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僕と彼女のうらおもて(仮)  作者: 夜空のスピカ
1/3

新学期


 まだ少し薄暗い部屋の中、アラームの音が鳴り響く。

 時刻は朝の6時30分だ。


 寝起きが良いのか、ベッドで寝ていた少年【結城 優(ゆうき ゆう)】は、すぐにアラームを止めて身体を起こす。

 軽く上半身を伸ばした後、ベッドから降りて学生服に着替え始める。


 洗顔などの朝の準備を済ませ、キッチンでエプロンを着けると、2人分の朝食を作り始める。

 そろそろ完成というタイミングで、もう1人が姿を現す。


 真新しいセーラー服に身を包み、髪をツインテールに結んだ女の子だ。

 優と同じ高校の制服であり、今日から1年生として、2年生である兄と一緒に通い始める。


 (かえで)が3歳、優が4歳の時に、親が再婚して2人は義理の兄妹になった。

 両親が共働きで家にいない事が多い為、2人で家事を分担し協力して生活している。

 そういった事情もあり、一般的な兄妹よりも兄妹仲は良好だ。


「おはよう、お兄ちゃん」

「おはよう、楓」

「やっとまた、お兄ちゃんと一緒に登校できるね」

「そうだね、今日からは〝3人〟で行こうね」 


 『3人』という部分に、楓が微妙な反応をするが、それは一瞬の事で優は気づかない。

 朝食を食べた後、2人はそれぞれ登校の準備を済ませる。


 玄関のドアを開けると、楓と同じ制服で、髪を肩にかかるくらいのボブにした女の子が待っていた。


「おはよう、優君」

「おはよう、美桜(みお)


 小山美桜は隣の家に住む幼馴染で、優と同じ17歳だ。

 幼い時から仲が良く、今でも一緒に登校している。


「おはよう、美桜ちゃん。今日からまたよろしくね」  

「おはよう、楓ちゃん。また一緒に登校できるね」

「あ、美桜ちゃん、頭に花びら付いてるよ」

「えー、ほんと」

「取ってあげる」


 楓と美桜も年齢は1つ違うが、同じく幼馴染なので姉妹のようにも見える。

 親同士が友人でもある為、3人は小さい頃から家族ぐるみの付き合いをしている。


 優は2人の仲の良い様子にほっこりしていたが、ふと忘れ物を思い出す。


「あ、ごめん忘れ物をしたみたいだ。ちょっと取って来るね」

「まだ時間に余裕があるから、慌てて転ばないでね」


 玄関のドアが閉まると、2人の様子が一変する。

 

「頭に花とか、頭ん中お花畑なわけ?」

「は? 優君に取ってもらおうと思ってたのに、余計な事しないでほしいわ」

「それが分かってるから邪魔したんですぅ。毎日デカい乳ぶら下げて目障りなんですけど」

「なに、嫉妬? 貧乳は性格が悪いって噂、ホントみたいね」

「………」


 先程までの中の良さそうな光景は何だったのだろうか。

 今はそれを微塵も感じさせない程、険悪な雰囲気だ。


「もう高校生なんだし、いい加減兄離れしたら?」

「は? あんたこそストーカーのようにお兄ちゃんに付きまとうのやめてよ」

「今どき義妹でツインテールって………ぷっ」

「知らないの? 幼馴染は負けヒロインのポジションなんだよ」

「………」


 互いに手こそ出していないものの、今にも殴り合いそうで恐ろしい。

 再び玄関のドアが開きかけると、慣れているのか2人は慌てる事も無く、元の仲の良い様子に戻る。


 先ほどの険悪な雰囲気など全く感じさせず、笑顔で楽しそうにしている。

 

「ごめんね、待たせちゃって」

「大丈夫だよ、今2人で放課後の予定について話してたの」

「お兄ちゃんも良いよね?」

「うん、今日はバイトも無いし大丈夫だよ。それじゃ行こっか」


 そうして3人は登校するのだった。


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