竜の国
いつか捨てられるとは思っていたけど、こんなに早くに捨てられるとは…
最悪。でも、そんなに悲しくはない。
『ーは賢いな!』
こんなふうに誰かの記憶が頭の中で流れるから。私はこの記憶が自分の前世の記憶だと思う。
だけど、毎回違う人の記憶が流れる。昨日は竜とニコニコ笑っている女の子、一昨日は、宝石を握りしめている女の子。今日は、知らない男の子に頭を撫でられた。
この記憶の中の人たちは一体誰なんだろう。
今は関係ないけど。それより、この穴みたいなところに寝床があるか探さなくちゃ。
私は左に続いている真っ暗な道を進んだ。
怖い.だけど、この穴の中で死ぬよりはマシ。
そのまま歩き続けると、変な絵が描かれている扉を六つ見つけた。
もしかしたら、扉を開けたら、食糧と寝るところがあるかも。
そんな訳ないよね。
うっ。頭痛い。このままじゃ倒れちゃう。一か八か、確かめよう。
私は意識が朦朧しているなか、一番近くにあった扉を開けた。
パタリ。
私は扉に入っている途中で、意識を失った。
「お兄様!女の子が倒れています!」
「この子は… 人間だな。しかし、なぜか誰かの面影を感じる気が…」
「とりあえず、私の部屋で介護しましょう。」
「そうだな。」
お忍びで草原に来た兄妹の兄は、倒れている少女をおんぶし、家へと急いで戻った。
「大丈夫!?」
う、うーん。誰?
「まだ気を失ってるみたいね。」
私のこと?
「起きた!」
私はゆっくり目を開けた。
「大丈夫?って、緑色の目!?もしかして… 【ナイト】」
急に暗くなった。この人、すご。ここどこ?なんで私はふかふかなベッドの上で寝てるの?
「やっぱり!」
ニコニコ笑う男の子と女の子。綺麗な服着てる。
「あ、あの。」
声が、そんなに出ない。
「喋った!こんにちは!」
「君、大丈夫?草原で倒れていたけど。」
わ、私が!?穴の中に閉じ込められてたはずだけど…
「こ、ここはどこでしゅか?」
噛んじゃった。
「ここは、竜の国、ドラッヘ国だよ。」
男の子は丁寧に答えてくれた。
「りゅ、竜!?」
「そうよ。あなたは人間?名前は?」
名前教えたら食べられちゃうかな。でも、今は信じれる人もいないし。
「ス、スマラ。」
「やっぱり!お兄様!合っていました!」
「うん。そうだね。」
二人はキラキラした目でこっちを見つめた。
「ふ、二人は誰でしゅか?」
か、滑舌が… 死んでいる.
「僕は、ドラッヘ国、第一皇太子、フィオール カエルム ドラッヘ。フィオでいいよ。」
「こ、こうたいししゃま!?」
私、そんなに偉い人に助けられたの!?
「驚くのはまだ早いわ。私は第一皇女、フロル シエル ドラッヘ。 フロルって呼んで。」
「お、おひめしゃま!?」
「ここは私の部屋。私たちにはタメ口でいいよ。」
こんなに優しい人たちが皇室の人!? 孤児院に来てた人達と正反対!
「で、でも、はんぎゃくじゃいでうったえられりゅかも。」
孤児院の先生が訴えられてたからね。
「は、反逆罪!?それはないよ。だからお願い。ね?」
「は、はい。じゃなくて、うん。」
「ありがとう。」
なんでタメ口で話してなんて頼むんだろう。
あ!今更だけど私皇女様、じゃなくて、フロルのベッドで寝てる!
私汚いのに。早くベッドから出なくちゃ。
ベッドから降りようとすると、私は転げ落ちてしまった。
「スマラ!」
二人は私のところに駆け寄ってくれた。
「大丈夫?」
心配そうな目で私のことを見るフロルと目が合ってしまった。
「ご、ごめんなしゃい。」
怒られるかな。
「大丈夫よ.どうして降りようとしたの?」
「わたしが、汚いから。」
本当のことを言うのが怖かった。
でも、この人たちに嘘はつけない。
「そんなことないわ!でも、自分が汚いと思ってしまうなら、私がなんとかしてあげる。」
【バス】
フロルが呟くと、私の体がだんだん綺麗になり、体がほかほかした。
こんな気持ち、初めて。
「お風呂に一瞬で入る方法よ。あとは、服ね。とりあえず、これ持って。」
フロルに渡されたのは、綺麗なワンピースだった。
こんなの着れない!
【チェンジ】
フロルがまた呟くと、私はずっと着ていた汚い服を持っていて、フロルにもらった服を着ていた。
「こ、こんなの着れないでしゅ!」
「大丈夫よ。私が四歳の時に着ていた服だから。あと、た、め、ぐち!」
「あ、ありがとう。」
フロルの笑顔には勝てない。
私は、初めて安心感を感じた気がした。
あ、急に眠気が…
「「スマラ!」」
私は目を瞑った。