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スマホからのアラーム音で純平は目を覚ました。
スマホを確認すると9時丁度だった。
あれから部屋に戻った純平はスマホゲームをやり動画を見ながら寝落ちしていた様だ。その為部屋の灯りはついたままだった。
部屋を出ると既に純子は出勤していた様だった。
純平はやかんを火にかけて沸騰するのを待つ間にトイレや洗顔を済ませてお湯が沸騰するとコーヒーを淹れて自室へと戻っていった。
コーヒーを飲みながらスマホで今日の予定を確認した。今日は12時から17時までガソリンスタンドのアルバイトが入っていた。純平は昨日電車の中でガソリンスタンドの店長に「明日大事な話がある。」とメッセージを送っていたので店長との話し合いの為11時45分にはガソリンスタンドに着きたいと思っていた。
スマホでメッセージの確認をしていると友人の秀悟から今晩飲みに行かないかと誘いのメッセージが入っていた。
森秀悟は高校の時の同級生だ。
昭和の男みたいに「飲む、打つ、買う。」を地で行く男だった。就職先も地元の大手の工場で高校卒業後からずっと続いている。純平とはある種対極にある人間だがなぜか友人関係が続いているのだ。
純平は秀悟との飲みの誘いを快諾した。
その後純平は卵かけご飯を掻きこみ、スマホゲームのスタミナをしっかり消費してガソリンスタンドへと向かっていった。
いつもは原付で通っているのだが今日は飲みに行く為徒歩で向かう事にした。帰りは秀悟がガソリンスタンドまで迎えに来てくれる予定になっている。
ガソリンスタンドに着くと早速店長と面談となった。
ここのガソリンスタンド高校時代からずっとバイトしていた。高校時代1度も同じクラスにならなかった秀悟と親しくなったキッカケもここで一緒にアルバイトしたからである。
その後純平が最初の就職先を辞めてここに舞い戻ってきた際も温かく迎えてくれた。しかし純平に対して正社員登用の話をした事は1度も無かった。
純平は単刀直入にアルバイトを辞める旨を伝えると店長はあっさり了承した。
店長からの労いの言葉と今月いっぱいは出る事を約束して純平は洗車の作業へと向かっていった。