前世の記憶
「レイナ、お前は本当に竜に愛されているな!」
今回は、小さな少女。珍しい。名前を知れるなんて。竜に囲まれている。この子も私の前世の一つかな?
やっぱり竜の国にいるのが影響してるのかな?
自分の口の端が上がっていることがわかる。
こんなに幸せそうに笑えたんだ。
幸せそうな過去から、急に悲惨な過去へ変わった。
目が濡れてる。なんでこの私は泣いているんだろう。
「い、きろ、ど、らっ、へお、うこくの、こ、うご、う、と、して。」
ドラマは王国の皇后?私は前世この国の皇后だったの?
「ーーーーーー。」
私の口が動くが、なんと言ってるかはわからない。
私は泣き崩れた。この人が好きだったのかな?それとも付き合ってる愛しい人?
「ーマラ!スマラ!」
誰かが今の私の名前を呼んでる。
「レイナ チェーロ!」
私は目を覚ました瞬間叫んだ。
「スマラ?」
隣には困惑した顔でこっちを見る、フィオールとフロルがいた。
「ごめん。変なこと言っちゃったよね。」
「スマラ、あなた何者?」
「え、孤児院から来たふちゅうのしょうじょです。」
私は真顔で答えた。笑えないから当たり前なんだけどね。
「スマラ、なんでお母様の隠し名を知ってるの?」
「かくしな?」
もしかしてさっき言った奴?
「隠し名って言うのは、竜の国の皇室達の本当の名前のこと。家族以外はその名前を知らないんだ。」
じゃあ、私の前世の一つはドラッヘ王国の前皇后?
「あのね、しんじてもらえないかもなんだけど…」
一か八かで伝えてみるか!
「なに?」
真剣な顔でこっちをみる、フィオールとフロル。
「私、ぜんしぇの記憶がたくしゃんあるの。そして毎回違う人のを夢の中で見るんだ。今回はレイナというなまえの少女になっていないの。」
信じてくれないよね。
「じゃあ、合言葉は?」
「合言葉?」
もしかして、信じてくれてるのかな?
じゃあ期待に応えなくちゃ!
合言葉…
私は目を閉じた。
すると、さっきの少女が大人になった姿が浮かんだ。
小さい頃のフィオールとフロル、それと多分皇帝が食事を楽しそうに取っていた。
「おかあさま、合言葉決めましょ!」
幼いフロルがレイナさんににっこり笑う。
「じゃあ、ーーー。」
「うん!ーーー、ね!おとうさまもわかった?」
「ああ。」
「じゃあ一緒に言いましょう。」
レイナさんが微笑んだ。
「せーの!」
「「「「ーーー!」」」」
四人はにっこり笑った。
わかった。
合言葉がわかった。
私は目を開けた。
「いっせーのーでいわない?一年前のように。」
「なんでそれを… いや、わかった。」
「せーの!」
「「「「夢が終わった日、神に願う方法を忘れた!」」」」
二人は同じことを言った私を見て驚いた。
「じゃあ、本当に君の前世はお母様?」
「しょう、みたい。」
なんか複雑。
「だから、スマラを助けたいと思ったんだわ。竜一族が前世だから。」
フロルはにっこり笑った。
これ言おうかな…
レイナさんは竜一族なわけでは無く、竜に愛されるものだから皇后なれたってことを。
うーん。やっぱりやめよう。フィオール、フロル、これは私の気遣いだからね!