街に到着!
今回は会話だけです。
さらりと読んでいただけるとありがたいです。
馬車はアイアンドールの体当たりを受けたために、乗り心地がひどくなっている。
けれど魔法を掛けられたティオは深い眠りに落ちていて、ひどい揺れでも目を覚まさなかった。
だから身体を揺すられてもなかなか起きず、商人は何回も頬を叩いたり揺すらなければいけなかった。
目を覚ましてもぼーっとしたまま辺りを見渡して、すぐにまた寝ようとする。
眠らせまいと、商人はとっさに頬を叩いて起こす。
「ほら、坊や。門についたぜ」
「え、あ、門……?」
門という言葉に反応してキョロキョロ首を動かすけれど、もちろん馬車の中からじゃ外の様子はわからない。
その様子がおかしくて商人は苦笑してしまった。
「なにやってんだよ。ほら、早く馬車から降りな」
頭が覚醒していない状態で馬車を降りれば、目の前に馬車2台が並んでも余裕な大きな門がたっていた。
その大きな門にティオは感嘆の声を漏らす。
大門の脇にある小屋の前でセレハートとトールが立っていた。
「や、おはよう」
セレハートは肩掛け鞄に杖を持っているが、トールは背中に大きなリュックを背負い、さらに2つの袋を肩に下げている。
「おはようございます」
「よく眠れたみたいだけど調子は大丈夫?」
「はい、もう大丈夫です。ありがとうございます」
ティオは腕を回して自分が大丈夫なことを示す。
「トールさんも、ありがとうございました」
トールは軽く首を横に振る。
「大丈夫ならいい」
ティオはトールの手を握る。
「僕も、トールさんみたいに強くなれるように頑張ります!」
そう言って手を強く握り直す。
トールは照れたのか、ティオから目をずらして呟く。
「……まぁ、頑張れ」
「はい!」
やっぱり愛想が悪いんじゃなくて、喋るのが苦手なだけなんだと思いながら頷いた。
そこへ小屋から門番が出て来た。
「セレハートさん、確認終わりましたよ」
門番は持っていた紙をセレハートに渡す。
「許可証はすべて確認しましたので、荷物は全て運んで大丈夫ですよ」
「そう、ありがとうね」
それからお決まりの説明を一通りして小屋へ戻っていった。
「それじゃ、私たちはもう行くね」
「はい、いろいろありがとうございました」
「ふふ、どういたしまして」
セレハートはポケットから一枚の紙を取り出してティオに渡す。
見ればアルクェン研究所職員、セレハートと名前が書かれていて、裏に住所が乗っている。
「そこで私は働いているの。冒険者ギルドでいくつかクエストをこなしたら研究所においで。ここでもクエストは受けられるよ」
「わかりました」
ティオはもう1度、建物の場所と名前を確認してから名刺をしまった。
「それじゃ、またね」
セレハートとトールは別れを告げて――トールは軽く手を振るだけ――街の奥へと消えていった。
旅の最初に2人に会えてよかった。
ティオは手を振りかえしながら小屋に入った。
小屋に入れば二人の衛兵が座って書類を書いていた。
その内の眼鏡をかけたほうがティオに手招きする。
「手続きするからこっち来て」
「はい」
緊張しながら、言われた通りに席に座る。
「街に来たのは初めて?」
「いえ、何回か来たことあります」
家族に連れられて街には何回か来たことがあるけれど、自分が手続きするのは初めてだ。
「そうか、なら説明はいらないな。この紙に名前とか書いてくれ」
そう言って紙と鉛筆が渡される。
紙には名前やどこの村の出身か、この街に来た理由を書く覧がある。
ティオはペンをとってどんどん書いていく。
だが職業の欄に進んだとき、まだ冒険者に登録していないのに書いていいのか迷ってしまった。
鉛筆が止まったティオの様子を不思議に思った衛兵が紙を覗き込む。
「どうした?」
「あ、いえ、冒険者になるために町に来たんだけど、ここに書いていいのかなーって思って」
「ああ、それなら冒険者って書けばいいよ。そうか、冒険者になるのか」
ティオの体つきを見た衛兵は心配そうに顔を曇らせた。
「冒険者? それにしては早すぎないか? まだ子供じゃないか」
「……僕は成人してます」
ティオの言葉に衛兵は目を丸くする。
この国では15歳になれば成人として扱われる。
が、目の前の少年はよく見ても成人しているようには見えなかった。
信じられずにもう一度ティオを見れば、不機嫌そうな顔で見返された。
「そ、そうか、すまなかったな。ええとほかにわからないことはないか?
ない? よし、それならもう行っていい。冒険者ギルドは4番地区に行けばすぐに見つかるよ」
「わかりました」
まだ子供扱いされたことに機嫌を悪くしたティオはムスッとしたまま小屋を出て行った。
外では商人がティオのことを待っていた。
「おう、少年、受け付けは終わったな」
「ええ、終わりました」
子供扱いされたことにまだ怒りを感じていたが、商人に愚痴ることもできないので我慢する。
商人もティオが不機嫌になっているのに気付いたが、ここはあえて触れなかった。
「そうか、さっき嬢ちゃんから聞いたけど、冒険者になるんだって?
ならいいこと教えてやるよ。5番地区にあるアルバージって名前の鍛冶屋に行きな。
店は小さくて汚いし、主人の親父は頑固だけど腕は確かだ」
「わかりました。ここまで乗せてくれてありがとう」
「なぁに、あんたが頑張ってくれたから商品も無事だったんだ。礼を言うのはこっちだよ」
主人は笑ってティオの胸を小突く。
「それじゃ、わしも行くよ」
商人は馬車の席に座って馬の尻に鞭を当てる。
「いい冒険者になるんだぞ! 頑張ったら商品を安く売ってやるからな!」
そう言って、馬が走り出したタイミングで酒の入った瓶をティオに投げ渡す。
「うん、僕も頑張るよ!」
馬車が町の奥に消えていくのを見届けた後、ティオも冒険者ギルドへ歩き出した。
ポルトロの街は9つの地区に分けられている。
貴族の所有する建物が多い7番地区。
店を構える商人や村から野菜を並べる村人が商いをする2番地区と3番地区。
冒険者ギルドがある4番地区と5番地区は冒険者が利用する武具や旅の道具が並んでいて、旅人や傭兵も利用している。
あとの1番、6番、8番、9番は市民が住んでいる。
地区によって階級層が変わり、特に8番地区は危険で観光客は近づかないように注意されている。
6番地区には警察署はあるがモンスター討伐のために、1番地区よりも重武装な部隊が待機している。
門のそばにあった案内図を見てみると、観光客が立ち寄る建物の場所が示されている。
ティオは村で採れた野菜を売る時にしか来たことがないから、いろんなところを見て回りたい気持ちがわき起こる。
しかし遊びに来たんじゃないと自分に言い聞かして、真っ直ぐ冒険者ギルドに向かうことにした。
だが、その気持ちもすぐに壊れて崩れ落ちた。
「あ、あれなんだろ? 時計塔? おおきいなぁ」
遠くに観光名所として有名な時計塔を見つけてしまったティオは興味に引かれるまま歩く向きを変えてしまう。
彼が冒険者ギルドに着いたのは時計塔と周辺の店を見て回った何時間も後だった。
も、盛り上がらねぇ……(汗)
お客様の中に飽きさせない文章の書き方を教えてくださる方はいらっしゃいませんか!?
マスケット銃は戦闘のない文章を書くのが苦手なんです! 誰かいらっしゃいませんかー!?




