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別の世界ではただの日常です

睡眠応援団

作者: 茅野榛人

「睡眠! 睡眠! 頑張って! 頑張って! 君なら寝れる! 君なら寝れる! 頑張って! 頑張って!」

 今、僕の寝室には、何十人もの人達がいる。

 その人達は、僕の睡眠を全力で応援している。

 僕はこの人達の事を勝手に、『睡眠応援団』と呼んでいる。

 この睡眠応援団が現れ始めたのは、今から一ヵ月前の事である。

 今のように寝室のベッドで寝ようとした時だった。

「グッドナイト! グッドナイト! 頑張って! 頑張って! 寝れるさ君なら! 寝れるさ君なら! 頑張って! 頑張って!」

 突然僕の周りから大勢の人達の大声が聞こえて来た。

 目が慣れて来て見えた光景は、大勢の人達が寝室の壁に沿うように並んでいた。

 あまりに唐突な事に最初は何をしたら良いのかが分からなかった。

 警察を呼ぼうとしたのだが、僕は寝室にスマートフォンを持ち込まない為、呼ぶ術が無かった。

 兎に角恐怖しか無かった為、ベッドの中に潜り、目と耳を塞いでいた。

 不思議な事に、大勢の人達の叫び声は、耳を塞いでもはっきりと聞こえた。

 全くもって眠れないまま朝になった。

 あの大勢の人達も居なくなっていた。

 しかしまた、あの大勢の人達は現れた。

 そう、あの日以降、僕は寝る時に必ず大勢の人達が現れ、睡眠を応援されるようになってしまったのである。

 更に恐ろしい事に、あの大勢の人達が現れるタイミングに限って、電話や撮影が不可能になり、警察を呼ぶ事も、証拠を手に入れる事も出来なかった。

 ならば外で寝たらどうなるのかと思い、昼間、広い公園でレジャーシートを敷き、そこで横になり、寝ようとしてみた。

 やはり大勢の人達が現れた。

 しかし、周りは一切気が付いていないようだった。

 それに僕は、大勢の人達に完全に囲まれてしまい、四面楚歌になってしまったのである。

 しかしスマートフォンは使い物にならない、僕は強行突破をする事にした。

 大勢の人達の隙間を無理矢理すり抜け、ようやく輪の外に出れたと思ったその瞬間、突然大声がやんだ。

 振り向くと、あの大勢の人達は忽然と姿を消していた。

 全くもって謎な存在だ。

 その後僕は、睡眠をやたら応援しているあの大勢の人達に、睡眠応援団と名前をつけ、段々とうるさい環境でも寝れるようになって行った。

 そして今に至る。

 今の僕なら、例えどんなうるさい音がする環境でも寝れる。

 まあ、その所為で遅刻が絶えなくなってしまったのだが。

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