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【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜  作者: O.T.I
レティシア15歳 輝く未来へ

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今、いっときの別れ


 ヴァシュロン王国視察団による鉄道視察は予定通りに5日間の日程を消化した。

 彼らが来たときと同じように、モーリス公爵邸の玄関前で公爵家一同が見送りする。

 リディーたちモーリス商会の主要メンバーも一緒だ。





「じゃあレティ、また会おう。鉄道が開業するときには、必ず駆けつけるよ」


「はい!大々的に式典をやるつもりですから、フィリップ様も招待させていただきます!」


 フィリップとレティシアは握手をしながら別れの挨拶をする。


 この5日間で、二人は随分親しくなった。

 レティシアの言葉遣いは丁寧なものだが、もう友人と言っても良いだろう。




 そして、フィリップとリディーも……


「リディーも。今回は有意義だったし、とても楽しかったよ」


「ええ、こちらこそ。視察団の皆さんのご意見、大変参考になりました」


 と、挨拶を交わした。

 そして更に……フィリップはリディーにだけ聞こえるように、彼の耳元に近づいて小声で言う。


(……レティの事は、負けないからね)


(だから、それは……)


 フィリップにライバル視され、リディーは困惑の表情を浮かべる。

 3人で観光に出かけた日、彼の心には迷いが生じ……それはまだ晴れてはいない。



 近い将来、鉄道が開業を迎える日……

 その時きっと、3人の関係は大きく動くことになるのだろう。



「?何を二人でコソコソ話してるんです?」


「あはは、なんでもないよ。……それでは皆さん、ありがとうございました!」




 こうしてヴァシュロン王国視察団、フィリップたちは帰国の途についた。


 それを見送るレティシアの横顔はどこか寂しそうで……

 そして、それに気付いたリディーも、複雑そうな表情を浮かべるのだった。





  ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆




 フィリップたちを見送った日から数日後。


 今度はレティシア自身が旅立つことになる。

 学園への入学と、鉄道開発の中心を移転するため王都に向かうのだ。


 イスパルナ側から始まった建設工事は順調に進んでいるが、王都側からもそろそろ着工することになる。

 更には開業に向けての細かな調整事項については、王都の役人とやり取りする機会が増える。

 故に、陣頭指揮を取るレティシアが王都に拠点を移すのは必然であろう。






「じゃあ先生、親方。あとはよろしくお願いします!」


「うむ。元気でな」


「こっちは任せてくれ!リディー、会長をよろしくな」


「ええ、全線開通、開業まで大詰めです。頑張りましょう」


 モーリス商会の前で、レティシア、マティス、マルク……そしてリディーの4人は、固く握手をして、暫しの別れを惜しむ。

 商会の従業員たちも見送りのため外に出てきていた。




 そして……



「それじゃあ、行ってきます!!」


 元気な声でレティシアは出発する。


 公爵家のものではなく、モーリス商会所有の馬車に、リディーやエリーシャ、パーシャとともに乗り込んで……

 マティスや親方たちの姿が見えなくなるまで、窓から身を乗り出して手を振るのだった。






 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆




「さ〜て、なるべく急がないとね……」


「確か、カティア様のお披露目があるんだよな。順調にいってもギリギリか……」


「そうなんだよ。まあ、仕方ないね。あんな事件があったから……」




 先日、公爵邸に立ち寄ってレティシアの友人となったカティアの話だ。

 彼女は無事に王都に辿り着き……正式に王女として認められたばかりでなく、王位継承権第一位に指名されたとのことだった。


 そしてそのお披露目が行われるとのことで、レティシアもそれに合わせて王都入りを計画していたのだが……

 彼女の言う『事件』のせいで出発が遅れたのである。


 その事件だが……

 なんと、カティアが暗殺の標的にされたと言うのだ。

 幸いにも、事前に察知した彼女の護衛と、彼女自身の活躍によって事件は既に解決している。

 しかし、その事件にモーリス商会の()従業員が関わっていたとのことで、調査や報告のため対応に追われたのだった。



「やっぱり……何か良くないことが起きるのかな……」


 以前から漠然と感じていた不安が、再び思い起こされる。

 そして、カティアの存在はきっと、大きな運命の流れの渦中にある……と。



 そして親友を心配する気持ちを察したリディーが、彼女を安心させるように言う。


「大丈夫だ。あの方は神の力を受け継いだ英雄なんだろう?」


「……うん」


「そんな方が、将来の女王なのだから……国民としては頼もしい限りだよ」


「……そうだね。ありがと、リディー。私たちは私達のできることで、国のため……世界のために貢献しよう」


「ああ」


 そう言って二人は微笑み合う。






 そして、二人の会話を邪魔しないように静かに聞いていたエリーシャとパーシャは、その様子を見て……


(……やっぱり、お嬢様とリディーさんはお似合いよね)


(はい。すごく自然で……お互いを信頼しあっているのがよく分かります。素敵なお二人ですね)


 と、囁やきあうのだった。



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