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2回目 緋色沙耶の独白

2回目の参加者は朝倉理科・伊藤ルキ・星名メア・緋色沙耶・塩田輝夜

 



つまらない。つまらない。なんで女=おしとやかになるのかね?


小さいころから両親に「おしとやかな女の子になるように」と、料理家事をこなせるようにされた。それ以外にもピアノや書道なども通わされた。


嫌だった。


そんなものをするより、ゲームとかサッカーとかやりたい。


でも父と母はダメって言う。


沙耶「なんで?」


両親「沙耶には女の子だから」


最初は私の意見を聞いてくれなかった両親だが、これでもかってくらいにしつこい文句を言い続けたら、小学校を卒業したら私のしたいことをしても良いと言ってくれた。


私の言いたいことが伝わった。


嬉しかった。


話せばわかってくれる。


そう思って小学校卒業まで、ゲームとかサッカーなどやりたいことを全て我慢して「女の子らしく」なるために嫌な料理家事、習い事を頑張った。


当然耐えきれなくなって泣きそうになることもあった。


そんな時はしたいことをしている妄想をして気を紛らわせていた


学校に行く。


2~4年生くらいまで話が合う子が多かったのだが、5~6年生になると、ほとんどの子がアイドルやら、芸能人やら、服とかカバンとかアクセサリーとか…


それでもゲームの話とかに付き合ってくれる友達はいた。


だけど…その子もだんだんゲームの話に乗ってくれなくなり


気が付いたら


私は独りぼっちになっていた


別に趣味が合わないのは仕方がない。


私だって料理とかピアノが好きではない。


だからゲームが好きじゃない子がいても何もおかしくない。


だけど


だからって無視するのはどうなの?


好きな物を好きと言ってさ


女の子らしくないから話しかけるのもやめるのはさ


さすがにひどくない?


ある日教室で私が女の子らしくないよねとからかわれたことがあった。


女子がからかっていると男子も乗ってきて、私を罵倒し始めた。


殴って黙らせてやろうかと思った。

その口縫い合わせてやろうかと何度も思った。


けど耐えることにした。


だってこの学校を卒業すれば


今までやりたかったことが遠慮なく全力でやることができる。


そう思えば、こんなのブロッコリーがうじゃうじゃ沸いたようなものだと言い聞かせることができた。


私が動揺し、弁解しようとするのを更にからかおうとしたのだろうか。何日も何日も私をからかってくる。


無視し続けた。大義名分を得た奴らの叩きを止めることが出来るのは、大義名分を失った時だけ。


無視し続けたのがムカついたのだろうか?ある女子が私に用があると言って放課後、指定した場所に来いと言ってきた。


どうせ行ってもろくなことがないだろうからその時は無視して行かなかった。


次の日、教室に私の席がなかった。


周りの奴らはニヤニヤとこちらを見ている。


今まで耐えていたが自分が思っていたより怒りが蓄積していたのだろう。


教室にいるやつに怒鳴った。


あの時何を言ったのか正直覚えていない。でも結構口の悪いことを言っていたと思う。


そして生徒の一人を何度も殴ってしまった。


自分の拳に痣が出来るくらいに。相手の顔が真っ赤になるくらいに。教師が止めにかかっても殴り続けるくらいに。


我慢が溜まっていたのだろう。


不幸中の幸いだろうか。殴った生徒が、私の机をどこかにやった張本人のようだ。殴り続けている途中、自分がやったと自白したらしいが正直そんなことを言っていたかどうか覚えていなかった。


当然このことは自分の両親にも知らされるわけで。


両親から酷く叱られた。


「我慢しなさい」と


我慢したこの結果だったと伝えると


「沙耶が悪い。謝りなさい」


嫌だと言った。自分は誰もからかったりしてない。あいつらがからかってきたことを伝えた。


「でも殴りかかったのは沙耶でしょ?」


驚いた。私の弁護をしてくれると思っていたけど、してくれなかった。


私は2人の言いつけを守るために我慢していたのに


私の我慢を理解してくれなかったが、まだ怒りを抑えることができた。


小学校を卒業すれば、私の望みが叶う。ここは自分が悪かったことにして切り抜けよう。


そう考えていた私を次の両親の言葉で打ち消された。


「小学校を卒業しても今まで通り習い事をすること。ゲームをするのは許可しない」


それを聞いた後は正直覚えていない。それ以降両親と会うことが気まずくなり時間をずらして生活することが増えた。家にいても辛いだけ。そう思う私は自然と家に帰るのが遅くなってしまった。


両親になぜ帰るのが遅いのか尋ねられても無視してやった。


ご飯を作ってもらえなくなっても冷蔵庫にある材料を使い、自分で食べた。


勝手に食料を使うなと怒られた。


より帰るのが遅くなった。


そんな生活を送っていてある中学校の前にある公園でぼんやりしながら時間を潰していると頭に何か当たった。


サッカーボールだ。


顔を上げて飛んできた方向を見ると、近くの中学校の制服を着た2人がいた。


ボールをぶつけられたことを謝罪され、こちらは大丈夫と答えると、2人は元の場所に戻り、サッカーボールで遊んでいた。地面に足で円を作るように砂をかいて、その内側でボールを取られないように遊んでいるみたいだ。


じっと見ていると、2人に声をかけられた。


「よかったら一緒にやる?」


その日は楽しかった。


真っ暗になって近くの街灯の灯りを頼りにボールを夢中で追いかけて、転んでも楽しかった。


久しぶりにお腹を抱えて笑った気がする。


2人がまた遊ぼうねと言って別れた。


家に帰ると母が遅いとうるさかった。それを全部聞き流していると、肩を掴まれて強引に台所に連れていかれた。そこには父がいてカンカンになっている。


父に女の子らしくしろと言われて私はこう返した。


女だからスカートを履かなければいけない。


女だから料理が出来なければいけない。


女だから男に優しくしなければいけない。


女だからゲームをしてはいけない。


なんだよそれは? 一体どこの誰がいつそんなことを決めたのさ?


決めた奴がいるなら出てこい。そして私の話を聞け


女がゲームをしてはダメなのか?


女が妊娠するのは義務なのか?


女が常に相手を気付かうのが正しいことなのか?


そもそも女の子らしいってなんだよ?


男が働いて女が支えるって聞くけどさ、それ支えている女の苦労・不満を知った上でそう言っているのか?


お前は洗濯をしたことがあるか?


お前は料理を作ったことがあるか?


お前は掃除をしたことがあるか?


お前らはただ自分が気持ちよくなれればいいのか?


己の欲望を女に吐き出して、いざ面倒ごとになったら「女が悪い」って切り捨ててさ


私が必死に意見を述べようとしても、聞く耳すら持たないこともあるよなぁ?


だったら


私もお前らのいう事何一つ聞かなくても問題ないってことになるよなぁ?



両親は絶句していた。そして何か言う両親の言葉を聞かず、風呂に入って寝た。



一週間に4日、定期的にあの二人と会うことになった。ゲームセンターに遊びに行ったり、一緒にスイーツを食べに行ったりした。


2人はスイーツが大好きで横取りした時は思いっきり引っぱたかれた。


痛かったけど、私も嫌がらせをされたとき徹底的に反撃したことがあるからそこまで怒りは沸いてこなかった。


謝ると向こうも謝ってきた。お互い顔を合わせると笑った。


こういう感じ久しぶりだな。


無事に小学校を卒業して中学校に入学した。あの二人もいた。


あの二人は学校でも有名らしくて、周囲からは距離を取られていたが、いつも楽しそうに話している。


そんな2人とも仲良く話している私が怖く見えたのだろうか?クラスメイトとの交流が思ったより上手くいかなかった。


少ないけど話せる仲にまでいったのは数人だ。二人も私が孤立することを恐れていたのか、このことを言ったら安心したような表情をしていた。スイーツ食べながら聞いてくれたから、私の言っている意味を理解して安心してくれたかはこの際別だけどね。


二人と放課後一緒に遊ぶことも増えて、ゲームを一緒に遊ぶことが出来るのがこんなに嬉しいとは思わなかった。


自分と同じクラスに少し浮いた子がいた。


占い大好き少女だ。


世間一般では女の子が占いに興味があるのは十分女の子らしいと判定されるが、その子の占い好きの度合いがかなり重かったみたいで、教室では誰もが少し距離を取っていた。


前の自分を見ているようでむずがゆい。


なんとなく気になって声をかけてみた。


最初は警戒されたが、自分のことを占ってほしいと頼むと少し戸惑った顔をして占ってくれた。


「あなたは選ばれるでしょう」


何に?と聞いたら「分からない。けど、何かのゲームに選ばれるって出たよ」と返された。


曖昧に濁された感じはあったが、その子の占い大好きをからかわず、真正面から肯定しているうちにいつからか、一緒に話す仲になった。あっちは占いを、こっちはゲームを。占いで遊ぶゲームとか一緒に考えてみないか誘ってみたら、思ったより食いついてきて、その時は話に没頭して、外が暗くなっていることに気付かなかったくらいだ。


「また話そうね」


そう約束した日の夜


スマートフォンのメールで「異能力鬼ごっこ」と呼ばれるゲームに招待を受けた。内容を見てみると、うちの学園で行われている不思議なゲームのようだ。


「なんだ。あいつの言っていた通りだ」


口元を緩めて、思わずフフフと笑ってしまった。


このゲームが終わったら、あの子に教えてあげよう。あの子とはもっと仲良くなりたいな。



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