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【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜  作者: O.T.I
レティシア15歳 輝く未来へ

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対抗戦三日目の終わり



 対抗戦三日目の1年1組の結果である。


 サバイバルでは三人が生き残って優勝。

 魔法対抗戦ではレティシアが圧倒的な力を見せ、一回戦を突破。

 ルシェーラは武術対抗戦の予選トーナメント第3回戦に挑み、危なげなく勝利を収めた。

 シフィルの魔法競技は第2回戦を突破したものの、続く第3回戦で惜しくも敗退。


 その他も各競技で好成績を収めた1年1組は総合2位をキープ、現1位の3年1組をじわじわと追い上げていた。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆




「グラナの……皇女!?」


「しーーっ!!」


 レティシアの驚きの声が上がり、カティアが慌ててそれを止めようとする。


「あ、ゴメンゴメン。でも、急にそんな話を聞いたらビックリするよ。それで……」





 対抗戦三日目の全ての競技が終わって解散となったあとも、レティシアたちは学園に留まってカティアから話を聞いていた。

 サバイバル戦での疑問……1年2組の男子生徒、ガエルがなぜ急にあれほどの実力を身に着けたのか、その理由を。

 そしてカティアが語った話は驚くべきものだった。




「カティアさんたちが屋内に避難したあと、そんな事が……」


「うん。ガエル君が『双転珠』って神代遺物(アーティファクト)を使ってね……サバイバル戦の間、学園外の別の場所にいたんだ」


 彼女たちが転移した先は、貴族の邸の中と思しき場所。

 そこでカティアは、グラナ帝国から亡命してきたという皇女……エフィメラと名乗る少女に出会ったという。

 そしてそれ以上に、彼女から聞かされたという話はレティシアたちにとって衝撃的な内容だった。



 まず、ガエルが本来の実力とはかけ離れた力を得た理由。

 それは、『魔薬』と呼ばれる薬を服用した結果だったとのこと。

 効果は一時的なものらしいが……使用を続ければ異形と成り果ててしまうというシロモノだ。



「異形……それって、カティアのお披露目パーティの時の?」


 ステラが、かつての事件を思い出して言う。

 レティシアも、その時の黒く蠢く異形に成り果てた暗殺者の事を思い浮かべた。


「うん。もともと『黒神教』が開発した薬らしいのだけど……エフィメラ様も私も、ガエル君にはそんなもの二度と使うな!って釘を刺しておいたよ」


 カティアと面会したいという皇女の意を汲んだガエルが、何とか極秘裏に接触を試みようとしての行動だったらしい。



 そして、グラナの皇女であるエフィメラが、なぜイスパル王国にいるのか。

 その理由は……



「いま、グラナ帝国を実質的に支配しているのは『黒神教』であって、皇帝はもはや傀儡に過ぎない……って。だから、その現状を打破して、将来的にはカルヴァード大陸の各国との国交樹立を目指したい……それが彼女がここにいる理由なんだって」



 これまでイスパルで起きた様々な事件の裏には『黒神教』の存在が見え隠れしていた。

 その背後にはグラナ帝国が存在する……と、これまでカティアたちは考えていたのだが、真の敵は黒神教であるということが示されたのだ。


 そして彼らが暗躍する目的……それは皇女エフィメラもはっきりとは分かっていない。


「ただ……300年前の魔王が引き起こした大戦にも黒神教が絡んでいたと言うし、昨今の不穏な動きをみると……再び戦乱を引き起こそうとしているのかも。15年前の戦争もその一環だったのかもしれない」



 あまりにスケールが大きく重たい話に、レティシアたちは押し黙ってしまう。


 しかしカティアの話はまだ終わらない。



「エフィメラ様から情報提供があってね……私やテオ、ステラを暗殺しようとした黒神教配下の暗殺組織の拠点がアクサレナにあることが分かったんだ。だから……こちらの動きを察知される前に、速攻で潰す」


「(うわぁ……目がヤル気満々だよ)……無理はしないでね?」


「もちろん私一人じゃないから。国王陛下(とうさま)に話をして、騎士団と作戦を立てて……だね。でも、あまり悠長にもしてられないから明日はみんなの応援は出来ないかも……。私の出番はもう無いから迷惑かけることは無いと思うけど」


 そう、彼女は残念そうに言う。

 彼女の性格的に、自分が狙われてるのだから他人任せには出来ないのだろう。



「大丈夫、あとは任せて!しっかり優勝するから!……といっても私は魔法競技、敗けちゃったけど」


「とりあえず武術対抗戦の優勝を目指しますわ」


「魔法対抗戦もボチボチ頑張るよ」


「私はもう出番が無いから応援を頑張るわね」


「2組だけど頑張るよ!」



 カティアを安心させるように、それぞれが宣言する。



 しかし、彼女たちはまだ知る由もないだろう。

 カティアがこれから立ち向かうであろう『敵』……それが自分たちとも無関係ではないことを。




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