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アーサー王100本の剣伝説

10本目の剣

作者: 中村翔

冬。寒くて人恋しい季節。

雪。ちらつく白い妖精。

霜。空気の水が凍る。

星。掴めそうな暗い空。

冬雪霜星。彼の生命の物語。


彼女がここに来てひと月がたった。

彼女は、そうだな。弟子になりたいと。

それだけ告げて居座ってしまった。

自分は先生だ。

だがたまに師匠と呼ばれるのも悪くはない。


彼女の1日は忙しい。

朝食を用意し、師匠と呼ぶ者をおこし。

師匠がご飯を食べる間に掃除をする。

師匠が昼食を食べてる間に朝食を食べる。

師匠に剣を教わり筆をとる。

汎用紙3枚ほどに勉にはげみ。

風呂を沸かして歯磨きをして寝る。

こんな感じだ。あたまが上がらない。

今も壊れた戸棚を直して四苦八苦している。

そもそもなぜ彼女はこんなことをするのか?


話は遡る。一月前。

雪の降る中鎧姿の彼女がいた。

なぜ一人でこんなところへ来たのだろうか。

ここには珍しい物なんてないはずだ。


道場として機能している寺。

そして寺に寄り添うように古い枯れ木。

枯れ木には剣が刺さっている。

毎朝剣に花を供える老婆がいる。

そのくらいしかないようなところ。


実際どこまでこの銀世界が広がっているのか?

まわりから人が来るのも初めてだった。

そもそもこの世界に老婆以外に人がいる。


それすら驚くべき事実だったのだ。

彼女はわたしを見て少し驚いた。

が、それすら眼中になく一点を見ていた。

枯れ木の剣にひざまづき祈るように。


彼女は彼のことを師匠と呼んだ。

彼は受け入れた。

そして師匠と呼ばれている。

最初の3、4日はぎこちないものだった。

けれどもやはり師弟というものは。

かくもこういうものなのだと。


彼女を見ているだけで幸福になる。

成長を見守るのはいいものだ。


半月前彼女は言った。

一月の命なのだと。

最後はこの世の全てを貰っていくと。


大それたことをいうものだ。

しかし笑い飛ばしてやった。

この世の全てを背負うには

彼女はちと華奢すぎると。


乾いた笑いが辺りに響いていた。

彼女はそれからも毎日同じようにすごした。


今日で彼女も一月たった。

彼女の言った一月だった。


彼女は枯れ木に寄り剣に手をかけた。

ーーーーー!ーーーーー!!

初めて彼女の声を聞いた気がした。


彼女の手には鋭い刃物があった。

それを師匠と呼ばれた彼に向けた。

そして彼女はーーー彼を刺した。


師匠と呼ばれたものは泡となって消えた。

ふと瞬きをした。

そして二度と視界が明るくなることはなかった。


ーーーそう彼女の名はアーサー。

この世の全てを背負った女の子。


10本目の剣読了。

Thi ・11本目の剣を始めますよろしいですか?

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