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村に帰還

村に帰ってきました。

また長い説明があるのでご了承ください。

ティオたちが村に帰ったのは夜もだいぶ更けたころだった。

けれどベルトナは起きていて、彼らが帰ってくるのを待ってくれていた。

彼女はティオが足を怪我しているのを見ると、すぐに彼をベットに寝かした。

「なんか疲れた……」

初めて攻撃魔法を使った精神的疲労でぐったりしながら、大人しくハーメルから治療を受ける。

帰路の間巻いていた包帯を外せば太ももの腫れは引いており、肌の色も元に戻っている。

「キュア」

ハーメルは短く初級の回復魔法を唱える。

掌から優しい光がこぼれて怪我を徐々に治療していく。

「まぁ、初めてにしては良かったんじゃないか? あとは周りに気を付けることに気をつけろよ」

「確かにそうだな。目の前のことだけに集中してると今回みたいに痛い目に合う」

「気を付けます……」

怪我が治っていく心地よい感覚にほっとしながらも、ハーメルとティーガーの指摘を心に留めておく。

彼も魔法を使ってパラトカムシを倒すことしか頭に無かった。

というか、あの不気味なフォルムが大量に迫ってくる光景が怖くて、燃やすことしか頭に無かった。

今思えば冒険者としては恥ずかしいことだと反省していた。

でも、もう1度思い出すと、どうしてもゾワゾワした悪寒が背中を走って鳥肌が立ってしまう。

「まぁ、よかったじゃないの。怪我人が1人だけで済んだんだし」

ベルトナが1人1人に紅茶の入ったカップを渡す。

「ほんとだよね。もっと苦戦すると思ったもん」

椅子に座ったアイシャが槍の手入れをしながら戦闘を思い返す。

確かに何十というモンスターを相手に1人が軽傷を負っただけで済んだのは奇跡に近い。

「とりあえず今日は疲れただろう。ゆっくりしてきな。報酬に関しては明日払わせてもらうからね」

「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ」

治療が終わってティオはベットの上に座り、塞がった部分に触れて確かめる。

噛まれたときは複雑に裂けて腫れていたのに、今ではそのかけらすら見えない。

「痛みはないだろ?」

「うん、大丈夫みたい。ありがとう」

「ああ、わたすの忘れてたけど、これはお前の分な」


そう言って差し出したのは物理攻撃で倒したパラトカムシから剥ぎ取った牙と針だった。

「パラトカムシの素材は売っても安いけど、ドワーフに売れば少しだけだけど高く売れるから」

「ドワーフは高く買ってくれるの?」

「そうだ。何に使うのかわからないけど、モンスターの素材によっては高く買い取ってくれる。

ああ、エルフも鏃に使うから高めに買ってくれるけど、職業によっては珍しい薬草も高く買ってくれるから覚えておけよ」

「へー、そうなんだ。魔族はどうなの?」

「魔族は、あーっと……」

なにかあったかなと思い返してみるが、特に高く買おうとした素材はなかった。

ハーメルはわからないらしいと判断したティオはアイシャやティーにも話を振る。

「2人はなにか知ってる?」

「うーん、私はわからないな」

アイシャもわからずに肩をすくめる。

「そうだな、魔族の中で呪術を使う者にモンスターの骨とか目玉が売れるな。

あと魔力を増幅させる道具を作る職人には鉱石が売れるな」

「へぇ、種族によって違うんだ」

「人族は他種族しか作れない武器とか薬を高く買ってくれるからな。

逆に彼らが他種族のものを改良することがあるから、それを売ればさらに高く売れるぞ」

「なんか、複雑だなぁ」

思ったよりも複雑なやり取りにティオは思ったことを素直に言ってしまう。

「こんなのまだまだ簡単なほうだぞ。大人の取引はもっと時間がかかって面倒臭いもんだぞ」

「えぇ……」

「ま、ティオは今言ったことだけを覚えていればいいよ」

「そうね、それ以上のことを覚えるのは無理よ」

「アイシャは僕のことを馬鹿にしすぎだよ」

なにかあるたびに子供扱いか、馬鹿にされているような気がする。

ティオはむくれてアイシャの視線から顔をそらした。

そこで言い過ぎたと気づいたアイシャは慌てて両手を合わせて謝る。

「ごめんごめん、なんかティオって話してるといじりたくなるんだよね」

「なにそれ、ひどすぎない!?」

「だーかーら、ごめんって」

ショックを受けるティオに謝るけれど、彼の反応が楽しくてつい笑ってしまう。


「ところで夜も遅いんだ。そろそろ寝ないとベルトナさんにも迷惑がかかる。今日はここでお開きとしよう」

ティーガーはそう言って紅茶を飲み干す。

4人がこの部屋に寝るには狭いため、ハーメルとティオを残してアイシャとティーガーの2人はそれぞれ別の家に泊まることになっている。

「ティオ、明日もう少しだけ魔法の練習をしよう。今度はそうだな……。電気か氷の魔法を覚えてみるか?」

「いいんですか!」

「せっかくの機会なんだ。もう1つか2つ覚えていいだろ」

「それじゃ、また明日ね」

ティーガーとアイシャは部屋を出ると、紅茶を用意してくれたベルトナにも礼を言う。

「どうも、紅茶ありがとうございました」

「いや、こっちもモンスターを退治してくれて助かったよ。ありがとね」

「俺たちはやるべきことをやっただけだよ」

ティーガーの謙遜にベルトナはクスリと笑う。

「そう言える人間はどれくらいいるだろうね。あんたたちは十分ヒーローだよ」

「それは褒めすぎだよ」

そう言ってアイシャを連れて家を出て行った。


「いいんですか、隊長。冒険者のために時間を潰しちゃって?」

アイシャは誰もいないことを確かめてからティーガーに尋ねる。

「別にいいだろ、そう時間はかからない。それにおまえもティオのことを気に入ってるじゃないか」

ティーガーがからかうように言い返してやると、アイシャは否定しないでクスリと笑う。

「だって楽しいんだもん」

「あんまりいじめてやるなよ……」

「うーん、なるべく気を付けまーす」

うーん、こうグダグダにならないようなせつめいができるようになりたい。

ハーメル「こ、これは……!」

ティオ「知っていうのか、ハーメル!?」

みたいな感じで……。

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