蹴りを入れる。

体格差、体重差があるために相手は怯まず、逆に自分の身体を押す形になったけれど、上半身がそれて反対の腕が繰り出した裏拳を避けられた。

そのままバックステップで距離を取って構え直す。


シルバ・ヘッドもナイフを前に翳してすぐには斬りかからず、じりじりとすり足で開いた距離を詰める。

殴られた胸、右側頭部、右の太腿からは黒い煙が流れていて、鎧の飾りもいくつか欠けている。

トールも頬と左目の上が裂け、胴体も3ヵ所を切られている。

特に胸を斜めに走る傷は深く、大量に流れる血は止まる気配がない。


シュノとドラグがトールを助けようと、シルバ・ヘッドを囲うように移動する。

その様子を目の端で捕らえたトールはわずかに手を振って彼らを止める。

だが、トールのわずかな静止の動きに気づかなかったドラグとシュノが同時に斬りかかる。

いきなりコアを狙わずにシュノはナイフを持つ手首を、ドラグは足を狙って攻撃を繰り出す。

「死ぬぞ?」

小さい声で呟いたトールも前に飛び出す。

シルバ・ヘッドは振り向き様にナイフを投擲してシュノの肩に突き刺し、メイスの柄に足の裏を当てて受け止める。

そしてドラグの胸を突き飛ばして振り返る。

突き飛ばされたドラクは息をつまらせ、胸を押さえて蹲る。

シルバ・ヘッドが振り向いた時にはトールの拳が目の前に迫っている。


その時、トールには予想外なことが起きた。

シルバ・ヘッドの首の隙間から目玉のついた肉塊が飛び出してトールの顔に触手を伸ばす。

トールは飛びついてきた肉塊を躊躇なく口で受け止め、一気に噛み千切る。肉塊から黄色い汁が飛び散ってトールの口元を汚す。

肉塊を何事もなく対処したかに見えたが、拳がわずかにずれた。

拳は冑を破壊しただけでコアを捉えることができなかった。

シルバ・ヘッドは壊れた兜から煙を流しながら体を旋回、トールの腹に回し蹴りを決めた。


トールは肋骨がへし折れるのを他人事のように感じながら、背中を木に強くぶつけた。

「っ!」

鼻と口から血を吐き出す。

シルバ・ヘッドが一気に勝負を決めようと腕を振りかぶる。

大怪我をしながらもトールは顔面を狙う腕に手を当てて軌道をずらす。

そしてカウンター気味に目の前の顔にジャブを当てる。

シルバ・ヘッドの頭が勢い良く仰け反る。

トールはテンポよく2発、3発と当てていき、最後にその側頭部を思いきり殴り付けた。

銀色の兜が凹み、装飾品が折れる。


シルバ・ヘッドは体をぐらつかせながら、無防備に伸びた腕を掴んでひねり上げて、伸びきった肘を殴った。

肘の骨が乾いた音をたてて折れる。

トールはわずかに顔をしかめながら、足を高く上げてシルバ・ヘッドの頭を蹴りつけた。

これ以上兜を壊されてたまるかと、シルバ・ヘッドはトールの腕を離して蹴りを受け止める。

腕が自由になったトールがもう一度距離を取ろうと下がろうとしたが、その動きに会わせるようにシルバ・ヘッドも前に出る。


そして今度はトールの膝に甲冑で覆った足で蹴りつけた。

またパキンと音をたてて足が間接を無視した方に向き、肉を裂いて骨が飛び出した。

肘に続いて膝も曲がり、自分の体重を支えることが出来ずに倒れる。

これで終わる。

シルバ・ヘッドがととめを刺そうと足を上げる。

「トール!」

セレハートが思わず叫び、彼を助けようと魔法を唱える。


だが、次の瞬間。トールは信じられない事をした。

足を振り上げて体を曲げると、両手を使ってバネのように勢い良く跳ね起きた。

トールが戦闘不能だと思い込んでいたシルバ・ヘッドは防御することも出来ず、下から突き上げた蹴りをまともに食らってしまった。

兜が胴体から離れてくるくる宙を舞う。

シルバ・ヘッドの胴体が頭を掴もうと手を伸ばす。

両手でしっかりキャッチして元の位置に戻そうとした。

「倒れろ」

頭が胴体にくっついたタイミングでトールの拳がコアを打ち砕く。

コアを破壊されたシルバ・ヘッドは一瞬だけ体を硬直させると、すぐに塵になって消えた。


トールは壊れた腕をぶら下げながら、セレハートの元へ戻る。

「ふぅ、今のはびっくりしたじゃない。

心配させないでよ」

「悪かった」

言葉のわりに反省した様子が見えないトール。

片手と片足を破壊されたために動きがぎこちない。

「それより、残りの魔物たちの対処は?」

「大丈夫よ、ケルとバルテニーが行っているわ」

「そうか、それなら大丈夫だな」

「い、いったい何の話をしているのですか?」

傷ついた肩を庇いながら、シュノが尋ねる。

「んー、さっき言ってたいいものよ」

セレハートはそう言って、シュノにウィンクしてみせた。

働いて帰ってくると、書く気力が残っていない…orz

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