ソラミヤゲ
ある日、旅人は集う人達を見つけた。
それは、旅商人のキャンプだった。
旅商人とは、旅をしながら村や町に商売を行う集団、あるいは個人を指す言葉で、かくゆう旅人も、旅商人であった。
旅人はキャンプに近づいた。すると、一人の青年が気付いた。
こんにちは、旅人は挨拶する。
「こんにちは旅人さん」
青年も返した。
ここでキャンプですか? 旅人は訊ねる。
「あぁ、親方が、今日はソラミアゲの日だってんで。昨日からここに泊まってんだ」
ソラミアゲ? 旅人は首を傾げた。
「何でも空を見上げるってそのまんまらしいんだけどよく分からねぇんだよ。俺、ここに入ってまだ一年経ってないから」
すると、
「お? 旅人か?」
青年の後ろから日に焼けて黒い男性が現れた。
こんにちは、旅人は挨拶する。
「おぅ、旅人さんもソラミヤゲ目的かい?」
ソラミアゲとは何ですか? 旅人は訊ねる。
「違うぜ旅人さん、ソラミ、ヤゲだ。ミ、アゲじゃなくてな」
ミ、ヤ、ゲ、ですか? 旅人は首を傾げる。
「え? ミヤゲなんすか? 俺てっきりミアゲかと」
「まぁそんぐらいの聞き違いはあるだろ。オレだって親方に直されたからな」
なるほど、旅人は納得した。
「で、このやり取りの限り旅人さんはソラミヤゲ目的じゃなさそうだな」
はい、偶然見つけたので、と旅人は答えた。
「じゃあ旅人さんは運が良いぜ。なんたって今日はソラミヤゲの日だからな」
自分も参加してよいのですか? 旅人は訊ねた。
「問題無い……とは思うが、一応親方に聞いてみるべきかな。ちょい待ってな、すぐ親方を呼んで…」
その時、
「その必要は無い」
キャンプの中から髯をはやした筋骨隆々の男がこちらへ歩いてきた。彼が親方なのだろう、と旅人は思った。
「旅人さん。アンタもソラミヤゲやってくかい? 別に強制はしないぜ」
親方に言われた旅人は少し考えてから。
はい、是非とも、と答えた。
キャンプから少し離れた平野に来た。
旅人の隣には親方が立っている。
「もうそろそろだ。野郎共! 気を抜くなよ!」
おーー! 旅商人の声が響く。
今からソラミヤゲが始まるんですか? 旅人は親方に訊ねながら回りを見た。
特にへんてつの無い、殺風景な平野に等間隔を開けて並ぶ男達。全てキャンプにいた旅商人の仲間だ。彼らは手に各々、籠や網といった何かを取って入れる道具を持っている。かくゆう旅人も、一抱えある籠が持たされていた。
「そうだ。年に一回、この平野でソラミヤゲが行われるのさ……おっと」
親方が懐中時計を見て呟いた。
「さぁ始まるぜ、野郎共! 空を見上げろ!」
おーー! 親方の合図と共に旅商人達が一斉に空を見上げた。
旅人も、合わせて空を見上げる。
雲の少ない、青々とした空が広がっている。
特に何かが起こるようなことは……
その時だった、
「来たぞ!」
旅商人の一人が叫んだ。
見てみると、上空にぽつんと黒い点のような物があった。
点はみるみる内に大きくなっていき……その姿がはっきり見えた。
それは、液体の入った瓶だった。
「絶対落とすんじゃねぇぞ!」
親方の命令に一人の旅商人が動いた。瓶の落下予測地点に先回りして籠を構える。
そして、落ちてきた瓶を籠に割ることなく収めた。
それを皮切りに、空から幾つもの物が降ってきた。
瓶、書物、書物、布、多種様々な物を旅商人達は籠や網でキャッチしていった。
その光景を旅人が驚きの表情で見ていると、親方が説明を始めた。
「ここは一年に一度色んな場所の特産品とかが降ってくるんだ。どうしてこんな事が起こるか説明出来ないが……空からの土産物だと思ってたんだよ」
空からの土産物……、旅人は空を見上げながら呟いた。
「空ってのは、ずっとそこに止まってるわけじゃねぇ。それこそありとあらゆる場所を見て回ってる。その土地土地で見つけた物を、一年回って戻ってきたここに、土産として置いていってるんだとさ」
なるほど、旅人は納得した。
「ほらアンタも遠慮することはねぇぞ。アンタが取った物は全部アンタのだ」
ありがとうございます、旅人はお礼を言うと籠を持って、ソラミヤゲを取りに走った。
空を見上げると、空からの土産物。
ソラミアゲにより、ソラミヤゲは取る事が出来る。
空は季節によって高さが違う。それは地球が自転から少し傾いているからで、それにより四季があって、暑かったり寒かったりするのです。
つまり、空はそこにいつもあるようで違っている、あらゆる所を回っていたりして、そこの土産物を買っていたり……などと考えて書いたものです。
実際どうい原理で起こっているかは分かりません。強風とかでしょうかね?
空を見上げることで、空からの土産物を頂ける。面白い風習だと思いませんか?
それでは、
感想及び一言、お待ちしています。