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採取クエスト受けます!

マスケット銃「15歳にしては、子供かなぁ……」

ティオ「うるさい!」


今日もクエストを受けるべく、ギルドに来たティオ。

クエストボードを見てみるが、あいにく討伐系は1人で達成するのは無理なものしかない。

できそうなのは採取か護衛だけ。

しょうがないから、今日は採取系の依頼を受けることにした。

「そうだな、これにしよう」

パルニカという草の綿を回収する依頼を選ぶ。


依頼内容

パルニカの綿の回収。

依頼主は錬金術師。

今やっている実験でどうしても必要らしいので、ギルドに渡してある袋一杯に取ってきてほしいとのこと。

生えている草原には虫系のモンスターが多いので、虫よけと解毒薬を忘れないこと。

報酬は2500エルク。


さっそく依頼書を持って受付に向かう。

受け付けには冒険者登録でお世話になったスタッフ、ラニーヤが仕事をしていた。

「すいません、これ受けまーす」

「あら、今日は1人で受けるの?」

「うん、これなら大丈夫だよ」

「うーん、あんまり無茶しないでね」

ラニーヤは心配しながら、綿を回収するための袋とピンセットを渡す。

コイン数枚で一杯になる小さな袋だ。

「え、こんな小さいのでいいの?」

あまりの小ささに思わず確認してしまう。

「なに言ってるの。パルニカの綿は少量しか取れないからこの袋の分を回収するのも大変よ。

それからなるべく綿を回収するときはピンセットを使ってね」

「へー、そうなんだ。あ、あとパルニカってどんな草なの?」

「そうねぇ、小さくてかわいらしい花よ。黄色の花の真ん中に白い綿があるの。

綿は何に使うかわからないけど、乾燥させた葉はお茶になるの。香りがよくておいしいわよ」

「そうなんだ」

「それから草が生えている草原はそう遠くないわ。地図を見てしっかり確認してね」

「うん、それじゃ行ってきます!」

ピンセットと袋を受け取ったティオは次に壁に貼ってある地図を見に行く。

壁には複数の地図が張られており、その場所で採れる草と現れるモンスターが書いてある。


目的の草は草原にあるというから、街の西側のほうを探す。

どうやらパルニカは特定の場所に集まって咲く植物らしく、名前が書いてある場所が3ヵ所ある。

その場所をしっかり把握し終えると、次に必要な道具を取りに宿に戻ることにした。


宿に戻ると、クァンシーと30代の眼鏡をかけた男が話し合っていた。

ティオが入るとクァンシーが待ってましたと両手を広げる。

「おお、やっと来たな。クルシオさん、彼がティオ・アルペノスですよ」

クルシオと呼ばれた男は振り返ると、丁寧な物腰で頭を下げる。

「初めまして、アルペノスさん。私はヴィナード王国、フラウディア様に使えるクルシオ申します。先日はフラウディア様を助けていただきありがとうございました」

「いえ、あの時、僕は大したことをしていません。というか、なんか足を引っ張ってたかも……」

「なにを言いますか! あなたのおかげでフラウディア様は無事に帰還できたのですよ! ああ、そもそもあの方は、その、活発すぎる。

王国の姫が趣味に剣を振るなんて、私は聞いたことないですよ! って、ああ、すいません。

こんな話はすべきじゃないですよね。失礼しました」

ティオが茫然としていることに気が付いてクルシオは慌てて口を閉じる。

「え、ええっとですね。私は国からの感謝を伝えに来ました」

そう言って紙をティオに渡す。

金で装飾された手触りのいい上質な紙には短く感謝の言葉が書かれていた。


あなたの勇気ある行動に深く感謝する。

ティオ・アルペノス、あなたに神の加護があらんことを。


ヴィナード王国 国王 リュヴール・ラハウル・ラグアティアル


国王から感謝の手紙をもらったティオは驚きで言葉が出てこない。

なんとか顔を上げると、クルシオが微笑んで彼の手を握る。

「国王もあなたに感謝しているのです。いつまでも人を助ける気持ちを忘れないでください」

それだけを言うと、クルシオは宿から出て行ってしまった。


「ほう、君も随分凄いことをしたんだなぁ」

未だに茫然としているティオにクァンシーが話しかける。

「なんか、信じられないや……」

「ま、普通はそうだよなー。まぁ、よかったじゃないか。酒場で自慢してみろ。酒を奢ってもらえるぞ」

「そんなことに使わないよ!」

ティオがキッとなって睨み付けても、クァンシーは大きな声で笑うだけだ。

「それよりクエストは見つかったのか?」

「あ、そうだった。ちょっとパラニカの綿を取りに行くんだった!」

「綿? 葉じゃないのか」

「よくわからないけど、錬金術師の人が実験に使いたいんだって」

「ふぅん、錬金術師は変わり者が多いからなぁ……」

ぼやいている間にティオが急いで階段を上がっていく。

「ああ、ちょっと待ちなさい」

クァンシーは慌ててカウンターから出て、言い忘れていたことを伝える。

「おまえさんの三ヶ月の宿代、さっきの人が払ったから。あとで先払いした分は戻すからなー」

「ええ!? って、うわぁ!」

驚いたティオは振り返ろうとして足を滑らし、漫画のように階段を転がり落ちてきた。

その光景を見てしまったクァンシーはしばらく笑いが止まらず、危うく呼吸困難になりそうになったのは秘密である。

マスケット銃「いい加減、ヒロイン的立場のキャラ出さなきゃなぁ……」

アイシャ「え?」

マスケット銃「え?」

マスケット銃&アイシャ「「え?」」

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