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【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜  作者: O.T.I
レティシア15歳 時代の変革者たち

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同胞(前編)



 カティアたち一行を迎えたモーリス公爵家。

 少々寄り道はあったが、夕食の時間までは長旅の疲れを癒やしてもらおうと各々の部屋でゆっくりしてもらうこととなった。


 そして晩餐の席で、一行とモーリス一家は再び一堂に会する。

 公爵家お抱えシェフの自慢の料理に舌鼓を打ちながら談笑し、楽しいひと時を過ごした。


 ……カティアが酒に酔って、恥ずかしげもなくカイトとの惚気(のろけ)話を始めるという一幕もあった。

 少々暴走気味になったところでレティシアの解毒の魔法で我に返った彼女は……盛大に突っ伏していた。




 そして楽しかった晩餐会も終わり、それぞれ部屋に戻ってからのこと。

 夜遅く……深夜という程ではないが、既に寝ている者もいるであろう時間帯。


 レティシアは自室を出て、ある場所に向かっていた。

 仕事で普段から夜更かししがちな彼女にとっては、この時間はまだまだ宵の口といったところだ。

 だが、もう遅い時間であることは認識してるので、息を潜めて、足音も忍ばせて邸の廊下を歩く。

 ……まるで不審者のようである。



 そして彼女がたどり着いたのは、とある部屋の扉の前。

 来客用の中でも最も豪華な部屋の一つ。

 国王夫妻も滞在したことがあるその部屋には、カティアとミーティアが泊まっているはずだ。


 この時間であれば、世話役の使用人も既にいないはず。

 だが、もしかしたらもう寝ているかもしれない……そう思いつつ、彼女は扉を控えめにノックしながら扉越しに声をかけた。



「カティアさん、夜分に申し訳ありません。入ってもよろしいでしょうか?」


 すると……すぐに返事がある。


「あ、はい。どうぞ」


 そう言いながらカティアは扉を開け、レティシアを中に招き入れた。





「ミーティアちゃんは、もう寝ちゃいましたか」


 ミーティアは、居間のソファで横になってスヤスヤと寝息を立てていた。


「はい、さっきまで起きてたんですけど……お腹いっぱい食べてましたし、旅の疲れもあったのでしよう。あとで寝室の方に運ばないと」


「ふふ……可愛い寝顔ですね。……カティアさんはお疲れではないですか?」


「私は旅慣れてますから。普段も、まだ寝る時間じゃないですし」


「そうですか……良かったです」


 人目を避けたかったのでこんな時間になってしまったが、失礼ではなかったかとレティシアは心配だった。

 なので、カティアの言葉に安心するが……

 そこで会話が途切れる。



 色々話したかったことはあるはずだが、何から話せば良いのかお互いに迷っている様子。



 しかし意を決して、ついにレティシアがそれを口にした。


「カティアさんは…………『転生者』ですよね?それも、『日本』からの」


 その問に、カティアは静かに頷いた。



 そして、それを確認した瞬間……レティシアの心のなかに様々な感情が渦巻いた。


 もう二度と帰れない世界。


 前世の記憶を取り戻した時に絶望し……しかし、家族の愛により立ち直った。

 そして、彼女は夢に向かって邁進し、思い出すことも少しずつ減ってきた。


 それでも。

 折に触れて郷愁とともに思い出せば、悲しみと寂しさが去来した事もあった。


 絶対に忘れることがない……

 忘れてはいけない、大切な思い出。


 そんな彼女にとって、カティアという『同胞』の存在がどれほどの衝撃を与えたか。

 そして、その喜びがどれほどのものか。

 それは、誰にもわからないだろう……同じ転生者の少女以外には。



 そんな想いが溢れ出す。


 レティシアは気が付けば、カティアに抱きついていた。


「レ、レティシアさん!?」


 突然のことに、カティアは驚きの声を上げるが……



「う……うぅ……ぐすっ……」


 レティシアが声を殺して嗚咽を漏らすと、その心情を察してカティアは黙って彼女を抱きしめ、優しく背中を撫でた。




 悲しみのものではない透き通った雫が瞳から流れ落ちる。

 そして彼女は想う。


(あぁ……私は何て幸せなんだろう…………)


 支えてくれる家族がいる。

 夢に向かって一緒に力を合わせる仲間がいる。


 そして、『もう一人の自分』を理解してくれるであろう人とも出会えた。



(きっと……この人とは親友になれる)


 理屈ではない……だけど、確信を持って彼女はそう思うのだった。


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